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2019年05月17日

【海外動向】科学技術イノベーション政策の科学 海外情報(5月13日~5月17日)

CRDS-研究開発戦略センター

「政策の科学」関連 海外情報  期間:5月13日~5月17日
CRDS科学技術イノベ-ション政策ユニットにおいて、海外の「政策のための科学」関連のインターネットサイトやツィッターでの関連タグ(「政策のための科学」関連のツィートの抽出ができる)* から、日本の「科学技術イノベーション政策の科学」関係者にとって関係が深いと思われる記事や情報を選択し、以下のとおりまとめました。(文責:林)
 
主なトピック:【情報提供】
【情報提供】

~米国:米国イノベーションタスクフォースによるレポート~A Report by the Task Force on American Innovation
企業、大学、科学団体によって構成される、米国イノベーションタスクフォース(Task  Force  on American  Innovation : TFAI)による研究、STEM教育、労働力開発のイノベーションベンチマークについての分析。競合国に対し、米国の地位が脅かされていることに警鐘を鳴らしている。レポートのタイトルは、「米国イノベーションタスクフォースによるレポート2019年5月 –  米国は第2位?米国の科学リーダーシップに対する挑戦」(A Report by the Task Force on American Innovation May 2019 : Second Place America? Increasing Challenges to U.S. Scientific Leadership)
http://www.innovationtaskforce.org/wp-content/uploads/2019/05/Benchmarks-Highlights-Final4.pdf
 (Task Force on American Innovationレポート)
 
~米国:学術界での成功は才能だけでなくやり抜く力~Success in academia is as much about grit as talent
国立衛生研究所(National Institutes of Health : NIH)の時系列データを使った、科学者の成功はキャリア初期の失敗から学んだことが大きいという論文の紹介。
https://www.economist.com/graphic-detail/2019/05/10/success-in-academia-is-as-much-about-grit-as-talent?fsrc=scn/tw/te/bl/ed/successinacademiaisasmuchaboutgritastalentdailychart  (Economist誌記事)
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=3353841 (論文)
 

 
~米国:米国の科学コミュニティは公共財に焦点を当てるという任務の再起動が必要~U.S. Scientific Community Needs a Mission Reboot to Focus on Public Good
米国科学振興協会(AAAS)第44回科学技術政策フォーラムでカーネギーメロン大学のMichael McQuade研究副学長は、社会における科学の信頼を確保するには研究成果の公共財としての還元が必要と語った。
https://www.aaas.org/news/us-scientific-community-needs-mission-reboot-focus-public-good  (AAASニュース記事)
 
~米国:国立衛生研究所の管理データ居留所のためのステークホルダー意見募集~Request for Information (RFI) Seeking Stakeholder Input on the Need for an NIH Administrative Data Enclave
国立衛生研究所(National Institutes of Health)が「科学イノベーションの科学」(Science of Science and Innovation)を支援するため、研究資金提供機関の管理データを保全する居留所(enclave)設立のための意見募集を広く行っている。現在、NYU行政データ研究施設(ADRF)やミシガン大学イノベーション科学研究所(IRIS)、国勢調査局の連邦統計研究データセンター(FSRDC)が居留所として存在しているが、今後のネットワーク拡大も視野に入れているとのこと。SciSIP研究の常連であるMITのPierre Azoulay教授やUMETRICSのBruce Weinberg教授も関心を示しておりVPNの使用によるネットワークの構築などが話題に上っている模様。
https://grants.nih.gov/grants/guide/notice-files/NOT-OD-19-085.html  (NIHホームページ)
 
~米国:エンジニアが告発者になる時~When Engineers Become Whistleblowers
米国における環境政策に大きな影響力を持つRalph Nader氏による寄稿。エンジニアは往々にして廃棄問題、不正、
安全性に関して、社会の誰よりも早く感知するため、社会のために告発すべきという記事。
https://blogs.scientificamerican.com/observations/when-engineers-become-whistleblowers/  
(Scientific American誌記事)
 
