人文学・社会科学と自然科学の連携活動・インセンティブ・アウトカムの可視化-九州大学と東京大学の研究者実態調査
実施体制
研究実施者
氏名 | 所属・役職 |
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小林 俊哉 | 九州大学科学技術イノベーション政策教育研究センター 准教授 |
行政担当部署
部署 |
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文部科学省大臣官房政策課政策推進室 |
プロジェクト概要
本研究プロジェクトの目的は、自然科学と人文学・社会科学の多様な連携を実現していくための環境条件を明らかにすることである。そのために文系、理系の多様な分野の研究者の文理融合研究に対する意識状況の実態調査を、総合大学であり文理融合を志向する学部、研究科、学府を擁する九州大学と東京大学の研究者への質問票調査、面接調査により実施する。
政策課題
令和2年6月の科学技術基本法改正により、人文科学も同法の対象となり、第6期科学技術・イノベーション基本計画策定に反映されることとなった。Society 5.0の実現という文脈においても、自然科学と人文学・社会科学の「知」の融合の重要性は高まっている。自然科学と、人文学・社会科学との連携あたっては、科学技術・学術審議会学術分科会人文学・社会科学振興の在り方に関するワーキンググループ及び人文学・社会科学特別委員会等において議論が行われているが、連携自体が目的化してしまう、比較的連携しやすい問題が傾いてしまう、人文学・社会科学分野の研究者がインセンティブを持ちにくいといった課題が指摘されている。 以上の課題を念頭に置きつつ、今後文理融合を進めるために、多様なステークホルダーが知見を寄せ合って研究課題・研究チームを創り上げていくための環境整備が行われることが期待されている。他方で、人文学・社会科学分野においては、研究者以外にも芸術家、産業界、市民社会等の様々なステークホルダーが存在する。したがって、今後の自然科学と人文学・社会科学の「知」の融合を補完し、多様なステークホルダーとの連携による新たな価値の創出を検討していく必要がある。
具体的な研究計画
【研究の方法】本研究プロジェクトは、2021年度の単年度1カ年で完了するものとして、以下の調査を実施する。 調査方法:WEB、電子メール、紙媒体等を使用した質問票調査並びに面接調査 調査対象:九州大学に所属する2,088人(2020年5月1日現在)の教授、准教授、講師、助教、准助教等の教員並びに東京大学に所属する2,484人(2018年5月1日現在)教授、准教授、講師等の教員。 調査対象として九大と東大の教員を選択した理由は、両大学が総合大学であり、文系・理系の研究者が揃っていること、両大学には文理融合・学際連携を旗印とした総合文化研究科(東大)、大学院統合新領域学府(九大)が設置されていること。特に九大には芸術系の学部学府が設置されており、文理の枠を超えた多様な観点の分析と特徴の抽出が期待できるためである。 【実施項目】 第一段階:質問票調査 質問票調査の質問項目として、設定したリサーチクエスチョンに基づき以下を設定する。 ①文理融合、学際連携研究の経験の有無/②文理融合、学際連携研究の受容性 ③文理融合、学際連携研究の重要度の認識/④STI政策としての文理融合、学際連携研究の許容性/⑤文理融合、学際連携研究の実践例(①で「あり」と回答した方のみ。以下同じ)/⑥⑤の研究推進方法、研究費助成の有無、共同研究者の探索方法など 調査結果の分析方針:質問票調査結果は単純集計後に、九大教員の専門分野、役職等の属性別に、重回帰分析等を行って特徴を抽出する。 第二段階:面接調査 第一段階調査で入手できた文理融合研究の実践事例について、設定したリサーチクエスチョンに基づく面接調査を実施し、研究推進上の特徴と研究によって得られたアウトカムを抽出する。調査の実施にあたっては文部科学省担当者並びに東大拠点研究者(城山英明教授と木見田浩二特任講師)と密接に相談し推進する。