安定性と流動性を両立したキャリアパスの仕組みについての
定量・定性的研究
プロジェクト概要
エビデンスに基づき「安定性と流動性を両立した研究者のキャリアパス」を提案する。1)流動性阻害の理由とその解決方法、2)具体的なしくみの探究、という2つの局面からアプローチしながら研究を進める。また、先行研究と既存事例の精査や定量・定性調査を実施し、それらのアウトプットをもとに行政担当者や多様なステークホルダーとの対話を重ねて、研究者育成に係る政策を提案し実行可能性を検証する。
実施体制
研究実施者
氏名 | 所属・役職 |
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安田 聡子(研究代表者) | 九州大学 教授 |
宮川 剛(共同代表者) | 藤田医科大学 教授 |
田中 智之 | 京都薬科大学 教授 |
中山 敬太 | 九州大学 助教(2023年10月-2024年3月) |
行政担当部署
部署 |
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文部科学省科学技術・学術政策局人材政策課人材政策推進室 |
政策課題
研究者の流動性と安定性の両立について
統合イノベーション戦略2023(2023年6月9日閣議決定)で示された「科学技術・イノベーション政策の3つの基軸」のうち、第2の基軸「知の基盤と人材育成の強化」にかかわる政策課題に取り組む。
具体的な研究計画
わが国では、メンバーシップ型雇用の影響もあり、人材の流動性が低く、人的資源が活用されず死蔵されていることがある。対照的にアカデミアの世界では、ポジションをめぐる競争が激化しており、それが研究の再現性の低下や研究不正を引き起こすこともある。国際流動および産学官(セクター間)での移動は、こうした人材の死蔵や閉じた空間での過度な競争を解消する有効な方針である。また、研究者の流動性が高まると、多様な知識へアクセスして獲得するチャンスも増し、組織間、セクター間での知識移転が促され、知識の新結合(イノベーション)が活発になる可能性も高まる。
だがその一方で、研究者がオリジナリティの高い(と同時にリスクも高い)研究や学際的なプロジェクトに取り組むためには、生活や雇用の不安を取り除き安定した環境を保証することも重要である。
本プロジェクトでは、研究者一人ひとりには安定した環境を提供しながらも、わが国全体を俯瞰すると研究者の流動性が高い状況を実現するような仕組みを、エビデンスに基づきながら考案する。
そのためにまず、博士人材および企業に綿密な聞取り調査と質問票調査を行い、わが国で人材流動性が低い根本的な理由を探る。同時に、文科省やNISTEPによるこれまでの調査結果を精査し、またOECD諸国での事例を分析したうえで、「流動性と安定性を両立させる仕組み」について考察する。政策担当者や多様なステークホルダーと対話を重ねながら、考案した仕組みの実行可能性や期待される効果について検証する。
研究成果・資料
※現在準備中です。