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成果・資料

【CRDS】第7回科学技術イノベーション政策の科学」構造化研究会 議事録

第7回科学技術イノベーション政策の科学」構造化研究会 
平成26年7月18日(金)

○司会 ……黒田昌裕より、開会の御挨拶を申し上げます。よろしくお願いします。
○黒田 皆様こんにちは。きょうはお暑い中、またお忙しい中、この構造化研究会にお集まりいただきまして、ありがとうございます。SciREXが始まってちょうど3年ちょっと過ぎたわけですけれども、構造化研究会もSciREXが始まると同時にCRDSが所管するということで進めてまいりました。
 課題は、科学技術イノベーション政策のための科学というのをやるときに、当初、どんなものか、どういう形の科学をつくるのかということすら非常に曖昧模糊としていた部分がありまして、そういう中でどうやって科学というものをつくっていこうかということを議論する、そういう場として、この構造化研究会というのをつくったというふうに、私、記憶いたしております。
 きょうは、非常に多くの関係の方々に御関心をもっていただきまして、CSPPからもおいでいただいていますし、田中審議官、イトウ次長初め文科省の関連省庁の重責の方々も関心を持っていただいております。
 そういう意味では、少しずつSciREXというのが社会性を持ってきたのかなと思っておりますけれども、構造化研究会そのものは、昨年1年間、サボっていたわけではないんですけれども、ほとんどこういう形の会をやってこなかった。やってこなかった理由には、一つは、いろいろな各プログラムがそれぞれ    しておりまして、それぞれいろいろ考えてやられている中で、その制度がどこに集まるかということを見ながら、その結果、構造化ということにもう一歩踏み込んだ議論ができるんじゃないかということで、各プロジェクト、各チームの検討過程を見てまいりました。
 きょうは、そういう意味で、ここ3年ほどやってきたSciREXのプログラムというものを見直して、もう一度改めて構造化をすることによって、これからさらにどう進むべきかということをざっくばらんに御議論いただくということだろうと思います。
 片方で第5次の基本計画も始まると聞いておりますし、それからSciREXの一環としてはGRIPSにこの8月から中核になるようなサイレックス研究センターを置くということになりまして、ここではまたオープンの場として関係諸大学とか研究機関との連携をとりながら、中身を充実していきたいというふうに考えております。
 そういう意味で、きょう、まさに全て今までやってきたことのいい点、悪い点を含めて、ざっくばらんに議論し合うことによって、一歩前進させたいと思っておりますので、どうかよろしく活発な御議論をしていただきたいというふうに思っております。
 本日は本当にありがとうございました。
○司会 ありがとうございました。
 それでは、第Ⅰ部、科学技術イノベーション政策の科学の進捗状況についてに入ります。
 本日の資料は10部ありますので、御確認ください。それから、プログラム関連については、開催案内の裏にございますので、御確認いただければと思います。なお、各発表者の持ち時間の終了時にベルを鳴らさせていただきますので、御了承ください。
 まずJST­CRDSフェロー、己斐裕一より、「政策の科学」の深化に向けた取組みについて、御紹介いたします。
○己斐 研究開発戦略センターの己斐と申します。本日はよろしくお願いいたします。
 きょうの会議の初めに、まずこの科学技術イノベーション政策の科学の深化に向けて、というタイトルで発表させていただきます。
 きょうの会議の趣旨は、御案内のとおり、これまでのSciREXの3年間の振り返りと、あと、SciREXだけでなく政策の科学の成果の実装に向けて何が必要なのかということを御議論いただきたいと考えているところですけれども、まずこの皮切りといたしまして、我々研究開発戦略センターのほうで行っている政策の科学という分野の構造化と俯瞰を検討しているわけなんですけれども、その構造化と俯瞰に向けて我々は何を検討しているのかとうことを御紹介させていただければと思います。
 まず最初に、ロードマップと題した図を示しておりますけれども、政策の科学の日本における取組みというのを振り返ると、まず最初に2010年度の終わりにCRDSのほうで戦略プロポーザルが発行されました。
 この確定した戦略プロポーザルをもとにサイレックス事業が始まりまして、ことしで4年目になるわけですけれども、その間にCRDSでは、この政策の科学という新しい分野の構造化、俯瞰、何を研究する分野なのか、どういう研究が必要とされているのか、そういった研究がどういうふうに役立つのかといったような問いに答えるべく俯瞰、構造化ということを試みて活動してまいりましたけれども、それに資する議論を行う場として、構造化研究会というものを設置いたしまして、今まで、先ほども黒田上席官からお話をいただきましたけれども、時期によっては間があいてしまったこともあったんですが、今まで6回開催してきておりまして、今年度きょうを第1回として3回程度の開催を予定しておりまして、この領域の俯瞰と構造化に向けた議論を皆さんとしていきたいと考えているところであります。
 それで、きょうはプログラムを見ていただいたらわかりますとおり、日本のSciREXを中心とした取組みみたいに大体なりますけれども、この3回シリーズのうちには、我々のほうで調査等をいたしまして、海外でのこういった政策の科学に関連する取組みの動向についても随時共有させていただけたらと考えております。
 それで、構造化とは何かということなんですけれども、そもそも政策の科学とは何かということを、当初というか、そのプロポーザルに出したい点というのを振り返ってみますと、まず第1に科学的合理性のある政策を形成すること、第2に政策形成過程を合理的なものとすること、第3に政策形成過程の透明性を高め、国民への説明責任を果たすこと、第4に政策の科学の成果や知見の公共性を高め、国民の政策形成への参画の際に活用できるようにすること、5番目に、政策形成における関与者が適切な役割と責任のもとに協働すること、ということを目指すような、また、つくろうということが設計理念として書かれていたわけです。こういった目標に貢献するような活動にしていかなければいけないと認識しているところです。
 それで、次に、これも当初のプロポーザルに書かれていたことですけれども、政策の科学を普通の科学と隔てるのは何かということですが、そのことを考えると、政策形成に資する成果、政策の科学の成果は政策形成を改善するものでなければならないということを強く意識されているところが特異なところかと思います。
 それで、きょうの議題にもありますけれども、政策の科学の成果をどういうふうに実装して、政策立案評価のほうも改善に活用していくか、また、政策形成システムもそれによって変わっていかなければいけないわけです。そこから新しい課題が出てきて、それを政策の科学の活動のほうに上げたりして、より政策形成のプロセスの改善に役立つような研究活動を行えるというような、そういった相互作用の中で一体的に推進することが必要であろうということです。
 この図はかなり抽象的な絵なんですけれども、我々なりに、この3年間のSciREXの歩みを踏まえて、もう少し具体化したものが次の図になりますけれども、政策の科学というレイアウト、政策形成システムのほうにまとまった案に、その政策の科学の活動の成果を入れていくかという図になります。
 我々は今、政策の科学と呼んでいる活動の前に、それに先立つものとして、個別のディシプリンの政策の科学にかかわりのある社会学、政治学、行政学、あるいは経済学といったような多様な分野がありますが、そうした分野の個々の研究、いろいろな研究をアプローチする知見がある中で、これをそういった多様なアプローチとか方法論というのが、学際的に交わる場として、政策の科学というものがあるのかなと、政策形成のプロセスの改善に資するという目的志向で、そういった研究が行われる場なのかなというふうに認識しております。
 それで、先ほどから繰り返して申し上げておりますように、そこから得られる知見というのは、政策のほうに実装されなければいけないわけですけれども、我々の理解としては、その前に研究成果を統合する場というのが、必要に応じて必要になってくると考えておりまして、というのは、いろいろなアプローチが存在する中で、その中から何を選べばいいのかとか、どうして統合を選んだのかというところに関して、透明性とか説明責任を果たすことに、より貢献するためにそういった仕組みが必要なのかなというふうに考えているところであります。
 それで、我々が構造化の対象とするのは、こういう研究という、どういう研究があるかというところと、あと、統合の場というところで、どういった統合の方法があるか、また、きょうのテーマになっておりますけれども、成果の実装・展開をどういった方法があるか、何が必要になるのかといったところも、構造化に際してのクエスチョンであろうかなと考えているところです。
 それで、これは先ほどの政策の科学の部分だけ、研究の部分だけを切り取ったものですけれども、それらが出てくる知見の結果を束ねて統合する仕組みがあるというところでして、これは、より具体的に申しますと、去年、文科省と研究開発戦略センターで協働して糖尿病の予知・予防に関する政策オプションというものをつくっておりましたけれども、あれは、将来、社会論に関する理論を出すところから、そこから導かれる政策課題の抽出、その課題を解決する手段の抽出、その手段を実行した場合の経済社会的影響の評価まで全部ワンセットで、ワンストップで回すという試みであったわけで、それも一つのこの制度の集約のやり方だったのかなというふうに考えております。
 それで、そういった成果の実装・展開する際に意識しなければいけないのは、その実装される先の政策体系の場、政策テーマ、一枚岩では必ずしもなくて、いろいろなレベルがあるといったところで、どの政策のレベルに対するインプットなのか、どの政策のレベルに対して貢献する成果なのかということを常に意識しなければいけないと考えているところです。
 そして、今、説明したようなところは、これまでSciREXを中心にやってきた取組みを張りつけながら、今までのSciREXの取組みがどういったところなのかといったところを考えてみたのがこの図ですけれども、まず政策の科学にかかわる学会なり研究会というのがそれぞれあって、あるいは関係機構で自発的に研究していただいている先生方もいらっしゃって、ただそこでは補い切れないものとして、学際的にアプローチ等を実現するためにJSTの社会技術のほうで公募型研究開発をやったりですとか、または、NISTEPの政策課題対応型調査研究があったりとか、あるいはそういった研究を支える上で基盤整備的な取組みとしては、データ・情報基盤整備事業があったりであるとか、あるいは人材育成があったりとかというふうに行われてきております。
 それで、先ほどから説明している成果の統合というところですけれども、来月から立ち上がります中核拠点というのも、こういった個々の取組みの成果を集約する一つになるのかなというふうに認識しております。
 それで、次のこの図ですけれども、これは政策の科学の研究というのを構造化すると、こういうイメージになるのかなと書いているところでして、ここに縦軸になっているのが情報工学系、政治学、法学、行政学、経済といった多様なディシプリン、別のアプローチがある。いろいろな社会科学、自然科学のバックグラウンドから出てくる個別の方法論がある中で、そういった方法とか知見というのは、政策のどこを改善するのかというところの切り口から整備してみることも可能ではないかというイメージ図でして、横軸がその政策プロセスになっております。これはかなり政策プロセスを模式化したものですけれども、こういった制度ができるのではないかといったところで、これはこれからどんどん洗練させていかなければいけない図ですけれども、我々のほうでこういったところを検討しております。
 そして、これも繰り返しになりますが、知見の統合の仕組みとしては、政策オプションというのが去年行われましたけれども、これはあくまで成果統合型の一例ですので、ほかにもどういった集約のやり方があるのかといったところも整理していく必要があると考えております。
 構造化についての説明は以上になりますけれども、最後に本日の会の構成を簡単に御説明させていただきます。
 今、深化に向けてということで、こうあって、本日2部構成になっておりまして、第Ⅰ部の後半ではサイレックス事業、これまでの各実施機関の担当者の方から、より具体的な現状と課題について御紹介いただく予定です。そして第Ⅱ部は成果の実装・展開に求められるものとは、と題しまして、ディスカッション形式で考えておりまして、個別的な取組みの事例も御紹介いただきながら、そういった視点も踏まえつつ、皆さんに政策の科学の成果の実装・展開について御議論いただければと考えております。
 以上になります。
○司会 ありがとうございました。本発表に関する質疑は最後に設けておりますので、そのときにしていただければと思います。よろしくお願いします。
 それでは次に、サイレックス事業の現状と課題に移らせていただきます。
 まずはサイレックス事業の概観について、文部科学省 科学技術・学術政策局 企画評価課長、小山竜司様、よろしくお願いいたします。
○小山 小山でございます。ありがとうございます。ここでいいんですよね、座って失礼します。すみません、時間が10分ぐらい、15分ぐらい。
○司会 そうですね、10分。
○小山 10分ぐらい。コンパクトにと思いますが、お手元の資料はⅠ-2です。「政策のための科学」事業の心と題させていただいております。
 この構造化研究会、構造化という言葉を聞いてすばらしいなと思ったんです。ぜひ全体像の中でこの事業の占める位置づけとか意義、役割、今後に向けて、高い視点、広い視点から考えていただきたい。間違ってもこの構造化研究会、各事業それぞれの関係の機関に御努力いただいていますけれども、今、やっていることを取りまとめて整理する研究会ではあってほしくないな、そんなのは要らないと思って、本日はお世話になっている皆様方に全く僣越な   心と題してお話しさせていただきたいと思うんですけれども、と準備しておきながらなんですが、最初に白状しておかないと。私、今度、異動になるんです。ですから、    ますので、内閣官房に出ますので、来週末。これだから役人の言うことは信用できないんです。でも、きょう準備した内容は、今週の初め、続ける気満々でぜひ皆様に伝えたい、この精神で御一緒にお願いしたいと思って用意したものですので、御了承いただいてお聞きいただきたいですし、いろいろ役人ですからポジションが変わりますけれども、本当に長期的かつ野心的な試みだと、僣越ながら思いますので、立場にかかわりなく何かできることがあれば、いつも    していきたいなと思っておりますと挨拶しているうちに10分たちそうですので、資料を見ていただきⅠ-2でお願いします。
