海外情報
トピックス
2021年02月04日
【海外動向】科学技術イノベーション政策の科学 海外情報 (1月28日~2月3日)
CRDS-研究開発戦略センター
「政策の科学」関連 海外情報 期間:1月28日~2月3日
海外の「政策のための科学」関連のウェブサイト等から、日本の「科学技術イノベーション政策の科学」関係者にとって関係が深いと思われる記事や情報を以下のとおりまとめました。(文責:CRDS科学技術イノベ-ション政策ユニット)
~米国:21世紀後半までに、極端な干ばつに苦しむ人々の数が2倍になる可能性がある~By the late 21st century, the number of people suffering extreme droughts will double
ミシガン州立大学の研究者たちは、気候変動が今後数十年で水の利用可能性と干ばつの深刻さにどのように影響するかについて、世界的な全体像を示すためのグローバルな取り組みを主導している。研究によると、21世紀後半までに、極端な干ばつに直面する世界の土地面積と人口は2倍以上になる可能性がある。(1976年~2005年の3%から7%~8%に増加。)気候変動によって、世界の3分の2の自然の土地の保水量が大幅に減少し、それに伴う水不足の増加により、食料安全保障が影響を受け、人の移動と紛争の悪化が起きると予想されている。研究は、国立科学財団(NSF)の助成を受けて、世界の様々な地域における水の利用可能性の将来変化に光を当て、水不足への世界的な準備と適応のためのツールを提供する。
https://www.nsf.gov/discoveries/disc_summ.jsp?cntn_id=302035&org=NSF&from=news
(NSF記事) 元記事公開日: 2021/2/2
~英国:グリーン・ドリームを実現するエネルギー起業家に1,100万ポンドの助成~£11 million boost for energy entrepreneurs to turn green dreams into reality
エネルギー担当トレビリアン閣外大臣が、英国産業全体で新しいクリーン技術を推進し、2050年までに炭素排出の排除を目的とする、エネルギー起業家基金(EEF)の最新ラウンド(助成額1,100万ポンド)を発表した。15から20のプロジェクトの支援を見込んでおり、勝者は最大100万ポンドを受け取る。家庭のエネルギー効率を高め、二酸化炭素排出量を削減し、グリーン輸送を展開するほか、よりクリーンでグリーンな方法で電力と熱を得るための、イノベーション等を対象としている。以前のプロジェクトでは、浮体式洋上風力タービンを海底に固定するための効率的低コストの技術や、革新的なステンレス鋼外装パネルと太陽エネルギー技術を組み合わせたSteel Zeroシステムの開発等に、2012年以来総額7,200万ポンドが投資されている。
https://www.gov.uk/government/news/11-million-boost-for-energy-entrepreneurs-to-turn-green-dreams-into-reality
(GOV.UK記事) 元記事公開日: 2021/2/4
~英国:世界中の氷が記録的な速度で減少している~Global ice loss increases at record rate
新しい研究によると、地球全体で氷の消失速度が加速している。リーズ大学が率いる科学者たちは、衛星データを使用して世界の氷の減少について調査し、地球の氷の消失率が過去30年間で著しく増加し、1990年代の年間0.8兆トンから、2017年までに年間1.3兆トンに増加したことを発見した。1994年から2017年の間に28兆トンの氷が失われており、これは、英国全体を覆う100メートルの厚さの氷床に相当する。世界中の氷が溶けると、海面が上昇し、沿岸地域の洪水リスクが高まり、野生生物の自然の生息地が消滅する恐れがある。調査は、21万5,000の山岳氷河、グリーンランドと南極の極地の氷河、南極の周囲に浮かぶ棚氷、北極海と南極海に漂う海氷を対象とした。氷床消失は、主に南極とグリーンランドの極地で急増している。
https://www.ukri.org/news/global-ice-loss-increases-at-record-rate/
(UKRI記事) 元記事公開日: 2021/1/28
~英国:自然環境研究会議が英国の昆虫個体群を保護するための研究に230万ポンドの助成~NERC funding to help protect UK insect populations
自然環境研究会議(NERC)が230万ポンドで助成する新しいプロジェクトによって、英国の昆虫個体群の健康状態が評価される。プロジェクトは、(1) 英国で昆虫の数が減少しているかどうかについての決定的な証拠の提供、(2) 昆虫の存在を脅かす主要な原因の理解、(3) 昆虫を保護するための環境政策の策定支援の3つを目的としており、リーズ大学が他のパートナーとともに主導する。可能な限り幅広い種について、可能な限り幅広いソースから、英国の昆虫個体群について、最も包括的な分析を行う。データを駆使して、昆虫の個体数に最も大きな影響を与えた要因をテストし、様々な政策がこれらの影響にどのように対抗できるかをモデル化する。調査結果は、英国の生物多様性保全戦略に重要な貢献をすることが期待されている。
https://www.ukri.org/news/nerc-funding-to-help-protect-uk-insect-populations/
(UKRI記事) 元記事公開日: 2021/2/2
~米国:DOEが次世代スーパーコンピューターに科学ソフトウェアを適応させる研究に1,200万ドルを提供~DOE to Provide $12 Million for Research on Adapting Scientific Software to Run on Next-Generation Supercomputers