~米国と中国:中国企業が米国からの技術移転を促進する手法~How Chinese companies facilitate technology transfer from the US
米連邦議会に設置されている米中経済・安全保障問題検討委員会(U.S.-China Economic and Security Review Commission, USCC)発行のレポート。このレポートでは、(1)海外直接投資、(2)ベンチャーキャピタル投資、(3)合弁事業、(4)ライセンス契約、(5)サイバースパイ、および(6)才能ある研究者獲得プログラムについて検証している。また、中国への技術移転の増加のリスクを評価し、既存の米国における規制の有効性を検証している。
https://www.uscc.gov/Research/how-chinese-companies-facilitate-technology-transfer-united-states
 (概要:米中経済・安全保障問題検討委員会レポート)
https://www.uscc.gov/sites/default/files/Research/How%20Chinese%20Companies%20Facilitate%20Tech%20Transfer%20from%20the%20US.pdf (レポート全文)
 
~米国と中国:中国が特許の「雪崩」で米国の技術優位性を衰退させる~China Erodes U.S. Dominance in Tech With an Avalanche of Patents
過去10年間の特許出願の分析によると、米国は人工知能、ブロックチェーン、およびその他の重要な技術に関連する技術革新に関して、中国に対する優位性を失っている。
https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-05-10/china-erodes-u-s-dominance-in-tech-with-an-avalanche-of-patents  (Bloomberg誌記事)
 
~中国:中国による欧州科学へ繋がる道筋~China charts a path into European science
先週の本欄でも紹介した、Nature誌の「中国の科学シルクロード(China’s science silk road)」と題された連続記事のひとつ。中国の一帯一路が中央および東ヨーロッパに広がるにつれて、中国による研究と技術への投資は西側で懸念を呼び起こしているという記事。
https://www.nature.com/immersive/d41586-019-01126-5/index.html  (Nature誌記事)
 
~中国:南アメリカは北京の科学シルクロードに好意的~South America is embracing Beijing’s science silk road
Nature誌の「中国の科学シルクロード(China’s science silk road)」と題された連続記事のひとつ。秘密に満ちた宇宙施設から新しい望遠鏡の計画まで、南アメリカ諸国は中国による世界規模のインフラ拡張の科学的影響を受け始めているという記事。
https://www.nature.com/immersive/d41586-019-01127-4/index.html  (Nature誌記事)
 
EU:研究開発プログラムは何のため? Horizon Europeの交渉で東西の緊張が高まっている~What’s an R&D programme for? How Horizon Europe negotiations show mounting east-west tensions
予算941億ユーロのHorizon Europeの研究開発プログラムをめぐる交渉で、貧しいEU13カ国の研究者への平等な報酬の要求をめぐる論争がどのように起こったかをまとめた記事。
https://sciencebusiness.net/framework-programmes/news/whats-rd-programme-how-horizon-europe-negotiations-show-mounting-east  (Science|Business誌記事)
 
EUEU、何十億ユーロもの金額を「結果なし」研究に費やす~EU spends billions on research with “no result”
退任する欧州議会議員Hans-Olaf Henkel氏が欧州の研究開発費の方向性に疑問を呈している。公共部門の研究拝発費は民間部門が投資していない長期プロジェクトに焦点を当てるべきだと同氏は主張している。
https://sciencebusiness.net/framework-programmes/viewpoint/viewpoint-eu-spends-billions-research-no-result  (Science|Business誌記事)
 
EU:欧州委員会、Horizon Europe課題委員会の募集を開始~EU Commission opens recruitment for Horizon Europe mission boards
Horizon Europeでは5つの「ミッション(課題)領域」に対して、それぞれ委員会が設置される。各委員会は15名の委員によって構成され、課題のデザインおよび運営が託されている。一方、Horizon Europe の構造は明確になってきたが、各課題と予算との紐付けは未だ不明確である。
https://sciencebusiness.net/framework-programmes/news/eu-commission-opens-recruitment-horizon-europe-mission-boards (Science|Business誌記事)
 