 意義と目的はもうよろしいかと、紙で用意して、めくっていただいて2ページ目、これも予算ですから7億5,000万弱でやっております。スライドの3などはもう黒田先生からいただいている受け売りしているもの、「政策のための科学」の基本構造です。4ページ目が己斐さんからももう御紹介あったかもしれませんが、本年度予算の目玉SciREXセンター、中核的拠点機能の整理整頓、政治経済を中心に5拠点6大学一致協力して、近々整備していただく活動を本格化していただく方向で御準備いただいております。5ページ目は推進会議でも掲げていました全体のイメージでございまして、ここはやはり風呂敷を広げたいんですけれども、政策の科学、もう第5期だけではない、第6期だけでもない、文部科学省だけではない、政府全体  投資、この5年間に25兆円ということですけれども、それ全部を、もっと言えば科学技術という活動そのものが世の中に支え続けられて、納税者に支えられて維持されるだけの価値のある活動として続いてほしいという一翼を担うべく、文科省でも予算がなかなか十分にとれなくて、国民に御迷惑をかけたりしておりますけれども、それでも精いっぱい7億5,000万弱お使いいただくべく御用意しているものでございます。
 釈迦に説法ですので、6ページは基本計画でございますけれども、7ページも今、言ったことですから、これ、私は本当に好きであらゆるところで使わせていただいている18世紀産業革命からということですけれども、結論は左の緑のほうの歴史的な概要を見ても、真ん中の赤、政策オプションの立案が必要、将来を見据えた右のほうの青い、いろいろな課題を並べてどう
考えてもグローバルな時代、持続可能な発展を目指してイノベーション政策オプションの立案が必要という結論になるということなんですけれども、緑の下の部分のところで思い出すのが、科学技術に国家が金を本格的に出し始めた、私の浅い理解ですけれども、最近やっと、ああ、そうだったのかと納得し出しましたが、本当に両大戦を挟んで戦後、国家が急速に科学技術投資をふやし始めた。冷戦構造の中でスプートニクショックが1967年    出てきたばかりでして、大して長くない。一方で釈迦に説法ですが公害問題、その他もろもろ70年代ぐらいから言われ始めて、つまりここ四、五十年、もうあやしくなっている。負の面がいろいろ社会全体で指摘されるようになっている。
 したがって、ブダペスト宣言が1999年に、あ、伊達じゃないんだな、社会における社会のための活動が、このタイミングで言わないときっと持たなかったんだろうなと。折しも冷戦構造が終わるのはいいんですけれども、では科学技術に対してふえた国家投資をいかに維持し発展させるかというので、21世紀に入って2000年、これで各国が競うようにイノベーションであると。国防の必要性、恐怖による国家の税金投入から、経済に役立ちますという   を一生懸命し出した。言い出した途端に本当にどこまでなのと言って、先進国を初め我が国のこの政策の科学技術を   この、細かく中身を見ても、ああなるほどと私もずっと思っておりました。
 8ページは御案内のとおりだと思いますけれども、このタイミングで出たのは偶然ではないと、もっと申し上げると、9ページの1期から6期までの基本計画で、   的な技術が発展してきていますと言いましたし、リスクコミュニケーション、大事なテーマですけれども、やはりこれも伊達ではないんだなと最近心から思うようになりました。
 さっきのそういった歴史的な俯瞰を見れば、一般国民、不安を、結論まで知らないからそういうふうに思うだけだろう、教えてやれば安心するんだと、理解増進だけではなくて、総合構成、参加、といっても4期では赤字でもこれだけ言葉が強調されて、そうやって意思形成からしていかないと科学技術の活動にどこまで国家がお金を投じ続けてもらえるのかあやしくなってきている。基本計画そのものが5カ年の投入総量を決めてかかっていますけれども、そのスタイルはいつまで本当に安泰なんだという問題意識は持つべきだろうと、担当者として思っております。
 10ページが、変な図ですけれども、これは渾身の学生的な資料でございますけれども、慶應のウエヤマ教授などがよくおっしゃっていたところに、なるほどと思ってヒントを得たんですけれども、    誰がどうしてお金を、科学技術イノベーション政策に投じているんだということを歴史的な視野で考えてきた場合、なるほど、なるほどと、歴史を勉強してみようと思って教科書を開いて、こういうことかと。科学技術2,500年の歴史を落として見たのですけれども、それこそ古代ギリシャに端を発して、ローマ帝国が滅びたので、イギリスの世界に科学技術は行って、アラビアで発展して、翻訳もされて、やっと中世、イタリア、ヨーロッパ側が、発展が追いついてきて、ルネッサンスがあれした。以後、科学の中心としてはヘゲモニーが、科学革命が17世紀に起きました。フランス、ドイツ、さらに大西洋を渡って、アメリカに行ったというのは、いろいろなところで言われているでしょうけれども、ここで勉強していて、私、なるほどと思ったのは、さっきのではありませんが、国家が本格的に科学技術にお金、国家という機構がお金を出し始めたというのはそう古くないなと。例えばドイツの連邦国家がそれぞれ大学を抱えて、ベルリン大学を初め、研究を一体的にするんだと、それ自体が新しいモデルであったことを始めたころやっと、国家という機構がそれまでは古代ギリシャってお金持ちの自由人がやっている科学でしたし、ルネッサンスでは   がやっていましたし、アレキサンドリアの大図書館なんかはファラオがつくった、王侯貴族のころであった。国家がその有用性に目覚めて本格的に競うようにお金を出し始めたって、19世紀の   の時代だと思えば150年、たかだか200年という、フランスの科学アカデミー、ルイ14世から数えたってせいぜい二百四、五十年か何かの話。さっき申し上げたように両大戦を挟んでマンハッタン計画典型でナチスドイツの争いという恐怖心的国家が急速に科学技術にお金を投資し始めるようになる。それが今後どうなっていくでしょうね、というところは、いろいろな本にそれは書いてありますけれども、やはり思うのは、国家が、それから特にまた企業が科学技術にお金を投資し出したって100年、150年、企業に至っては四、五十年と考えていいのでしょうか、本格的に参画、シリコンバレーがすごく発展したことを考えると。
 そうすると大して長くない数十年、100年とかいった歴史の中で、ここ四、五十年は負の面が大分強調されていて、今後二、三十年、本当にうなぎ登りの科学技術投資、このまま国家が出し続けることが本当にどこまでできるだろうかという意味で、このための、政策のための科学、イノベーションに役立ちます、どこまで役立つのか、どうしてだ、国民参加、どうやってそもそも意思形成して理解が出てくるんだ、両面から絶対必要な歴史的な役割なんだ。
 勝手なことばかり申し上げて本当に恐縮ですが、中核的拠点を立ち上げて、これはいろいろ議論がありますし、これから御議論いただきながら、研究を進めていただくわけですが、私ども文部科学省でこの政策の科学に7億円余りの血税を投入してやっていただく意義は、アウトプットとしてペーパーを期待しているのではない。政策オプションが欲しいのである。文部科学省は政策オプションをもらいたいんだと明確に思っていましたし、今も思っております。
 もちろんやる以上は、そういった意思形成をしていくものを科学として捉え直して、それをペーパーにしていただくというのが大変大事な崇高な知の財産継承を図る活動でしょう。
 そういう意味でスライドの11番、教科書から引っ張ってきた   これも皆さん御案内でしょうけれども、ギボンズが言い出した1990年代から、また90年代から言われ出したモード2サイエンス、今までとコンテクストの違う科学も必要になってきている、単にディシプリンを超えたトランス・ディシプリンなりがスピード優先、必ずしも完全な情報があるわけではない。問題解決、今、いろいろ言われているような課題をやる際も、研究という文脈に新しい性格のものとして加えるべきだ、モードをする際に。学問的にはあらゆる省、私、見てなるほどと思ったんです、並べて引っ張ってきましたけれども、レギュラトリーサイエンスとか、テクノロジーアセスメントとか、リスクコミュニケーションとか、そういったところで言われているもの、どうも性格が似ているような気がして仕方がありません。
 とりあえず時間内で政策的に意思決定しなければいけない。現実に何か働きかけなければいけない。だけど科学については結果がまだ出ていない。わからない。だけど決めなければいけない。どうやって決めるか。何かエリアではなくて、特別な手法と作法と共通理解が必要だろう。ただ、モード2サイエンスのスタイルと本当にパラレルに見えます。
 この辺を正面切ってやって、従来の伝統的なディシプリンとして科学を、一部品をふやすだけではなくて、意思形成に役立つための科学を立てなければいけない。それをだらだらやる人はいません。したがってアカデミアの力を結集して、行政、産業界、いろいろなプレーヤーも参画して、ああだ、こうだと議論しながらやっていただくほかないので、したがって、スライドの4番にちらっと戻っていただいて、SciREXセンターでは一種の   の規模として常設的な議論の場というのをスライドの上のほうに黄色で掲げております。アカデミアの中で研究をさらに進めてもらいたいのではない。もちろんそれも大事なんですけれども、政治家、行政官、経済界、いろいろな人と議論を続けるしかないわけだと思っておりまして、最後スライド12番、これは勝手な    私が素人がここ1年見ているだけでも本当に科学技術、まさに    てはいられないと、第5期はいいけれども、あと10年、20年同じスタイルでどこまで行けるのか、いや、行けるように努力しないといけないので、それに応える政策の科学をさらに   それをしっかり立てなければ第5期の基本計画だって、単純な第4期、4期も画期的でしたけれども、その延長では済まないだろう。5カ年、25兆円、本当に書かせてもらえるんですか、書かせてもらえるように努力いたしますけれども、本当かという意味でスライドの13番、つい昨日ですが文部科学省でも総合政策特別委員会を立ち上げて本格的な議論を始めていただきました。設置法も改正して、内閣府でCSTIの議論を中心に5期は完全に進んで基本計画が閣議決定されますけれども、各省の一とはいえ、文部科学省は3分の2の規模になっている役所として、そういった歴史的スコープもしっかり見据えながら、政策のための科学をしっかり立てないと科学技術全体があやしくなるという覚悟でやるべきではないかと思って、今後も御指導をお願いしたいと思っておりますけれども、冒頭に申し上げた次第ですので、少し立場が変わりましても、引き続き御鞭撻賜ればと思います。
 ありがとうございました。
○司会 小山様ありがとうございました。
 次に、公募型研究開発プログラムについて、JST社会福祉研究開発センター、センター長、泉紳一郎様、よろしくお願いいたします。
○泉 それでは資料Ⅰ-3で、公募型研究開発プログラム事業について、御説明申し上げたいと思いますけれども、恐らく    、大部分の方はこの公募型研究開発プログラムの直接プロジェクトの直接プロジェクト代表の方もおられるようですし、余り説明は要しないかと思いますのでごく簡単にさせていただきたいと思いますけれども、私ども   いただいていますが、公募型研究開発プログラムは、このサイレックス事業のスライドの2枚目ですけれども、4つの柱の中でこの   するもので、旗印としては中長期に政策形成に寄与する手法・指標等に関する多様な研究開発プロジェクトの推進ということで、いろいろ書いてありますけれども、要は科学技術イノベーション政策のための科学の結果に基づいて政策形成を実際にやって、政策形成に使えるようないろいろなツールを、政策形成支援ツールを開発していくということだというふうに認識いたしておりまして、23年度から始まりまして、ことし公募、今、選考中ですけれども、現在、56のプロジェクトが発しているという状況でございます。
 1個のプロジェクトで3年でございますので、23年度のプロジェクトについてはこの秋に終了いたします。これについては第2期で私どもの奥和田さんが説明申し上げることになっているかと思います。
 それで次のスライドですけれども、16のプロジェクトは、こういうもので、ちょっと見えにくいかもしれませんけれども、大体各年度5つか6つぐらい採択しておりまして、それで、次の次のスライドです、ことしもそうですけれども、25年度の採択から2回採択したプロジェクトの採択を行った経験を踏まえまして、公募の仕方をフラットな方法から特別枠のと通常枠を設けまして、特別枠については政策への実装、道筋、研究開発に注目して採択を行う。
 それから通常枠については、研究の新規性、独自性というようなものに注目して採択を行うということにしたことと、それから誰にこの成果を、与えるというとちょっと不遜かもしれないけれども、この制度が使ってもらえないかということをはっきりさせて公募してくださいというところをアナウンスして公募を行って、公募もフラットな1段階の選考ではなくて、2段階選考で最初にコンセプトを出していただいて、そのコンセプトを見て実際にフルのアプリケーションを出していただくものを決めて、審査をしていく、採択していくというふうな方法をとりました。
 2番目のスライドに戻ってください。
 それでその結果、こういうマッピングをしてみますと、この色のところが25年度にとったプロジェクトですけれども、こういう特定政策の効果、シミュレーションというようなところに位置づけることができるような研究プロジェクトを採択することができたというふうに考えております。
 それで、次の次のスライドをお願いします。