米国エネルギー省(DOE)は、科学ソフトウェアを次世代の強力なスーパーコンピューター上で動作するように適応させることを目的とした研究に、最大1,200万ドルを投資する。DOE科学局長代理のビンクリー博士は「次世代のスーパーコンピューターは、我々がエクサスケールコンピューティングの時代を超えて進むにつれて、科学的調査と発見の能力を大幅に向上させる。これらの機能を利用するには、根本的に新しいコンピューティングアーキテクチャとプログラミング環境に適応する必要がある。研究は、非常に体系的な方法でこれらの課題に取り組むことを目指している」と語った。目標は、次世代プラットフォームへのソフトウェア移行の労力を削減し、科学ソフトウェアと新しいコンピューティングプラットフォームの潜在能力を最大限に引き出すことにある。
https://www.energy.gov/science/articles/doe-provide-12-million-research-adapting-scientific-software-run-next-generation
(DOE記事) 元記事公開日: 2021/1/28
~米国:FETTプログラムが、SSITHハードウェアの防御力強化を支援
~FETT Bug Bounty Helps Strengthen SSITH Hardware Defenses
国防高等研究計画局(DARPA)は、(技術の防御力を評価・分析するためのクラウドソースされたレッドチームの演習である)FETT(Finding Exploits to Thwart Tampering)Bug Bountyプログラムにおいて、SSITH(System Security Integration Through Hardware and Firmware)プログラムの下で開発された安全なハードウェアアーキテクチャの価値が証明されたと発表した。FETTプログラムでは、580人以上のサイバーセキュリティ専門家が、2020年7月から10月にかけて、1万3,000時間を超えるハッキング・エクスプロイト(hacking exploits)を実施し、980以上のSSITHプロセッサを試験し、10の有効な脆弱性を発見した。SSITHプログラムは、現在第3および最終段階にあり、研究チームは、さらにセキュリティ保護強化を目指して、技術のさらなる性能向上に重点を置いている。
https://www.darpa.mil/news-events/2020-01-28
(DARPA記事) 元記事公開日: 2021/1/28
~欧州委員会がCOVID-19ワクチンの域外輸出に透明性と許可制度を導入~Commission puts in place transparency and authorisation mechanism for exports of COVID-19 vaccines
欧州委員会(EC)は、全てのEU市民がCOVID-19ワクチンにタイムリーにアクセスできるようにすると共に、ワクチンのEU域外輸出の不透明性に対処するため、輸出に関して、加盟諸国の許可を必要とする措置を講じた。これは、欧州連合(EU)と事前購入契約(APA)を締結した企業からの輸出にのみ適用されるもので、2021年3月末までの時限的な措置である。ECはワクチン開発者の生産能力開発に多額の投資を行い、欧州市民への迅速なワクチン接種を確保するために、計画と予防接種戦略を支援してきた。従って、特に重要なCOVID-19ワクチンが不足する可能性がある状況において、事前購入契約(APA)に基づいて支払われた資金がどのように使用されたかをEUがモニターすることは合理的である。目的は、欧州市民に透明性を提供することにある。
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/IP_21_307
(欧州委員会記事) 元記事公開日: 2021/1/29
~欧州グリーン・ディール公募の4つのトピックで、433のプロジェクト提案を受理~European Green Deal call managed by REA receives 433 project proposals for around €3 billion
欧州連合(EU)の研究執行機関(REA)は、欧州グリーン・ディール公募の4つのトピックで、433件の提案を受理した。提案の予算要求額は合計で約30億ユーロとなり、REAトピックに利用可能な資金(1億400万ユーロ)の29倍となった。REAトピックは、よりグリーンな欧州への移行に向けて、「農場から食卓まで(Farm to Fork)戦略の支援」、「海洋観察」、「市民参加」、「行動、社会、文化の変化」に関するプロジェクトに資金を提供する。提案は現在、許容性と適格性について審査されており、その後独立した専門家パネルによって評価される。評価結果は2021年5月末までに通知される。欧州グリーン・ディール公募(総予算10億ユーロ)は、グリーン・ディールの主要な優先事項に具体的な解決策を提供することにより、研究と革新を動員して、公正で持続可能な社会的移行を促進することを目的としている。
https://ec.europa.eu/info/news/european-green-deal-call-managed-rea-receives-443-project-proposals-around-eu3-billion-2021-feb-02_en
(欧州委員会記事) 元記事公開日: 2021/2/2
~米国:NIHが精神的な幸福の研究を進める研究ネットワークを助成~NIH networks to advance emotional well-being research
国立衛生研究所(NIH)は、5つの新しい研究ネットワークに、総額313万ドルの資金を提供する。これにより、研究者は精神的な幸福の研究を前進させる重要な概念に磨きをかけ、試験することができる。精神的な幸福は、自身の感情、人生の満足度、意義と目的意識、および自己定義した目標を追求する能力の全体的なポジティブな状態として定義される。たとえば、人生の目的意識を持つことで、心臓発作や脳卒中のリスクが軽減することが示されている。精神的な幸福とその中核的な要素(感情のバランス感覚、思考、社会的関係、追求)を研究する機会は、健康増進と病気の予防を促進するというNIHの広範な目的と一致している。研究ネットワークの設立は、会議、コンファレンス、小規模パイロット研究など、分野や機関の壁を超えた一流の科学者間の情報提供の促進を目指している。
https://www.nih.gov/news-events/news-releases/nih-networks-advance-emotional-well-being-research
(NIH記事) 元記事公開日:2021/2/1