~英国:議会へ架ける橋~A bridge to Westminster
英国議会の知識交換部(Knowledge Exchange Unit)は、利用可能な最適の研究エビデンスを立法の通過、政府の精査、および議論に使用することを目的に設けられている。
https://www.researchresearch.com/news/article/?articleId=1381344  (*Research誌記事)
https://www.parliament.uk/get-involved/research-impact-at-the-uk-parliament/knowledge-exchange-at-uk-parliament/ (Knowledge Exchange Unit概要)
 
G7G7の科学アカデミーが科学と信頼、人工知能、市民科学に関する声明を発表~G7 Science Academies Release Statements on Science and Trust, Artificial Intelligence, Citizen Science
G7の科学アカデミーは、8月にフランスで開催されるG7サミットでの議案について3つの共同声明を発表した。その3つとは、科学と信頼(Science and Trust)、人工知能と社会(Artificial intelligence and society)、そしてインターネット時代の市民科学(Citizen science in the Internet era)についてである。
http://www8.nationalacademies.org/onpinews/newsitem.aspx?RecordID=562019  (米国科学アカデミーニュース記事)
 
~特許:特許は何を意味するのか?~What Do Patents Mean?
特許はかつて発明を奨励するための強力な政策ツールと見なされていたが、現在の企業における研究環境では特許がイノベーションに果たす役割は少ないのではないか、という企業で研究を行ってきた著者による記事。
https://issues.org/what-do-patents-mean/  (Issues in Science and Technology誌記事)
 
~科学者のキャリア:科学者がビザに関する障害について知っておくべきこと~What scientists should know about visa hurdles
日本の研究者の海外での研究機会が増える事が予想されるが、海外での労働ビザ発行の遅れ、予想外の料金、さらには審査による発行拒否さえも考慮しなくてはならないという研究のための労働ビザ取得における心構えを記した記事。
https://blogs.scientificamerican.com/observations/when-engineers-become-whistleblowers/  
(Scientific American誌記事)
 
~論文:研究助成機関における評価 - 構造的に多様なチームは偏って評価されているか?~Evaluation in research funding agencies: Are structurally diverse teams biased against?
英国の研究資金助成機関である工学・物理科学研究評議会(Engineering and Physical Sciences Research Council :EPSRC)の評価を体系に分析し、知識やスキル、教育などの多様性が高い研究グループが研究資金を獲得しにくいことを示した論文。
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S004873331930099X  (概要:Research Policy誌)
http://cefup.fep.up.pt/uploads/eco%20seminars/2019/Paper_In%C3%AAs_David_26.04.2019.pdf (論文全文)
 
(ご挨拶)
私事で大変恐縮なのですが、今回の配信をもって海外情報の担当を降りることになりました。いままで皆様のご指導、ご鞭撻、誠に有難うございました。引き続き、この「政策のための科学」海外情報をご支援いただければ幸いです。(担当 林)
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(参考)
現在、定期的に情報収集しているサイトは以下の通り:
²  SOSP掲示板 http://www.scienceofsciencepolicy.net/listserv (現在アクセス不可) 
²  Twitter ハッシュタグ#scisip、#scipolicy、 #scipol、#InnovationDeficit
アカウント@MIOIR、@sppgatech、@CSPO_ASU、@SPRU、@uclsteapp等。
²  Institute for Research on Innovation & Science  http://iris.isr.umich.edu/index.php/news/  
²  Research Infrastructure for Research and Innovation Policy Studies http://risis.eu/events/  
²  Center for Science of Science and Innovation Policy http://cssip.org/  
²  Fraunhofer Institute for Systems and Innovation Research ISI http://www.isi.fraunhofer.de/isi-en/index.php  
²  Institute For Research and Innovation in Society http://ifris.org/en/actualites/  
²  NESTA http://www.nesta.org.uk/  
²  Joint Research Centre (European Commission)  https://ec.europa.eu/jrc/
海外情報は、【俯瞰:研究基盤】、【俯瞰:分析手法】、【俯瞰:政策デザイン】、【情報提供】、【ディスカッション】、【告知】に分類した。

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