 これは一つのプロジェクト、まだ24年度にスタートしたプロジェクトでございますので途中段階ですけれども、科学技術イノベーション政策の日本経済への長期的成長への影響ということで、いろいろな通常の経済成長モデルに科学技術関係のマクロな統計を導入しまして、マクロレベルの研究開発投資の生産性を推計するようなベンチマークを開発するということで、これは  の開発することを目指すと同時に、実際の政策分析とか、政策形成にかかわる行政官の方、これは基本的にはこういうことの専門家ではない方にもこれを使ってもらえるような形で公表するということを目指しているプロジェクトでございますけれども、これだけではなくて、それぞれ実際に政策形成の現場で使ってもらえるような、こういう分析だけではなくて、合意形成の手法でございますとか、そういうものについての研究プロジェクトもございます。
 それで、あとはプロジェクトのマネジメントですけれども、16のプログラムのプログラム評価、それからプログラムアドバイザーということで、このプログラム制作はことしの4月から国立社会保障・人口問題研究所の部長になられました森田朗先生にお願いしていますけれども、そのほかにこの分野の、ほかの分野で専門家という方はおられないのですけれども、おられないというと失礼ですけれども、非常にこの分野にかかわりながら指導的な役割を果たしていただいている方々にアドバイザーになっていただいて、16のプロジェクトのオペレーションをしているということでございます。
 次のスライドをお願いします。
 実際はこういう合宿とかサロンとか、それから国際ワークショップとかそういうものも行いながら、このプロジェクト、プログラムを走らせているということでございます。
 最後のスライドをお願いします。
 それで、ことしの11月に初年度採択したプロジェクトが終わりますので、各プロジェクトの評価を行うということにしておりまして、これはプログラムとして個々のプロジェクトを評価していくということにしてございます。プログラム全体は中間評価ということで、このプロジェクトの結果に基づいて、採択委員会のほうで組織される委員会で行われることになるというふうに認識してございます。
 プログラムの説明は以上ですけれども、ちょっと長くなって恐縮ですけれども、この構造化研究会はNISTEPとCRDSで主催されていますけれども、NISTEPが26年前にできたのは、まさに科学技術政策形成のいろいろなデータに基づいて行うとか、あるいは研究に基づいて行うということを標榜しながら、当時の試験調査所を科学技術政策研究所、今、科学技術が技術政策研究所になっていますけれども、そこに  するということで、私とここにおられる斎藤総務研究官は    そういうことで、NISTEPをどういうふうに持っていくかということに最初にかかわらせていただいたということと、それからこのプログラム全体が第4期科学技術基本計画に書かれてございますけれども、その前に文科省段階の先ほど小山課長から御紹介がありました文科省としての基本計画に向けた科学技術学術審議会の議論、当時は基本計画特別委員会というのを設けてやってございました。ちょうど5年前ですけれども、このときにエビデンスに基づく政策形成が非常に重要である、そういうことが日本では行われていない。まず科学技術政策からそういうことをやるべきであるということを、当時委員でいらっしゃいました黒田先生が非常に強くおっしゃられまして、それを委員の方々の同意といいますか、非常に共感するところとなって、こういうところができたということですけれども、ということの経緯も御紹介しておきたいと思いますし、それからさっき小山課長も言われましたけれども、やはりこれはもちろん研究としてディシプリンとして確立していくということは重要ですけれども、現実の政策形成に使われる制度を目指していくということ、それから実際出てきた成果を使う、それで特にこの第5期基本計画のプロセスに向けて出てきた成果がうまく使える、このプロジェクト研究あるいは、これからSciREXのセンターにできる、こういう中での活動で、もう余り時間はないかもしれませんけれども、使えるような形で推移していけばいいなというふうに思っていますし、プログラムの運営として、政策形成に実際に使えるものをまとめていくということが非常に重要だというふうに認識しているということを申し上げて、ちょっと長くなりましたけれども、説明を終わらせていただきます。
 以上、ありがとうございました。
○司会 ありがとうございました。
 続いて、政策課題対応型調査研究、データ・情報基盤整備事業について、科学技術・学術政策研究所、総務研究官の斎藤尚樹様、よろしくお願いします。
○斎藤 御紹介いただきました科学技術・学術政策研究所、斎藤でございます。
 今、泉センター長からお話があったとおり、科学技術政策自体、26年前できた際のファンディングスタッフの   でございます。当時を思い起こすと10年か20年ぐらいの  でエビデンスに基づく政策形成、ある意味で大きな課題に第一歩を始めたわけですが、きょうのこの場を見ますと、これだけの政策のコミッティーなり   等があったということは大変心強く感じているわけです。
 それだけに、それぞれの機関がそれぞれのミッション、それぞれの問題意識で取り組むというだけではなくて、たしか小山課長から説明あった、サイレックス事業の心、これを一つに  しながら実際のことは、科学政策の実装とか実践にいかにつなげていくかということを考えていく時期に来たのではないかというふうに思っております。私自身は小山課長と違って、今回は特に異動のお声はかかっておりませんので、役人の席に籍はつないでおりますが、もうしばらく    いただければというふうに思っております。
 本日は時間も限られておりますので、科学政策研究所で担当しております政策課題対応型、それからデータ・情報基盤、この事業について、ちょうどつい先日、外部専門家の評価パネルによる評価を一応、中間まとめをいただいたところでございます。そのハイライトを御紹介する形で説明させていただきます。
 資料のⅠ-4でございます。
 まずデータ情報基盤ですけれども、大きく公的研究機関のデータ整備、それから産業のR&D、それと将来の政策的な課題といいましょうか、これに関する特出しのデータ基盤ということで、具体的には博士人材のデータベース、それから科学技術予測、こういった主なテーマを掲げて   してまいりました。
 これは、データ・情報基盤事業の全体スケジュールです。ことし2月にワークショップを開催いたしましたが、個別のデータ整備を進めると同時に、今、かなり力を入れて取り組んでおりますのは、関係機関によるネットワーク構築ということでございます。今年度は一応その第一フェーズといいますか、今、進んでいる取り組みが一応節目を迎えている年ということですので、充実した計画を立ち上げるというのが大きな課題になっております。
 次のスライドにまいりまして、これも字が小さくて恐縮ですが、一応、当初から予定しておりましたデータ整備の項目は、これ、黒い四角というのは公開済みということですが、ほぼ全てについて公開済みないしは公開準備中というフェーズに至っております。残っているものについても今年度中には一応めどをつけ、あるいはコンセプトをしっかり固めた上で、来年度以降の取り組みにつなげていくということを予定しているものです。特に機関名の表記データベース等については、いろいろなところで既に活用なり参照いただいているという状況でございます。
 次のスライドになりまして、これは公的機関に関するデータ整備の活用事例のリストでございます。例えばマクロデータの分析・集計に加えて、インプット、アウトプットのデータ連携、それによる一種の効果分析ということにこれから本格的に使える素地はできたという状況でございます。
 次のスライドですが、データ上のネットワーク、これが今、大変重点を置いて取り組んでいるものでございまして、いわばデータ・情報基盤の広がりを、いわばオールジャパンに広めていこうというコンセプトでございますが、昨年度3回ほど開催しましたが、その会合を通じまして、ここに挙がっておりますような主な日本を代表するファンディングエージェンシー、それから関係する専門機関、文科省傘下の機関が多うございますけれども、その他RIETIですとかその他NEDOさんに農研機構、残念ながら昨年末で抜けましたがNIBIO、それから総務省のNICTと、こういった機関も加わりまして、当初は連絡会ということだったんですが、ネットワークという形にいたしまして、特にそれぞれファンディング機関が特に問題意識を持っているとするのは、ファンディング情報をいかにテンプレート化するといいましょうか、標準のフォーマットをつくり、インプットとアウトプット、さらにはそれにかかわるプレーヤーの情報をいかに共通化しながら時系列を含めた効果分析につなげていくかという共通の課題について、認識合わせと情報共有を行っております。
 今年度1回既に7月に開催いたしましたが、もう少し、ただ関係機関の意識合わせというだけではインパクトが薄いので、できれば第5期基本計画の議論がちょうど文科省でも昨日からスタートいたしましたので、そのプロセスにおいて、ある程度明確に第5期の基本計画にはこういうスキーム、こういうメッセージ、こういうプロセスを盛り込んではどうかという提言を出そうという、そんな認識のもとに今、提言書の文言の議論をしているということで、趣旨については先ほど申し上げたようなことがポイントになりますが、ちなみにここに加わっておりますネットワークの扱っている競争資金の総額だけを見ても現時点において、我が国競争資金の約9割近くになっています。来年度以降は、これに日本医療研究開発機構という大きな組織が加わります。今のところはまだ機構ができておりませんが、いずれタイミングを見てこの機構の関係者にもお声がけをすべきかというふうには考えてございます。
 これについては引き続き取り組みを進めると同時に、ちょうど昨日スタートした文科省の特別委員会には、このNIIから新井紀子さんが入っておられまして、昨日委員会の場でもデータ基盤的なものをきちんと盛り込んで生かしていくということの重要性について御発言がありました。新井先生とも連携をとりながら、ぜひそういったコンセプトが具体的に形として第5期基本計画に入るように、これからも検討を進めていきたいというふうに思ってございます。
 次のスライドですが、次はフォーサイトでございます。これも実はまだ仕掛かり中ですけれども、既に先行する取り組みとして、昨年度第9回、前回までの予測調査までの結果をいわば縦横斜めに整理して、社会ビジョンとの関係においてコンセプチャライズしたものを夢ビジョン2020、文科省の検討に使っていただきまして、それが   の方でも参照、活用されておりますし、もうちょっと長期の軸では2030年に向けた10年間、長いビジョンですが、これはいろいろと勉強会でもお使いいただけた。自民党の戦略本部というところでも、こういったメッセージについて御参照いただきながら、政治の立場からの長期ビジョンについて御議論いただいた、という状況でございます。
 個別の分野の分析については、先ほど己斐さんんからもお話がありましたが、糖尿病に関するシナリオプランニング、これは試行的な事例として、マップづくりについてNISTEPの取り組みを提供いただいたということでございます。
 これについては引き続き第2回のフォーサイト、今、継続中でございます。今まだ技術のロードマップをつくるといった視点からのデルファイの手法によります分野別のパネルをちょうど今立ち上げた。秋に向けていわば時間軸の年限の入った分野別のプランというものを、今度横串を通して、一種の仕上げプランニングに際して    を入れながら、第5期の基本計画後半の文科省の検討、さらには内閣府における戦略のあり方の議論にぜひ使っていただけるような形でフォーサイトの結果を年末までにはお出ししたいと考えております。
 次のスライドですが、博士人材のデータベース。これも恐縮ながらまだ仕掛かり中でございます。ほぼRU11を初め主要な大学の御賛同をいただきまして、大学のいわば同窓会組織なども活用した在籍者を確保した追跡データベースというのが、ほぼめどがつきつつございます。本年度からのパイロット事業がスタートしそうでありまして、学生さんの情報の入力も始まっております。
 参加大学の主なところを足し合わせるとかなり人材全体の将来は六、七割はカバーできるのではないかという見通しも得られそうですが、問題は海外で学位を取った方、あるいは日本で学位を取ったんだけれども、それぞれの母国に帰った留学生の方、こういった方の追跡システムをいかに   につくっていくか。あるいは産業界に進んだ方、これ、なかなか捕捉・追跡が難しい方々でありますので、登録者への直接のインセンティブのあり方も含めてさらに改善検討を進めると同時に、特に公開のデータベースの関係ではNIAであるとかJSTで取り上げますリサーチマップとの連携、統合を将来的には視野に入れて構築を進めていきたいというふうに思っております。
 次ですけれども、政策課題対応型でございます。これはある程度これまでの取り組みのエリアが中心ですが、マクロ視点からの投資の効果分析、ミクロ視点からの大学と企業の知識移動、ミクロデータを活用した投資効果分析、この3つのサブテーマを掲げて、これについてこの3年間、かなり個別的な取り組みを進めてきております。
 次のスライドは、マクロ経済モデルの分析、このあたりは時間もございませんので、中身の説明ははしょりますけれども、マクロ経済による分野別のインパクトの分析のトライアル。
 次、お願いします。
 これはいわゆる    を活用しながら、新エネルギーの導入による生産誘発ですとか経済あるいは環境への波及効果を書き足して直接、間接の効果を分析するという事例でございます。
 さらに次のスライドですが、これは産学間の知識の移動ということに着目しながら、ファンディングとのかかわりにおいて、産学共同の出願特許に着目したファンディングの実態あるいは課題について、足し上げた分析を試みたものでございます。
 それから、この次のスライドですが、ミクロデータを活用した投資効果についてはいろいろなデータを蓄積しながら、特に我が研究所では産業   のイノベーション調査という  で収集整理を行っておりますが、それを含めて個別の企業  R&D投資の  ですとか生産性向上への寄与というものをできるだけビジュアルにするような取り組みを進めてきております。
 次のスライドがその成果の一部、字が小さくて恐縮ですが、いろいろな学界等々での報告に加えまして、イノベーション調査の結果については、オスロ・マニュアルに基づき、OECDに提出されたものがOECDにおける   スコアボード等でも参照・活用されておりますし、例えば最近では総合科学会議、名前が変わりましてけれども本会議ですとか、国会審議においてもこのイノベーション調査の結果が参照・活用されているということでございます。
