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成果・資料

【SciREX-WP】 先進諸国の医療ICT推進の最新動向 : スウェーデンとエストニアの事例を中心に

タイトル

先進諸国の医療ICT推進の最新動向 : スウェーデンとエストニアの事例を中心に

英語タイトル

The Latest trend of Health ICT Utilization in Advanced Countries : The Cases of Sweden and Estonia

著者名

金 貝

キーワード

医療, ICT, 国民番号制度, スウェーデン, エストニア

発行日

2016/9/21

出版者

政策研究大学院大学科学技術イノベーション政策研究センター

シリーズ番号

#04

URL

https://grips.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=1582&item_no=1&page_id=13&block_id=24

シリーズ名

SciREX ワーキングペーパー

概要

医療分野における ICT 技術の活用は、今後の医療の発展のために大いに期待されている。本 稿は、昨今、社会保障・税番号(マイナンバー)制度の実施を背景に、医療行政の次期の課題とし て、医療 ICT の推進を分析対象として取り上げる。日本における医療 ICT の導入は医療機関ま たは地域が限られているのに対して、2000 年代初頭から、医療 ICT を積極的に推進してきた先 進国家も少なくない。本稿では、2015 年度に実施した海外調査を踏まえて、社会福祉の先進国 であるスウェーデンと、IT 大国として注目されつつあるエストニアの医療 ICT 技術推進の最新動 向を紹介する。



スウェーデンとエストニアはそれぞれの医療問題に直面し、いずれも 2000 年代初頭から医療 ICT の導入に注目し、これを国家戦略までに取り入れた。それ以降、両国では電子処方箋や電 子救急サービスなど、多様なデジタル医療サービスが提供されるようになった。本稿では、これらの スウェーデンとエストニアの事例を踏まえて、医療 ICT に対する日本と両国の姿勢が対照的であ る原因、また、医療 ICT のメリットとリスクの検討も試みた。医療 ICT に対する日本と両国の姿勢 が対照的である原因については、医療のプライバシーに対する認識の相違、診療における患者の 位置付けと医療情報の取り扱いにおける重点の置き方の三点の原因が指摘できる。また、医療 ICT のメリットとリスクに関しては、医療 ICT は患者の権限強化、医療従事者による診療の質の改 善と、医療提供の比較分析による医療財政の健全化に寄与する可能性がある一方で、現段階で は、医療情報交換のセキュリティを保証できないというリスクも抱えていると思われる。今後、医療の 利便性、経済効率性とプライバシーのバランスを意識しつつ、医療 ICT に関する「科学的根拠」を 踏まえた政策形成の展開が期待される。

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