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成果・資料

【SciREXワーキングペーパー】大学評価と運営費交付金配分の一体的改革の在り方

タイトル

大学評価と運営費交付金配分の一体的改革の在り方

英語タイトル

Integrated Reform of University Evaluation and Funding

著者名

林 隆之, 齊藤 貴浩, 水田 健輔, 米澤 彰純, 川村 真理, 安藤 二香

キーワード
発行日

2020年10月31日

出版者

政策研究大学院大学 科学技術イノベーション政策研究センター

シリーズ番号

2020年第4号

URL

大学評価と運営費交付金配分の一体的改革の在り方

シリーズ名

政策研究大学院大学 科学技術イノベーション政策研究センター ワーキングペーパー

概要

日本の国立大学法人への運営費交付金は2004年の法人化以降に削減がすすみ、第三期中期目標期間からは機能強化促進費や共通指標による配分の枠組みが導入された。このことは、大学の財政を不安定化し、大学の自律的な経営を困難にしつつある。また、日本には2つの大学評価制度がありながら、資金配分のための評価が別に行われるようになり、大学に重複した負担をかける状況になっている。我が国の高等教育や社会を発展させるためには、大学評価と運営費交付金の在り方を一体的に検討し直す時期にきている。
このような点から海外諸国の状況を調査した結果、財政配分については、その根拠や効果を透明性をともなってわかりやすく社会に提示するため、広い意味での大学評価と関連づけた議論や取組みが進んできていることが明らかとなった。すなわち、運営費交付金のような基盤経費の配分は、日本のような前年度額や非公式の交渉に基づく配分から、必要コスト(学生数等)や実績指標を総合的に用いた算定方式や、大学と国との契約に基づく配分を含むものへと次第に変化している状況がある。大学評価の方法についても、教育面では、学生満足度調査や卒業率・雇用状況等を、研究面では研究成果の学術的質や社会的効果(インパクト)に対する評価者による研究評価等を活用する国もあるなど、実績を定量的・定性的に測定する方法の開発が進んでいる。
そのため、本報告では、運営費交付金は前年度額に基づく理論なき配分から、大学の教育・研究・社会貢献の機能ごとに、必要コストや実績の測定を行い、配分に反映させる透明な算定方式へ移行することが必要であることを提言する。このような方法をとることで、運営費交付金が安定的、あるいは期間中の増減が予め把握可能な資金配分となり、また、社会からは大学の実績への理解と支持がえられることで、大学による長期的な視野に立つ自律的経営が可能となることが期待される。国立大学法人評価は、大学の教育研究活動の状況や実績を量的・質的に把握・評価し、運営費交付金へ反映させることが可能な情報を提供することを目的とする評価へと転換することを提言する。

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