 以上、中心にこの6月にかけまして、政策のための科学の外部評価をいただきました。最後のスライドですが、産学公、外部有識者8名の方、ヘッドは学習院大学の教授の若杉先生ですけれども、担当者のヒアリングですとか、意見聴取等を交えまして、これまでの成果、進捗をレビューいただきまして、来年度以降また概算要求上の位置づけが白紙になっておりましたが、当面の方向性、課題について検討されたものであります。
 その結果がまとまっておりまして、総合評価としては今、御説明したデータ情報基盤の中では特に期待を上回る成果、進捗が見られるという評価をいただいたのが、公的機関に関するデータ整備についてでございますが、産業のR&D、それからシナリオプランニング、博士課程のデータベース、それぞれ一部課題はあるけれども、相応の進捗はある。こういう点をしっかり改善するようにという評価をいただいております。
 政策課題対応型につきましても、ミクロデータを活用した、最後に出てきました投資効果分析については期待を上回る進捗成果という  でしたが、マクロ経済分析、それから大学企業の知識移動、これについては一部課題はあるけれどもそこそこの成果であるということで御了解をいただきました。
 改善すべき点というのを抜き出して最後に書いてありますが、他機関との連携ですとか、特に政策研だけでできることには限りがあるので、本日おいでいただいたような機関ともタイアップしながら、できるだけ持続可能な形でデータ基盤を構築したり、発表の仕組みをとっていく。その際には、産業界のデータについては、よりリアリティーのある形で収集活用を進めるために、ニーズ把握、そのためのインタビューといったものをやるべきだという御指摘もいただきました。
 さらには行政政策プロセスとのかかわりにおいては、特に文科省を初めということですが、リサーチマインドのある行政人材を育成する、そのための政府サイドの取り組みに協力・支援をすべきというふうに御指摘いただきました。
 国際的には、国際ジャーナル等で英文での情報発信に心がけるとともに、評価の高いものについては、リソースを重点配分したり、さらなる成果を目指していく。
 さらにはこれ、政策のための科学というのも予算的にはやはり時限的なものではありますので、特に博士人材ないしはイノベーション調査もそうですが、継続して制度全体としての取り組みが必要なものについては、特別な予算というよりは、政策研の固有の予算のリソースで取り組むべきというような御指摘をいただいております。
 以上の評価結果の詳細については中間まとめの報告書がございまして、受付に10部ほど置いてございますので、もし特別に御関心があればぜひお持ち帰りいただいて、御参考いただければと思います。
 以上でございます。
○司会 ありがとうございました。
 続いて政策形成実践プログラムについて、JST-CRDSの上席フェロー、黒田昌裕様、よろしくお願いいたします。
○黒田 黒田でございます。
 昨年やりました政策形成の実践プログラムのことについて少し簡単に御紹介させていただきたいと思います。
 先ほどから、小山さんが代わられるというのでショックを受けていまして、しかし、すばらしいプレゼンテーションをしていただいたと思っています。
 今まで3年間、政策の科学においてアウトしてきたことを、きちっと文科省のスタンスでそこまでいわば俯瞰していただいたということは、非常に感激しておりまして、そういう中でこのSciREXをこれからどうさらに進めるかということが、我々に出された本当に大きな重責だろうというふうに感じました。
 それからまたRISTEX、それからNISTEPの泉所長、それから斎藤総括のほうのお話も着実に3年間の間に成果が上がっているということが実感できておりまして、そういう意味ではこれからこのやっていただいた部分をどう仕上げていくかというのが、中核センターの一番大きな役割で、そこがぶれると、また、嫌なことになる。文科省のお役人のほうはさんざん悪口を言ってきましたけれども、実はかなりまとまってきていて方向が定まってきている。今度はアカデミアのほうが問題になったなという気がしまして、アカデミアがこれを受け取って、本当の政策に役立つ科学をどうやってつくっていくのかということを本気に考えなければいけない。そういうステージに来ているのかなというふうに思いました。
 昨年出した政策形成実践プログラム、かなり時間が限られておりましたので、十分なことがまだ達成できたわけではありませんけれども、幾つか、今、申し上げたことは、Science PolicyということとPolicy for Scienceをいかに共鳴させていくか。Science of Science Policyのほうは、科学技術イノベーション政策の科学というものをつくっていくんですけれども、小山さんが主張されたように、これからの科学は単なる研究者の研究の場の科学でおっては困るんだと。片方でPolicy for Scienceという部分があって、それのニーズをきちっと踏まえながら、いかに科学を完成させていくのか。この科学は恐らく今までも歴史の中で何度かいろいろなところでやられることがあったと思いますけれども、科学として初めてやらなければいけないことで始めたのは、やはり21世紀になってから各国がとり出したことだろうと思います。
 その次、お願いします。
 その大枠は前の議論のところでつかんでいる図ですのであれですが、政策   政策オプションというのは、Bという部分ですが、実は全体の俯瞰をしますと、Bという部分はある一部であって、まずAの部分、これは社会科学者もしくは社会的な状態が既にどういう状態になっているかということをルッキングし続けるという状態と、それから今の自然科学を含む科学が一体どういうステージにあるのかをきちんと俯瞰する。これはCRDSがよくやられていることですけれども、その両者を踏まえてまずエビデンスがきちっと現状どうなっているかということを認識しなければいけない。
 それと同時にそのエビデンスを踏まえて、これからの社会がどうなるかということ、そしてそれをどう動かしていくのかということについての政策課題の発掘・発見とその課題を解決するための政策の目標、そして政策の手段というのがあって、それを科学技術で言いますと、科学技術の将来シナリオや、社会技術で言いますと社会技術のシナリオというものと組み合わせながら、将来の姿を描いてみるというのがBの部分の政策オプションという部分だろうというふうに考えています。
 Bという政策オプションの特徴は、いろいろな手段があり、いろいろな目標があり、そしていろいろなシナリオがあり得るわけですから、オプションは当然のことながら、一つだけ何かオプションが提示されるわけではない。いろいろなオルタナティブなオプションがそこに出てくることになると思いますが、そのオルタナティブなオプションに対して、そのオプションの中から今度は科学的にどういう政策プロセスに結びつけるような国民の理解であるとか、行政の方針を出すかという部分、  行政の部分が当然言えると。そういうことが、今、なされて実行された結果がまた事後的に評価されて、赤い矢印でぐるっともとに戻っておりますけれども、政策の将来の課題にまたそれが結びつくようなそういうスパイラルな循環構造を全体として描いているというふうに、今、考えています。
 この中でどの部分をどう科学的にやるかは、まだまだこれからの問題で、それと同時にその科学的にやるときに、政策にどう結びつけるかと、それをいかに科学的にこれをやるかということも非常に大きな科学   課題だろうというふうに考えています。
 そういう要請が背後に出てきたのは、やはり20世紀の中ごろから急速に変化してきた、そしてスピードアップしてきた科学技術そのものの発展が背後にあって、その科学技術を我々社会人が、人間国民が非常に身近に感じるような、そしてグローバルな社会になってきたということも背景にあって、そういった要素が組み合わされることによって、何を解決しなければいけないか、何が科学で解決できるのか、技術で解決できるのか、そしてどうやってイノベーションを起こして、その科学技術のよさを社会に生かしていくのかということを常に考え続けなければいけない時代、そういう時代に今、なってきたんだろうというふうに考えています。
 実践プログラムはその結果、今、申し上げたこと、ここに書いてあります、ごらんいただきたいのですが、もう少し先へ進めてください。
 科学技術そのものを評価する、もしくは政策を評価するときの一つの手段として、政策オプションというものをつくってみよう。オプションのつくり方も恐らくいろいろなやり方があって、継続  的に今回は少しつくりましたけれども、多分、継続  だけでは全部カバーできない、ディスクリプティブに説明しなければいけない部分もあるし、歴史的な感覚も必要だし、それから社会の合意形成されるようないろいろなステークホルダーの意見を捉えるような政策オプションのつくり方もあるだろうし、いろいろあると思いますが、とりあえず政策オプションというのはどんなものだろうかということを1回やってみようというのが、今回の試みでございました。
 次、お願いします。
 課題としては、成長戦略にもございましたように、ともかく一つの課題として、今回選びましたのは、健康長寿社会の実現ということを大きな課題として選び、その課題の中でも生活習慣病ということに着目したときに、予知・予防、そして創薬、そして新たな再生医療等々のいろいろな科学技術が、糖尿病に関する予知・予防を含めたいろいろな治療方法について、どういう影響を与えて、それがもしもできたとすれば、社会的にそれがどういう影響を与えるかという形を、一応シミュレーションできるようなブレインワークをつくってみようということでございます。
 政策のパターンがいろいろあるわけですけれども、政策パターンにはそれに対応した科学技術の将来シナリオと、それから社会技術のいろいろな制度を含めたシナリオと、これらシナリオとして与えた、与えた上で、ブレインワークでつくったシミュレーションのモデルを使って、糖尿病の予知・予防を中心にした治癒に対する効果が経済社会にどういう影響を及ぼすかということを追えるような統計をつくってみたということでございます。
 次、お願いします。
 かなりいろいろなチャレンジブルなことをやっておりまして、経済学そのものがこういうことを全て処理できるほど、きちっとした体系にまだまだなっておりませんし、データそのものも試行錯誤をやりながらですけれども、一つの大きな試みはレセプトデータ、約2万件ぐらいのレセプトデータを使って、そのレセプトデータを性別・年齢別にきちっと分けて、糖尿病にかかっている方、それから糖尿病の警告をされているような方を抽出して、その方の年齢別の病態遷移がどういう形で移るのかというプロセスを、まずレセプトデータから得た。そのレセプトデータから得たデータによって、ある科学技術の予知・予防のマーカーができたりしたときに、結果的にどういうことが起こるか、予知・予防の結果の手段によって、その病態転移がどう動くかということを考えた上で、人口構造の変化を出してくる。人口構造の変化が就業構造の変化を出して、就業可能人口が変化することが、今度は労働市場にどういう影響を与えるかという側面を描く。
 一方で予知・予防が、いろいろな科学技術が産業に結びついて、創薬であるとかマーカーであるとか、ほかの医療機器だとかに影響を与えて、そのことが労働に対する需要をどう変化させるかということを市場でマッチングさせることによって、所得の変化を出してくる。さらにその結果が医療費の改善等々にどういう影響を与え、就業構造を含めた賃金、所得の分布等々にどう影響を与えるかというフレームワークをつくってみたということです。
 ここ、時間がありませんので、ごらんいただいたらいいのですが、手順としてはこういうことをやりながら。次、どんどん進めてください。
 これ、産業年間表でやったのですが、そういうことをやりまして、これ、業態専用レセプトデータからつくった分の説明でございます。
 次、お願いします。
 その結果として幾つかのケース、政策のパターンを与えて、政策パターンについての政策手段を選んだときに、その予想されるケースとして、何も政策を実行しなかったケースに比べてどれぐらいの効果があったかということが出せるような形にしたということでございます。
 結果は昨年、半年、全くデータの解析からやり出したものですから、この結果、そのものを真理データとするとちょっとまずいんですけれども、方向としてこういうものが出せるようなフレームワークができたということでございまして、いろいろな科学の分野について、こういうことをまずやってみる。そのためにはCRDSのいろいろなユニットの科学者の方々と協賛しながら、こういう形のフレームワークをつくって、その次にやるべきことは、そのシナリオを描いたり、政策のシミュレーションをやるときに、これはもう文科省の方々と政策委員がどういうことがあって、どういうことが見たいのか、ということをもっともっと議論をして、それでこのモデル構造そのものをブラッシュアップしていくということが多分必要なんだろうというふうに思います。
 もっと先へ行ってください。
 産業構造等々もあるし、一応このような格好であるということです。ここに幾つか本年度得た結果を書いてありますけれども、まだ磨くべきことはいっぱいありまして、そのむしろやるべきことをこれから逐一進めていくのは、中核センターの本日できた一つの役割だろうと思っておりまして、その中の一つ一つのステップを踏むことによって、最初の目的である政策の科学の把握と政策ニーズ、もしくはその把握から出てきた知見を政策にどう生かすかということの反映ができるだろう。
 そのためには、RISTEXでやられているような研究とかNISTEPでやられているいろいろなデータ、そういったものも一緒に使いながら、日本全体として体系化することによって、この構造をつくっていくことが非常に重要だろうというふうに考えています。
 以上です。どうもありがとうございました。
○司会 ありがとうございました。
 最後に、基盤的研究・人材育成拠点プログラムについて、政策研究大学院大学専門職、小山田和仁様、よろしくお願いします。
○小山田 政策研究大学院大学の小山田です。基盤的研究・人材育成拠点の取組状況についてざっと御説明させていただきたいと思います。
 そもそも基盤的研究・人材育成拠点というのはどういった目的であるかということですが、ここに書いていないですけれども、大きく3つのタイプの人材を育成するということになっております。
