成果・資料
【SciREX-WP】日本のイノベーションとスター・サイエンティストの役割:現状と課題
タイトル | 日本のイノベーションとスター・サイエンティストの役割:現状と課題 |
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英語タイトル | Japan’s Innovation System and the Role of Star Scientists |
著者名 |
千葉大学 法政経学部 准教授
政策研究大学院大学 科学技術イノベーション政策研究センター 客員研究員
長根(齋藤)裕美
早稲田大学大学院 経営管理研究科 准教授
牧兼充 |
キーワード | スター・サイエンティスト, ベンチャー, ファンディング, 特許 |
発行日 | 平成30年6月1日 |
出版者 | 政策研究大学院大学科学技術イノベーション政策研究センター |
シリーズ番号 | 2018-#1 |
URL | https://scirex.grips.ac.jp/resources/8ed1d9a102eb2d2241009a31fbb070f8cf851a56.pdf |
シリーズ名 | SciREX ワーキングペーパー |
概要 | 学術論文の生産性が高くベンチャー企業へも大きく関与する "スター・サイエンティスト"がどのような役割を果たしているか、先行研究を踏まえつつ日本の状況に関するデータ分析を加えた。
スター・サイエンティストのベンチャー企業への関与が、ベンチャー企業のパフォーマンスやスター・サイエンティスト自身の研究業績にどう影響するか、先行研究を紹介。一連のZucker and Darbyの研究成果を踏まえると、スター・サイエンティストと企業が何らかの形で関わると、それぞれ研究業績および企業業績が上がるという“サイエンスと商業化における好循環”の存在というきわめて興味深い結果が示唆された。
サイエンスと商業化における好循環は、国を超えた普遍的な現象なのか、Zucker and Darbyの国際比較の結果を紹介する。さらには日本に焦点をあてて、科学技術基本法以前の日本の産学連携についての新しい視点を提示するとともに、その背景に何があったか、日本のナショナル・イノベーション・システムの特徴を踏まえて考察を加えた。
また、データを用いて世界のスター・サイエンティストの最近の動向を分析した。米国が圧倒的にスター・サイエンティストを輩出しており、日本のスター・サイエンティストの存在感はそれほど大きくないこと、特に日本のスター・サイエンティストの数はここ最近低下傾向にあることが示された。また国力(人口やGDP)とスター・サイエンティストとの関係についても国際比較される。そこでは経済規模が拡大しても、線形にスター・サイエンティストの数が増えていくわけではないことが示され、インプットが大きくなるほどアウトプットの増加率は逓減し、限界生産性の逓減が示唆される。また研究分野別および所属機関別の世界のスター・サイエンティストの現況も示した。 更に、日本における直近のスター・サイエンティストの現状について所属機関、分野別に分析を行った。彼らの学術的側面だけではなく、産業界における役割について検討するため、日本のスター・サイエンティストの特許の状況についても分析を加えた。特許の登録数や被引用回数についてスター・サイエンティストの間でも差は大きいものの、彼らの半数以上が少なくとも特許登録をしたことあり、また半数近くが特許の被引用もされていることが明らかになった。すなわち日本のスター・サイエンティストは、論文執筆のみならず、特許の面でも貢献している可能性がある。 |