タイトル | 研究推進支援人材は外部研究資金獲得や産学連携、研究生産性にどのような影響を与えるか:オリジナルパネルデータを用いた実証分析 |
英語タイトル | How do URAs affect the acquisition of external research funds,industry-university collaboration, and research productivity?
An empirical analysis using original data covering Japaneseuniversities. |
著者名 | 枝村 一磨, 古澤 陽子, 吉岡(小林)徹, 高橋 真木子, 渡邉 万記子, 隅藏 康一 |
キーワード | |
発行日 | 2024年4月 |
出版者 | 政策研究大学院大学 科学技術イノベーション政策研究センター |
シリーズ番号 | 2024年 第1号 |
URL | https://doi.org/10.24545/0002000085 |
シリーズ名 | 政策研究大学院大学 科学技術イノベーション政策研究センター ワーキングペーパー |
概要 | 本研究は、「研究推進支援人材が、産学連携や外部研究資金の獲得、ひいては大学の研究力強化に与える効果はどの程度あるか、その効果は定量的に把握可能か」というリサーチクエスチョンに基づく、日本の国公私立大学ののべ12 年間にわたるデータを用いた実証分析の成果である。
分析に際して、URA の人数及び活用状況、企業や政府系機関から大学が獲得した外部研究資金の件数や金額、発明届出件数、特許出願件数等のデータ(産学連携等実施状況調査(文部科学省))に加え、 教員数や使用研究費、研究分野等のデータ(科学技術研究調査(総務省))、各種論文データ(Web of Science)を接合し(2008 年から2019 年まで)、大学ごとに年ごとの推移を追跡することができるパネルデータを独自に構築した。
本研究では、分析対象であるURA について、第一に、研究シーズプッシュ型で産業界のニーズや競争的資金とのテーマ提案を行う機能を有している場合がある。第二に、研究プロジェクトの進捗をマネジメントし、効果的な成果に至る確率を高める役割を担う場合がある。第三に、全学の研究関連業務の効率性を高め、研究者がより研究に集中できることを通じて、研究生産性を下支えする役割を担う場合がある、と仮定し、URA が外部研究資金獲得や産学連携、研究生産性に与える影響について実証分析を行った。
その結果、研究推進支援人材の中でも特に研究支援に特化した研究推進支援人材の雇用が、産学連携の実施確率や、民間からの研究資金獲得を件数、金額ともに高めていること、論文数や発明届出件数、特許という研究アウトプットを促進させることが示唆された。
さらに、産学連携を積極的に行っている大学は、公表論文数や発明届出件数、特許件数が多いこと、産学連携による研究活動が、当該プロジェクト以外の研究アウトプットにもプラスの効果を与えていること、外部研究資金の獲得が発明届出件数や特許件数にプラスの効果を与えていることも定量的に示唆された。
本研究成果は、大学の産学連携や外部資源獲得などに対する研究推進支援人材の効果を定量的に示すもので、大学が産学連携や外部研究資金獲得を通して研究力を向上させていくための戦略や組織を検討するエビデンスとなると同時に、政策立案上も有用であると考える。 |