 一つは政策形成及び実践にかかわる人たちということで、その科学的エビデンスに基づいて実際の政策形成や政策の実践を担うという人材です。2つ目はそういった政策のエビデンスをつくってやる。もしくは方法論を開発する、一緒になって考えるというような研究を行う人材、こうなっております。3タイプ目というのは、そういったエビデンスというのをある種、共通のコミュニケーションツールという形で使いながらも、その科学と政策というものを、もしくはさまざまな関係する領域等を意識してつないでいく人材といった、大きくこの3タイプの人材を育成するということが目的となっております。
 それで、実際、一昨年1月に5拠点6大学がこの人材育成拠点として選ばれております。お手元の資料の後半のほうに各拠点における取り組み、昨年度までの取り組み状況についてまとめてありますので、詳細はそちらをごらんになっていただければと思いますけれども、実際は私どもの政策研究大学院大学は、総合拠点としてこの拠点連携を取りまとめるという役割を担っております。
 そして人材の教育の目標としましては、科学技術イノベーション政策の企画、立案、実行、評価というものをしっかりと行える人材をつくっていく、育成していくということを目的としております。
 その他の領域は、領域開催拠点というふうに名づけられておりますけれども、東京大学の中では、東京政策大学院や工学研究科を中心にSTIGという拠点をつくっておりまして、ここではSTI政策のガバナンスに資するような人材を育成するということになっております。
 また、一橋大学はイノベーション研究センターを中心としまして、イノベーションと経営・経済・政策といったものを取り扱えるような人材を育成するということになっておりますし、大阪大学、京都大学は、共同で一つの拠点をつくっておりまして、そこではこのSTIPS、科学技術政策の倫理的・法的・社会的問題を扱う人材を育成するということになっております。
 また、九州大学においては、東アジア及び地域のイノベーション・システムに焦点を置いた人材育成を行っているということになります。
 そしてこのそれぞれの各拠点において人材育成拠点プログラムを図っておりますけれども、その中で各拠点共同で実施する人材育成拠点プログラムというものをまた持っておりまして、それを我がGRIPSのほうでこの拠点間共同プログラムの取りまとめというようなこともさせていただいております。
 活動概要ですけれども、初年度、平成24年度に関しましては、各拠点の立ち上げであるとかサマーキャンプ、国際シンポジウムといったものをさせていただきました。25年度、昨年度から本格的に人材育成拠点におけるプログラムを開始しております。そこで各学生が入って、それぞれのプログラムでトレーニングを受けるとともに、生活共同プログラムで横のつながりをつくっていくということをうたわれております。
 次のスライドですけれども、4ページ目のスライドですが、今のこの人材育成の進捗状況になっておりますけれども、昨年度は総合拠点を務めた本学では12名、これは既存の関連プログラムを含む博士課程の学生12名がいますけれども、すみません、まずこのプログラムの種類ということころをごらんになっていただければと思いますが、我がGRIPSのほうでは、この学位プログラムということで、博士号及び修士号を出すという学位プログラムを有しております。ほかの領域開拓拠点は、いわゆるサーティフィケートコースになりまして、それぞれ本部として、どこどこ研究科の修士課程であるとか、そういった形でそれぞれのホームはあるんですけれども、それにアドオンする形で修了証を出していくようなプログラムになっております。
 東京大学では部局横断型教育プログラムであったり、一橋大学は博士レベルのサーティフィケートコースであったり、あと大阪大学や九州大学などでも、それぞれそういったサーティフィケートのコースを有しているということです。
 先ほどの話ですけれども、政策研究大学院大学においては昨年12名を登録しまして、本年度は8名が入学しております。東大は昨年度で92名、本年度は69名、一橋大学は昨年度4名、本年度8名、大阪大学・京都大学はそれぞれ15名、11名、9名、7名という形になっておりますし、九州大学は既登録者としまして昨年度31名、本年度25名ということになっております。また、昨年度既に修了証が何名か出ておりまして、GRIPSにおいては2名、東大においては6名、大阪大学においては3名というような方々が既に修了証を受けているというような状況になっております。
 このほかにプロフェッサー免許の共同プログラムということで、それぞれの強みを持つ拠点同士が相互に連携・補完することによって、資源を有効に活用し、人材育成をしていくということになりますし、その育成される人材を相互のネットワークをつくっていくことで、それらが積み重なることによって一つのこの将来の人的コミュニティーをつくっていくという考え方でなっております。
 検討・準備は、具体的にはそれぞれが各拠点同士の運営協議会というような場を設けて検討を行っているということです。
 具体的にどういったものをやっているかということですけれども、これが昨年度つくば市で開催されたサマーキャンプになりますけれども、2泊3日のキャンプになっております。ここにいらっしゃいますけれども斎藤さんであるとか、朝日新聞の高橋さんであるとか、そういった方々に講演をいただいたり、施設見学を行ったり、そして学生同士のグループワークを行って各拠点の学生が入り交じって一緒になって議論して、一つのことを出していくような場をやっております。
 昨年度は、大型プロジェクトの立案ということで、つくば、高エネルギー加速器研究機構の大規模な加速器を見学するとともに、将来日本が取り組むべきプロジェクトというものを学生同士で議論してもらって、それの途中段階はもちろん、そこに参加する教職員と一緒に議論しながらフィードバックをかけていって、やっていくというような場を開催しました。
 今年度は、それも各大学が持ち回りで開催していくんですが、本年度は大阪大学さんと京都大学さんのほうの拠点が幹事校となりまして、淡路島でこの8月下旬から開催する予定になっております。
 グループワークのテーマとしては、「人口減少社会-2045」ということで、2045年に今、人口減少というものが予期されておりますけれども、それに向けてどういったシステムが、その中でどういった科学技術イノベーション政策をとっていくべきかというようなことを議論する予定です。
 後援者の予定者としては、三木孝神戸市保健福祉局長であるとか、藻谷浩介さん、日本総研の主席研究員ですけれども、そういった方々に御案内するテーマについてお話をいただくというような予定になっております。学生の参加数、今のところ参加予定は約90名近くの方々が参加する予定になっています。
 またこのほかに国際共同シンポジウムというのを開催しておりまして、既に2回開催しておりますが、一昨年は本学が主催しまして、科学技術イノベーションの過去・現在・未来ということで海外から関連する研究者の方をお招きいただいて、講演と議論をいただきました。
 昨年度は東京大学が主催になりまして、「科学技術イノベーションにおけるガバナンス­現在の課題と政策選択­」ということで、トリプルヘリックスのEtzkowitzさんであるとか、あと、アメリカの   ステートの最新プログラムのディレクターであるJoshua Rosenbloomさんなどのほかにも、いろいろとテクノロジーアセスメントの有名な先生方にも来ていただきまして、このガバナンスにかかわる課題を議論したということになっております。
 ことしは10月2日に今度は一橋大学さんが幹事校となりまして、開催予定になっております。そのほかの共同プログラムとしては、このようなポータルサイトであるとか、教育内容の検討であるとかを既に実施しておりますし、今後もそのこういった政策構想ワークショップ、インターンシップ、拠点間の科目共有・交換という、時間的にかかるものについては、また今検討しております、というところです。
 こちら平成26年度の活動予定ですけれども、各拠点の共同プログラムの充実であるとか、関係機関の連携といったものの案内、ここからなんですけれども、すみません、ちょっと時間をオーバーしておりますが、中核的拠点機能に関しまして、先ほどからいろいろと御説明あったと思いますけれども、まだ実際検討中のところもありますが、余り詳しい資料をここの場で出せる状況はないんですけれども、実際、今、ことしの4月7日の推進委員会の決定を踏まえて準備をしているというところです。
 この中核的拠点機能に関しましては、総合拠点であるGRIPSを中心とした東京大学、一橋大学、大阪大学、京都大学、九州大学の連携・協働のもとに機能を整備するということで、そういった形で今、準備を進めております。
 今、我々の考えているセンターの果たす役割としまして、先ほどいろいろお話もありましたけれども、政策形成と研究を架橋して、双方の共進化を促す。また、政策担当者、研究者の協働と相互の触発の場となるということです。あと、科学的根拠に基づいた合理的な議論と効果的な政策形成の資する成果ということで、先ほどもありましたけれども、論文を書いて終わりとか、そういう話ではなくて、具体的に資する成果を出していくということになっております。
 この中核的拠点機能の核となる「科学技術イノベーション政策研究センター」というものを、この8月に本学において開設する予定になっております。
 こちら先ほどの資料です。こちらそのイメージですけれども、主に3つの領域といいますか、政策形成デザイン、政策形成プロセス実践、政策形成の把握といったものとか、今、分析は影響評価という形で我々は言っておりますけれども、そういった3つの主な領域を回すとともに、各大学拠点間、関係機関とも連携しつつ、新しいエマージングな領域にも関与していきたいというふうに考えております。
 今後の見通しと課題につきまして、これ、あくまでも私の私見ですけれども、ここの後半の資料をごらんいただければと思いますけれども、各拠点の人材育成プログラム、非常に多様になっております。
 対象も学部制を対象としたものから、大学院生のサブプログラムというような形のものから学位プログラムというものまで、非常に幅もありますし、その学位プログラム制度やその中身というものも非常に多様です。これは大学そのものが非常に多様であるということで、ある種の他国間協調みたいなことがありまして、なかなか難しいところもあるんですけれども、そういったものに対して   していくかというようなことが課題でありますし、また、「政策のための科学」の基礎であるとか、コアといいますか、そういったものというのはまだそれぞれ走らせつつ、議論しつつ、検討していくという状況になっております。
 あとはやはりここにいらっしゃる方々やこの業界の方々になりますけれども、やはり実際座学で学ぶこと以外に実際にプロジェクトに入っていく、そういったものの中で学ぶことというのは非常に多いものと思います。
 そういう意味では先ほどちらとお話ししましたインターンであるとか、中核拠点における実践的な研究というものに実際入っていただいて、さまざまな関係者と議論しつつ、トレーニングを受けるという場が必要なのではないかと思っています。
 そのキャリアディベロップメントに関しましては、やはり始まったばかりで修了生もそんなにいないのですけれども、そういった人たちがこのプログラムを経て、どういうところに行くのか、というのをしっかりトラックしていくことと、ロードモデルをしっかり提示していけることが次の世代にとって非常に重要だと思っていますし、そこで問われるのはまさに付加価値ということ、プログラムを経て何が身についていくのかというところ、ここは上のコアのところとの関係が必要だと思います。
 あと、中核的拠点機能、政策と研究が交流する場ということなので、これをいかに実現していくかというのが非常にチャレンジングな話にもなりますけれども、実際これをしっかりやっていかないといけないというふうに我々も思っておりますので、皆様の御協力をお願いします。
 あと、ちょっと最後にこれは個人的な。この話、関連する話でちらっと見たコラムがありまして、この研究と実践の考え方で起こりがちな3パターンというふうに書いてあるコラムがあったんですけれども、大体こういうのをやるときに、常に研究と実践の人たちが何を言うかというと、あるべき論だけ語って終わるというパターンと、お互いにおまえが悪いと終わるパターン、あとは情報共有できてよかったですね、というパターンで終わるというのが大体そうだということです。もうこれはやめたい。こういう状況にならないような、これを超えた場をつくるということが、我々、今、これから取り組むべきことだというふうに思っています。
 すみません、時間をオーバーしまして失礼しました。
○司会 ありがとうございました。
 時間をオーバーしておりますけれども、これまでの御発表に関しまして二、三、質問を受けたいと思いますので、質疑がある方はよろしくお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
○-- ちょっといいですか。お互い聞くのもちょっとあれなんですけれども、泉さんにお聞きしたいのは、社会技術センターで、公募型でテーマを選ぶときの世の中のニーズとかあるいは実装までのフィージビリティーとか期間とか、そういう社会技術センターだと公募型のものというのはどこまでリーチすればいいのかという、常に悩みがあると思うんですけれども、そういうところで何か工夫をされていれば、いきなりで申しわけないですけれども、あとの総合討論でもこういう議論はしておきたいと思うんですけれども。
○泉 先ほど発表の場で御紹介しましたけれども、公募のときに、できるだけ公募をする側の意図に沿ったものが出やすいように、しかも、それから公募の選考プロセスでプロポーズ出していただく後、コミュニケーションできるようにということで2段階選考ということを、このプログラムについてはやりまして、一定の効果があった、後でまたもう一回説明したいと思いますけれども、一定の効果があった部分となかなかに難しいなという部分と両方ありましたけれども、ちょっとそういうこともやりながら、かつ、最初に決めたフレームワークでずっと行くわけでもないので、ちょっと全体のバランスを見ながら、ことしはこういう課題をとりたいなということをアナウンスしたりするということもやってきていますので、そういったことを通じながら、プログラムの意図に沿ったプロジェクトが出てくるようにできるだけ促すと、そういったことだと思います。
○司会 ありがとうございました。その他ございますでしょうか。お願いします。
○サトウ 内閣府で4期基本計画のレビュー、まとめ作業を担当しているサトウと申します。
 実は、   4期レビューの内閣府における作業を参画してからまだ数カ月の間なので、全てを十分掌握していないのですけれども、4期レビューで今、少なくとも4期計画のいわば進捗状況、そういったものをファクトベースで整理して、今後の課題を抽出していく、それが目標なのですが、実はなかなかデータとか、そこら辺を押さえ切れていないところもあるし、残念ながらSciREXの成果でこういうのがわかったというのは、押印にかかっているのがないんです。
 他方、4期計画、ぜひごらんいただけるかと思うんですけれども、実はいろいろな指標、何か難しいことを言っているところがありまして、世界1位の、何かトップテンに何番入るのを何百つくるとか、それはいろいろな資料を作らなくてはいけないんだけれども、そういったことについて、SciREXを立ち上げるに当たって、例えばそういったものも着目してそれに対して、正面から答えてやろうかとか、そういったようなものを考えられるようになったのか、あるいはもともとそういったものもある意味、行政の政策の   するような部分、そういったいわゆるデータ    みたいな    ものも含めて、そういったことに応えるのも、このSciREX事業の範囲に入るのか入らないのか、そういったことを教えていただきたいということと、あと、できれば聞いていて思ったんですけれども、今後それを発展させていくのであれば、国から見たとき、わかりやすくしたとき、全てナショナルプロジェクト、ナショナルプログラム、そういったことから   とか、内閣府でいうとSITといいますけれども、文科省でもいろいろ立ち上げられている、そういったものに対するものをやっていますが、きょうのプレゼンで見えなかったんですけれども、そういったことのプロジェクトと、いわゆる国際的に直結するようなものへの対応、そういったものに対して、SciREXが正面から何か   でやると、そういったものを考えられることがあればちょっと。
○-- 全く知見がほとんどですけれども、SciREXの最終的な目的はそういうことを狙っているというふうに一言で言ったら申し上げていいと思うんですけれども、そのためにはまず第4期以降の分から第5期をつくられると思うんですけれども、基本計画をつくる段階でやはりエビデンスをきちっと踏まえて何を目標にして、何を意図して、何を達成したいか、ということがきちっと明示されるかどうか、その議論をまずやること。第4期のときにも、もう今考えると、ちょっと恥ずかしいんですが、申し上げたんですが、GDPの1%R&Dというのが出ました。あの数字が僕はどこから出てきたんですかと。GDPの1%というのは一体何を意味しますかと。
 今、よく考えると日本のGDPの中にはR&Dエクスペンスは入っていないんです。中間投入なんです。R&Dの1%にするということ自身がどういう意味を持つのかというと、統計そのものの入りからやっていかないといけない。そういうことも含めて、きちっと基本計画そのものがエビデンスベストになっているということが、それを次の段階でどう評価するかということのターゲットがはっきりすると思うんです。それはもちろん一遍にはできないので、そういうことを順番的にやっていくことをSciREXはやる、SciREXでやはりデータベースをきちっとそろえなければいけないし、いろいろなデータがあるので、そのデータベースが役立つものでなければいけないし、政策ニーズに応えられるようなものでなければいけないと、おっしゃるとおりなんですけれども、これもそうそう簡単ではないんです。
 もう数十年、極端に言ったらかかるかもしれない。アメリカのナショナルアカデミーができたのは1863年ですから、南北戦争の直後に、もうそういうものをつくっているわけです。そういう形で来ている国と、そういうのがない、公的なシンクタンクみたいなものが全く用意されてこなかった日本と比較したときに、一体、これからやるべきものをどれくらいのスピードで、どうやってやるということも、まさに基本計画の中できちっと今回考えてほしいというふうに思います。そういう中で一応  になるということではないですか。
○-- ちょっと推進委員長が言われたものですから、私はどういう立場で言うのかよくわからないところがあるんですけれども、ちょっと補足をしたほうがいいと思うので。
 後からまた総合討論があると思いますけれども、GRIPSで今、立ち上げようとしている中核センターの中ではそういうきちっとしたデータで、アナリティカルにデータを積み上げた上で、アナリティカルにやる活動と、それ以外にラピッドレスポンスをするということは、具体的に申し上げると、文科省で去年から立ち上げたCOI、これについてどういうぐあいに今、動いているのかということ、これはもう本当に、ああいうフレームとデータでとにかくやってみようというのもあります。
 あと、GRIPSの三石さんが説明してくれると思うけれども、この3カ月ぐらいで文科省が委託で例えば具体的には、  介護の移管なんだけれどもサトレックス、今覚えているけれども5年ぐらい、このサトレックス、どういうところが、いいところ、欠陥がどこなんだと、ファンディングのプログラムでやり方と、それも3カ月あったのでばたばたとやってみました。それから今、リニアコライダーが動き始めているけれども、リニアコライダーって一体何なんだ、これは。過去にずっと   とかいろいろな宇宙ステーションからさまざまなものをやってきたけれども、それがほとんど継承されずに今またやろうとしているものだから、それをこれもばたばたとだったけれども、結構いいフレームでまとめた。
 こういう一種非常に行政的な政策ニーズの背後、これも後から議論してほしいんだけれども、そういうものに対してもちゃんと応答できるというものも出しながら、長い時間がかかるものをやるというふうにやらなかったら、こんなものを継続する、誰もサポートしないものですから、そういう仕組みで今、立ち上げようということでやっていました。あとまたこれ、議論させてもらいたいんですが、ひとまず。
 もう一つ大事なこと。さっき泉さんに申し上げたこと、テーマセッティングというのは物すごく大事で、きのうもちょっとモリタ先生と話をしていたんだけれども、テーマというのは行政あるいは政治家、来るものが結構あるし、そうでなかったらこれも余り価値がないような気がするんだけれども、行政とか政治から来るニーズがそこら辺のどぶ板みたいなニーズ、それから今の黒田先生が言われた、それもあるんだと思うんだけれども、ちゃんと合理的に世の中の長期的なものを踏まえた上で、レスポンスできるようなものというもののテーマセッティング、だから大事なのは、行政とこの科学の方が最初からきちっと議論して、これはやろうと、あとはアースの関係でとにかく政治家がこう言っているからこうやろうとかいうようなものと仕分けをしながらやらないと、せっかくこういう機能をつくったところで、ぐちゃぐちゃになってしまうというところが大事なポイントかなというふうに思います。
○司会 そうしましたら、お二方、短時間でお願いします。
○-- まずサトウさんからの御指摘なんですけれども、まず最初のほうなんですが、SciREXの成果を見たことがないとおっしゃいますけれども、一応、NISTEPの作業に入っています産学連携サーベイもそうですし、あと、    さんがやっておられた例えばフォローアップ    として、例えばいろいろなデータでSciREXの記事のデータベースを使っていまして、そういう意味では非常に地味なところで支えているというのは、まず事実として認識していただきたい。きちっとレファレンスとしてお出ししますけれども。
 それからあと2点目ですけれども、そういうもの、幾つか  のほうでも  ますけれどもその調査・分析とか研究ということに対する区分けがきちっとできていないという面はあると思います。だから、基本計画の多分、何かしら短期の目標があって、きちっと委託調査でコンサルタントとかを使ってきちっとやるべきものもあれば、それから公募研究で学術的な基礎をつくるものもあれば、そういうものもあるし、例えばこれからまたちょっとセンターとかで、これから中核拠点の一番大切なところはアカデミックなベースをもって、政策に貢献できると、いわゆるパスツール的な、そういうところに期待しているところですけれども、そういう形で自然科学の研究と違って、その辺の区分けと目的、そういうものがきょう、系列が整理されていないところがあると思います。だから、ついてはこれから基本計画第5期に向けて、文科省もそうですし、内閣府もそうですけれどもそのあたりの整理と、SciREXの貢献のあり方というのは整理できないかと思っています。
○-- 日本の政府、こういうSciREXのモデルとなっている米国のSciSIPとかいろいろそういうプログラムがあるんですけれども、米国の場合は、そういう仕組みのためにこういうものが始まったと思っても間違いはないんです。
 例えばリーマンショック後の景気対策であった  投資法というのがあったんですけれども、その評価をするためにSTAR METRICSというプログラムが始まったんです。米国SciSIPに当たるプログラムをちょっとまだ成功していないんですけれども、第2期的というか、十七、八年やってみて、2期的には、現状の政策変更に対するアセスメントをするというものをとりますという態度を表明したんです。こういうプログラムをつくりますと。
 そういう仕組みを最初から入れないと、今あるものでそれを組み立てようと思うと、やはりばっと何か付け焼き刃でしかなくなってしまうので、最初にそういうことを仕組んでおくことがやはり必要なんです。ですので、申しわけないんですけれども、4期のフォローをこの中から見つけようというのはなかなか難しいと思うので、5期をつくるときに、5期の初めに、5期のフォローをやるんだというものを、こうしますとかということをプログラムしなくてはいけないんです。
 そういうふうにしないと、    ぱっと効果が出るものではない研究開発、そういう仕組みをつくっていかないといけなくて、恐らくSciREXみたいなものも将来的にはそういう形にしていかないといけないのかなというふうには思っているんです。
 今は後でも議論になると思いますけれども、何かやってくださいというだけだというだけなのが正直なところだと思うので、今はあるものから探していただくしかないという状態なんです。今後はそうでない方向へ持っていくのが望ましいのではないか。
○司会 ありがとうございます。その他、御質疑あるかと思いますけれども。
○イケガミ ちょっと一言。イケガミです。
 センターイノベーションの話。今、お聞きして私、   なんですけれども、一生懸命やっておりまして、御案内のとおり、極端な言い方をしますと、大学あるいは公的研究所を変えていくために、産業界の人がリーダーになってやるという、こういう行為がある。今までそういうものはやってこなかった。ですから、私たちは  したんですけれども、文科省は  したということを非常に評価しているんですが、今、現実はどうかというと、もう悩みの連続です。大学と産業界の間のギャップを含め、ただそれは将来いろいろ変えていく一つの大きなチャンスが来ているというふうに考えていますので、皆さんのアドバイスをいただきたいのですけれども、非常におもしろいテーマですが、あれ、必ずドクター論文を書きますから、何か関心があります人は、ぜひ楽しんでいただきたいというふうに思っております。またぜひ機会がありましたら、ぜひ相談したいと思います。
○司会 ありがとうございました。それでは、その他の御質疑に関しましては、総合討論で取り上げいたしますので、以上で第Ⅰ部を終わりにいたします。後ろの時計で50分まで休憩をとりたいと思いますので、よろしくお願いします。
(休憩)
○司会 それでは、第Ⅱ部のほうを始めさせていただきます。
 第Ⅱ部はディスカッション『「科学技術イノベーション政策の科学」の成果の実装・展開に求められるものとは』に入ります。
 まずJST­CRDSフェローの佐野多紀子よりディスカッションの導入説明を申し上げます。お願いします。
○佐野 それでは第Ⅱ部のディスカッション『「科学技術イノベーション政策の科学」の成果の実装・展開に求められるものとは』ということで、少し導入のところを簡単にやらせていただきます。私、CRDSフェローをしております佐野と申します。よろしくお願いいたします。
 まず導入のところでございます。先ほどから説明させていただいておりますとおり、3年前、我々CRDSのほうの政策提言の中で、科学技術イノベーション政策の科学、それからイノベーション政策形成システム、これを一体的に進めていく必要があるというふうなことがございまして、これまでの政策の科学、それから政策立案のやり方というものにつきまして、まず政策の科学につきましては、これをもっと広げて新たな政策の科学の発表を行う。それから政策立案評価のやり方については、さらにこれを発展して、政策形成システムの改革を行うというふうなことを提言させていただき、さらにこれにつきましては、新たな連携を行うということの必要性について、提言をさせていただいたところでございます。
 そしてこれを行うに当たっては、政府と、特に政府と政策提言主体の行動規範、こういったものが必要であるというようなことを提言させていただいたところでございました。この提言させていただいた案等でございますが、先ほどからお話がございます科学技術基本計画の中にこのイノベーション政策、エビデンスに基づく政策の企画立案    につきまして記載させていただいたというふうなところでございます。
 この基本計画に記載させていただいた後に、この最後のプログラム、先ほどから何度も説明をいただいておるところでございますが、    ということでございます。こういう状態を踏まえまして、ここで   で議論していただきたいところといたしましては、そもそもイノベーション政策の科学の実装・展開とは何だろうというところについて、ぜひディスカッションをお願いしたいというところでございます。それに当たりまして、参考情報といたしまして、いろいろな実装に関する  をレビューさせていただいております。ここに記載させておりますのは、政策の科学ではないのですけれども、RISTEXのほうで行われております研究開発成果実装支援プログラムというところで、例えば成果統合型のところでは、ポイントと書かせていただいておりますが、こういう研究、開発、実証、普及、そういうふうなサイクルを回して取り上げていくという活動というのが社会実装であると。
 それから、公募型のほうにつきましては、実装支援プログラムというのは、研究開発の成果を社会に届ける仕組みであると。こういうふうな記述がなされているところです。それから辞書的な意味でございますが、広辞苑のほうには実際に取り付けることとか、ウィキペディアのほうには、ある機能を実際に動作する状態に持っていくための最終の作業という、こういうふうな整理がされておるということでございます。
 こうふうな一般的なところでございますが、私どもが、これはあくまでも暫定的に我々の中でたたき台として整理をさせていただいたというところで理解しておりますが、こういう今までのSciREXの全体のもの、それから各種事業の位置づけというものを、まずは一つのたたき台として整理させていただいたものでございまして、この中では成果の実装・展開というのがこういうふうなことで実際に社会、STI、科学技術イノベーション政策形成システムのほうにも働きかけるものと、こういうふうなことで書かせていただいておるところでございますが、こういうふうなことも踏まえまして、そもそもこの科学技術イノベーション政策の科学の成果の実装・展開とはどういうものなのかと、これは特に今までこれだけ3年間の取り組み、さまざまな取り組みがなされておりますので、こういう状況からディスカッションをお願いしたいというところ、それからもう一つは、この成果の実装・展開を進めようと思ったときに、どういうふうなものが必要なのかということで、これはあくまでも例えばということで書かせていただいておりますが、人、モノ、カネ、それから場、それから仕組み、マインドセット、さらにはここには書いていないような、さまざまな変化の要因などあるのかというふうに思っております。
 こういうようなことを念頭に置きながら、この後に御説明いただく試験の系統といったようなことも頭に置きまして、実際に御議論いただきたいというふうに思っております。
 これは最後のスライドでございますが、さまざまな国際的な科学技術政策に関する状況を整理させていただいたものでございます。各国においても、さまざまな科学政策に関しての仕組みができつつあるところ、この科学技術政策、イノベーションの科学というところが   あるのかと、そういうことも念頭に置きながら、御議論いただければと思います。
 以上でございます。
○司会 ありがとうございました。
 それではまず有識者の皆様方に視点の提供をしていただきたいと思います。
 NISTEPデータ・情報基盤整備事業の事例について、科学技術・学術政策研究所、科学技術学術基盤調査研究室長、富澤宏之様、お願いいたします。
○富澤 すみません、時間がないようなので、こちらで。
 NISTEPの富澤です。
 私、NISTEPでデータ情報基盤構築事業を担当しておりますので、その担当者の観点から実装ということ、データ・情報基盤の実装ということをどう考えるかといいますと、どういう状況になるかということをお話ししたいと思います。
 スライドをお願いします。
 私のきょうのお話、大体こんなことで、要するにデータ・情報基盤の構築とそれを実装するということの間に大きな隔たりがあるということです。それはデータ・情報基盤の内容もそうですし、その機能ということを考えても本質的にそうならざるを得ないのですけれども、ただ、それで実装まで隔たりがあるので、それで話を終わらせるつもりではなくて、何で隔たりがあるのか、どういうふうな隔たりがあるのかと話して、よく見ていくと、実は全体としては何といいますか、実装に近づける非常に効果的なことをやっている面もあったり、最後に書いていますけれども、データというのは実際使い出すと物すごいスピードで、あっという間に使われるという面もあるので、そういう状況をお話ししたいと思います。
 まず最初に、お話しするに当たって、データ・情報基盤の実装というのをどう考えるかという、これ、単に私の、きょうのお話はこの立場でします、というだけの話なんですけれども、データ・情報基盤というのは、データをつくっただけでは実装にはならないということで、政策に活かされる、特に政策立案に活かせることをもって、実装と呼ぶということにしておきたいと思います。ここのところ本当はお話ししたいと思うのですが時間がないので、飛ばしまして次に行きたいと思います。
 次、お願いします。
 データ・情報基盤の構築事業をどういうふうにやっていくかということなんですけれども、左側に開始時点の基本コンセプトということで、番号、1、2、3と3つ書いてあります。その3つに対応するようなこととして、右側に具体的な取り組みでこちらも1、2、3とあります。左側の3つと右側の3つはほぼ緩くは対応しています。
 右側はかなり簡単に書いてあるんですけれども、行政官が使えるツールというのもつくろうということで、これはもうすぐに使えるものも多少なければいけないということでやっています。ただやはり主なものが2番です。政策研究を高度化するためのデータ整備といったことにやはり一番力を注いできました。
 次のスライドをお願いします。
 結局、そうういうことになりますと、やってきた方向性は主に2つだと。本当に実装に近いようなこと、政策ツールをつくるということ、もう一方は今、言いました研究ツールをつくる。政策ツールのほうは、これも当然やらなければならないことなんですけれども、やってみるとすぐわかるんですけれども、何が必要かというのを事前にはわからない。そのためには結局研究が必要になってしまう。そんな感じです。そうすると、遠回りのようだけれども研究ツールを充実させるということは、やはりやらなければならないだろうというふうな考えで今まで取り組んできております。
 それで、次のスライドをお願いします。
 それで先ほど内閣府斎藤総務研究官から、    公的研究機関に関するデータ整備はある程度よい評価をいただいたということなんですけれども、その内容なんですけれども、ちょっと一見マニアックなんですけれども、ここでやろうとしていることは、研究開発インプットとアウトプットに関するデータをそれぞれつないでいく、しかもいろいろなレベルでつないでいくということを目指す。
 これ、何でこんなことが必要かというと、公的資金で実施されている研究開発はどういう成果を出したかとか、パフォーマンスはどうかというのは、これをやらなければわからないわけです。これも当然のことでして、先ほど内閣府の方が基本計画のレビューとか   だと言ったんですけれども、私、基本計画のレビュー、何回か参加しているんですけれども、第2期基本計画のときに、これをやろうとしたんです。ある程度、当時のデータって少しできたんですけれども、やはりすぐにぶち当たった問題は、ミクロレベルのデータが全然分析ができないというところで、これでは何も政策の評価も何もわからないんです。
 マクロレベルのデータだけでは、予算を投入して出てきた論文がどれだけ出ているか、要するにブラックボックスになってしまうんです。ですから、ミクロデータをちゃんとつくらない限りは、政策の評価といったらとてもならない。ということで、こういうことをやっている。
 ですから、一見、地道なような部分もまさに基本計画とか何とか、基本計画だけではないですけれども、先ほどオカダさんの話にもありましたけれども、こういうことをアメリカのSTAR METRICSなんかも同じような発想だと思います。こういうことをやっていくことになります。
 次のスライドをお願いします。
 中身なんですけれども、今、申し上げたんですけれども、インプットとアウトプットをつなぐとか、マクロとミクロ、両方整備していく。しかも相互に整合性を保った形でリンクしていくといったことをやっている。
 次のスライドをお願いします。
 それで公的機関だけではなくて、現在の状況を示します。ここにNISTEPの外部評価パネルで出した説明に使った図なんですけれども、この青っぽい色のところが当初考えた、当時、インタビューとかアンケート調査でどういうデータが必要ですかと専門家にいろいろ聞いてつくったのがこの青っぽい色の図です。この赤っぽい、あるいはオレンジっぽい色のところは実際に整備したところ、全てを代表にしたわけではないんですけれども、優先順位をつけて、いろいろなデータをつなぐ大学・公的機関名辞書という、企業名辞書と書いてありますけれども、データをつなぐ機能というのは非常に中心になっています。
 それで、その次のスライドお願いします。
 これが、先ほど斎藤総務研究官のスライド、説明にもありましたけれども、要するに今までは入れることしかできなかった。マクロレベルの分析しかできなかったんです。こういうデータ基盤をつくることによって、一気にミクロレベルのデータ分析をする。これ、ミクロレベルのデータというのは、繰り返すようですけれども、これがないと何も分析したことにならないというようなことになります。
 次のスライドをお願いします。
 そのためにやっていることというのは、非常に地道なんです。一番、結局作業に手間がかかっているのは、データの名寄せというようなことなんです。ここは詳細を省略しますので、この説明をすると皆さん何か、データの精度を高めるためには必要でしょうけれども、大変ですね、とか、そんなような話になるんです。
 ただ、私がここで強調したいんですけれども、単にNISTEPのデータの精度を高めるといったような話では全くないんです。そうではなくて、全く利用不可能であったミクロデータを中間レベルのデータを新たにつくり出すということです。
 それからもう一つ3番目で、ここをちょっとお話、特に強調したいんですけれども、これ、こういう分析をやろうとする研究者は、まずやることは大体データクリーニングとかデータの整理なんです。そういうことはいちいちいろいろな研究者がやっていたら、膨大な作業の重複ということになってしまうわけです。
 そうすると、それではしようがないということで、これをNISTEPは引き受けましょうということで、我々がやっている。いわば汚れ仕事を引き受けた、ということで、この仕事の中身を説明すると、何か随分地味なことをやっていますねとか、何か余りぱっとしないですねとか言われてしまうんですけれども、それは当然なんです。要するに汚れ仕事を引き受けているわけですから。というちょっと愚痴めいた話なんですけれども、そういうこと。
 続いて、これは本質的に直ちに実装という性格の仕事ではない。時間のかかる地味なことをやっている。より広い観点から見たときに、要するに実装まで一番の障害になっていることをやっているわけですから、ちょっと遠回りのようですが、こういうことをしなければ全体として進まないということを特に強調したいと思います。
 次のスライドをお願いします。
 ここは簡単に済ませますが、データ基盤の位置づけとして、政策形成、行政官のほうですね、それから右側に政策研究、NISTEPもそうですけれども、これは政策のための科学に参加するいろいろな政府研究者等、その間をつなぐものとして、データ・情報基盤というものがあるというか政策形成、政策研究、きちんと相互作用するためのデータ・情報基盤というものをつなぐ、それを介してやらないといけないということを書いたスライドです。
 次のスライドをお願いします。
 データ・情報基盤からちょっと話は外れるんですけれども、私どもNISTEPでデータ分析というのをずっとやって、政策立案者とずっとこうやっているので、そこからちょっと言えることを言っておきたいと思います。
 ここで3つの段階を踏んでいますけれども、ステージ1というのは、これは専門家、我々のようなNISTEPの研究者になると思うんですけれども、自分たちが重要と考えるデータをつくって分析してから提供する。実際、これってよく使われて、いろいろ使われる場合があります。
 それが少し進んでくると、今度は政策、Policymakerの側からこういうデータがないかとかリクエストしてくるわけです。それに応じてデータを提供したり分析して提供する。これはある意味、ニーズに沿っているということで望ましいんですけれども、ちょっと危険な面もありまして、要するに政策立案者が自分たちのほうで、主張とか、一方的に正当化するような話になったり、ステージ3になってくると、データとその分析結果を用いて専門家と政策立案者が双方向的に議論する、だんだんこうなってくると望ましいんです。ただ、この3の状況でも本当に望ましいかどうかというと、そうでもなくて、これだと密室化といいますか、Policymakerとそのデータ分析専門家がつるんで、要するに都合のいいことをやっているのではないかという批判が出てくる。それについてどうするか、最後の話をしたいと思います。
 次のスライドをお願いします。
 今の3つのステージということです。これ、私のおります科学技術・学術基盤調査研究室の活動を左側に科学技術資料をいろいろ、これ、いずれも政策、行政のデータが非常によく使われている資料です。これによるものがどういう段階になるかというと大体やはりステージ1から始まるんですけれども、こんなふうになっているということを示しています。
 次のスライドをお願いします。
 データ・情報基盤とその実装の間にどういうものがあるかということなんですけれども、結局、データ・情報というのは十分な分析がなされて初めて意味を持つものが多いということです。そうすると、データをつくったらすぐに使ってくださいというのは、なかなか、そういう場合もあるんですけれども、やはり専門的な分析が介在することが必要である場合が多いです。
 そういうふうになってくると、結局、共通基盤的なデータをいっぱい用意していろいろな人が分析をどんどんやっていくという状況にならないといけないだろうということで、次のスライドをお願いします。
 それでちょっと省略したいんですが、それでそういうような実装まで時間がかかるという話をしてきたんですけれども、実は逆のような話もあって、データをつくったら直ちに政策形成に影響を与えた例があるんです。これは大学における研究時間の減少というのがあって、これはそれまでも大学の研究者が減っているような話は、誰も、委員会とかでしょっちゅうそういう話になったんですけど、それはそれで話が終わってしまうんです。
 ところが、2008年の調査とか、その後NISTEPで2012年にそれを分析したものがあるんですけれども、そういうデータとして出したら急に使われて、まじめに研究時間の減少ということを政策課題にしろというふうな議論が急に始まったんです、ということがあります。
 次のスライドをお願いします。
 これにまつわることで一言どうしても強調しておきたいのは、今、データは非常に重要なんですけれども、実はこういう疑問があるんです。本当にあれほど大学教員の研究時間、本当に減ったのか。テクニカルによく見ていくとちょっとあれは減り過ぎではないかと、こんなことを言う人は日本でも私が知っている限りまだ1人か2人しかいないんですけれども、我々が確かにデータをよく調べると、いろいろサンプリングに偏りが生じていたのではないかとか、いろいろな問題がある。これって物すごくテクニカルで、例えばNISTEPの研究だと何か随分マニアックなことをやっていますね、ぐらいになってしまうんですけれども、実はこれが非常に重要だと思う。誰かがこういうことをやらなければいけないんです。過去の調査のサンプリングが偏っていたかどうかなんていうのは、地道なことであっても本当に誰かがやらないと正しい正しい成果が成り立たない話なんです。我々もさすがにこれはマニアックな話だと思っていますので、全面的にこういうことをやるとは言いはしませんけれども、こういうこともありますという話です。
 それで最後にちょっと話は飛びますが、先ほど政策立案者とデータの専門家がつるんでいるだけではだめだというお話をしましたけれども、結局そうするとデータ・情報というのはオープン化することが一番重要であろうというふうに考えています。
 データ・情報をオープン化すると、今まで例えばNISTEPというのはこの文科省と同じ建物にあって、行政官に近いところでいろいろやっているんですけれども、やはり我々だけではだめで、我々はもちろんいろいろどんどん分析をやるわけですけれども、それに対して、いろいろな研究者等が分析をまた異なる視点から行うとか、そういうことをやらないと本当の意味での政策のための科学にはならないだろうというふうに考えております。
 以上です。
○司会 ありがとうございました。
 次に、RISTEX第一期公募プロジェクトの事例について、JST社会技術研究開発センター、シニアフェロー、奥和田久美様よりお願いいたします。
○奥和田 すみません、きょうは資料をお配りしておりません。一部のプロジェクトの評価がまだなので、評価に差し障りがあるといけないので、資料をお配りしておりませんので、必要な方は後でお送りいたしますので、適宜御活用ください。
 きょう、何か実装について、実装とか形態について何か議論になるものを、ということだったので、こういう話が皆さんの参考になるのかどうかわかりませんが、RISTEXの公募事業を通じてどういうふうにプロジェクトが、各プロジェクトや研究を導いていくのかということをお話しすることで、もしかしたら何か議論の提供になるかなと思います。
 次、お願いします。
 ちなみに社会実装、社会と実装という言葉をくっつけたのはどうも何かこのRISTEXさんだそうで、その昔に。その以前には社会実装という言葉は存在しなかったらしいんです。先ほど泉センター長がおっしゃったように、採択プロジェクトもいろいろあって、ちょっと見ていただくと、黄色いものが最初に1年目、2年目は水色で、3年目はオレンジみたいなもので、要するに初めのうちはなかった、さっき言った、とりあえず何かやろうという感じだったんだけれども、少し特定データのほうからのシミュレーションだとか、そういうものもやれたらいいということで、そういう方向に導くようなことがなされています。大変これは完璧には非常に少ないんです。米国なんかの公募事業だと、毎年この何倍ものが何年も続いているということで、全部で百何十個というようなプロジェクトが何年にもわたって続いている。たった二、三年のを1年間に5個ぐらいのもので何かを言うというのはかなり難しいんです。規模だって、米国なんかのこの10分の1ぐらいの規模なんです、これ。それでこれで何かを言うというのは非常に難しいんです。その中でもこういうようなことをやっているということを、ちょっときょう。
 次、お願いします。
 このRISTEXにおけるプログラムを特徴づける要素としては、やはりRISTEXの戦略的創造研究推進事業の一つとしたい。これがさっき言った社会実装をちゃんとやれということを強く推し進める形になるんです。それがその結果、RISTEXの他の公募事業と同じように介入型、つまりこちらが勝手にやってくださいと言うのではなくて、プログラム側がこういう研究をこのように進めてくださいということで、かなり介入するというプログラム運営がなされています。
 そういう意味では、少ない子供を大事に育てるというようなことをやっているというようなもの。科学技術イノベーション政策の科学ではなくて、政策のための科学をやっているということです。これがちょっと大きいかなと。一般的にこの違いでは余り区別されないで使われているんですけれども、この違いは実はかなり大きいと思います。
 それからプログラム総括が、たまたま幾つかのプログラムで政治学者であること。これもかなり大きな  だと思います。したがいまして、政策実践へのブリッジをする、ここを重視していきます。
 ということで、NSFなんかで始まったSciSIP公募事業とは随分個性の異なるプログラムになっているということがあります。
 次、お願いします。
 ブリッジをするということで、介入するということで、さっきも言ったようにいろいろアドバイザー側とか、総括がこうしろ、ああしろと言うわけです。こういうような研究スタイル自身が、   を基本とするようなアカデミアには、普通ではないことなんです。ここがすごく違う。つまり採択した後は、ほとんど最後に報告書を出せばいいというような確認スタイルとはかなり違うということになります。
 後で申し上げますけれども、プロジェクトの採択や事後評価もこの研究総括やアドバイザーという人が行う。最後まで面倒を見るということです。
 次、お願いします。
 ここからが各プロジェクトの例で、評価が分かれてしまうところなので、資料をお配りできない理由なんですけれども、どういうアドバイスをされているかという例として、今、御紹介するのは、最終年度に入っている、ことし、平成23年度に採択されて、ことし終わるようなもので、最終段階でどんなアドバイスをしているかという御紹介をします。
 ちょっと言いわけがましいかもしれませんけれども、23年度に採択されたということは、今のような議論がほとんどなかったような時代に、とにかくやってみろと言われた時代に採択されたものだということです。
 そういうことで、この人たちの名誉のために言っておきますけれども、こんなような具体的なことが言われなかった時代に採択されたものだということです。企画されたこと。
 これは経済部の玉村さんのプロジェクトで、科学技術への社会的期待の可視化と定量化手法の開発、ここでは簡単に言いますと3つの手法を組み合わせて何か社会的期待を可視化して、それを何か大胆につくっていこうではないか、こういう研究になっています。
 ここでは最終年度で今、何を求められているかというと、3つの研究を統合して開発化へのガイドラインというのはどんなものか、具体的に示せと言われています。これ普通の研究だと3つの研究はそれぞれやりました、はい、よくできましたね、と言われるのが普通なんです。ところがここでは、ミクロレベルで何をやれるのかちゃんと示せと言われているんです。しかもその方法が有効なことの1事例で立証しろと言われている。これがわからないと大変なことでして、次、お願いします。
 彼らは今、この総合モデルの検討を一生懸命やっていまして、出生前診断の例で、このように3つを統合して、何かガイドラインをつくるのかと、一生懸命ことしやっているということです。これがこの人たちに課せられている実証しろということです。
 次、お願いします。
 次、これも最終目標を明確にしろというもので、そこに担当者、代表者としていらっしゃったので、ちょっと申しわけないですけれども、この松浦さんのプロジェクトでは、JFFという共同事実確認という有効性を、3つのアクションリサーチにより検討するということなので、それぞれのやり方というのは非常にいいんですけれども、これやはり3つのアクションリサーチから最終的にどういったことを導けるのか。JFFというのは、米国で初めに始められたということなので、それを日本で試した以上のことが導けるのか、ここを今、最終年度でフォローさせていただいているところです。
 この辺は、今の2つの例は最終目標を明確化、具体化することによって、引き上げようとしている例です。
 次、お願いします。
 これは、この山口さんのプロジェクトは、ある程度書いてあることはもうできちゃったよ、というプロジェクトでして、これ、最終目標をもっと引き上げてくださいというふうに言っています。
 これはどちらかというと金融  学とか統計分析だとかそういうことを使ったり、あるいはいろいろなインタビューに行ったりして、いろいろなことを導いていて、この人たちは自分たちでつくったツール、例えば特許を  ときにどこに結びついているかというツールをつくってオープンにしているんです。
 ではそれをどの公開ツールはある意味どの程度使われるのかというのを実証しろと、今、言われています。この人たちこういうのを使って、実際に大学院プログラムで使えるような教科書を書きますと言っているんですけれども、そんな教科書程度で終わらせるなと。複数大学で実践できるようなものを何本か検討しろと、こういうものをフォローされている。これが彼らに課せられている実証分析です。
 次、お願いします。
 この長岡さんのプロジェクトも非常にたくさんいろいろなことをやっていただいていまして、今まで成功した医薬品の研究がサイエンス、どこの部分に関係していたとか、特許ではどうだったのかとか、知識フローはどういうふうに流れたのか、それによって経済効果はどういうふうにできたのかということを一生懸命、一生懸命たくさんのデータを出していただいていて、普通の科研費レベルの研究であったら10分ぐらいの研究かもしれないものなんですけれども、それでも最終年度には、もっと経済分析を充実させてくれとか、医薬品導入後のパフォーマンスとか、寿命への効果分析などもしてくれと、こういう高い要求を出しています。普通だったら言われないことを彼らは言われている。これは最終目標で聞かれています。
 次、お願いします。
 逆に残念ながら実力や実現に合ったプロジェクト目標を縮小した例もある。この辺があるのでお配りできないんですけれども、彼らの名誉のために言うと、ここまで言われるはずではなかったと思っているのかもしれませんが、調さんのプロジェクトなんかは表題が「ファンディングプログラムの運営に資する科学計量学」となっている。ですので、我々のアドバイザーとか運営側はファンディングプログラムの運営に資するというところを非常に重視しているわけです。彼らはそこまでのことは最初、思っていなかったのかもしれませんけれども、当初目標は、運営において、実務家と研究者が協議をして、何か新しいアプローチを生み出したいなというぐらいのことだったと思うんです。
 ただ、やはりアドバイザー側は、もっと具体的にファンディングプログラムの運営に資するというものを出せということを強く言っていまして、この2番目の目標をそこまでの、変ですけれども、ことができそうもないので、データによるファンディングプログラムのエビデンスの提示ぐらいに、もうしようではないかということで合意しました。
 これは、採択した側からすると、目標の縮小というか低下です。運営体制の3つぐらいのグループがそれぞれ研究していたんですけれども、それをやめさせたと言うと失礼ですが、やめてもらって、一元化して、最終目標に向かって行ってくれというふうに。そのためにプログラムファンドなんかで、こういうファンディングプログラムをやっている人たちを集めて話をする。
 次、お願いします。
 これも縮小の例で申しわけないんですけれども、これも幾つかのプログラムの統合だったんですけれども、統合なんてことはできないということで、途中で断念しました。こちらのフォローで断念しました。それでそれぞれのモデルが大きく条件を変えて具体的なものというか、最終年度に確認するということに縮小。
 次、お願いします。
 成果の報告の評価のポイントなんですけれども、これから評価が行われるわけですけれども、各プロジェクトにさっき泉さんが説明されたように、誰に何を与えるかとアウトカムにしろと、それを示すアウトプットはどれかということを明確にするということを評価のポイントにしようとしております。
 次、お願いします。
 これ、例えば地域の研究なんかも2つぐらいあって、そういうのは、地域に視点がすごく狭くなりがちなので、国際ワークショップなんかをやって海外にも目を向けろと、地域の、海外に向けろと、このようなアドバイスを途中でやったり。
 フィージビリティスタディ、これ話は出ませんでしたけれども、採択前に採択にちょっと満たないので、もう少し考え直してもらって次の年に提案してくださいという方法なんですけれども、過去6件ぐらいフィージビリティをやっていて、実際にやったのが6件のち2件でした。次年度応募を断念したのが2件あります。ただ、言ってもこちらの意図どおりにならないと応募もできないという話です。
 次、お願いします。
 さっき泉さんからお話しされましたように、公募自身の改善にも3年目から取り組んでいる。これは、枠によって選考基準を変えて、全部やるのは無理でしょうと。例えば新規性や独立性等、実装まで、一緒にやるということは無理だと思いますから、どっちかに特化してくださいというような公募の仕方、それから多段階のプロセスを経るということは、今後の段階では途中でアドバイスしていい提案にしてくれという。
 これは検証しておりますが、後でプロフェッサーとお話しなるような報告書にこの効果のことを何ページか書いてあるという、御興味があれば。
 未解決の議論もありました。科学技術イノベーションの、さっき、ためのと言いましたけれども、科学技術イノベーション政策なのか、政策のための科学なのかということで、採択のときに非常に迷いました、数が少ないので。ここ、どっちを重視するかで採択の基準が全然違ってくる。ここがはっきりしておりません。
 それから、不明確な事項として、政策立案側は、どのような科学を必要としているのか、これがやはり我々は明示できていないので、ですので、応募者の方々も困っているんだと思います。データ整備は非常にこの何年間で非常に進んできましたけれども、進む中、今後、では次に求められるのはどこなのか、この議論が必要だと思います。
 やはりまだ取り組めていない研究や不足している研究は何があるかということは、やはり海外動向の把握などをしながら、もし我々の公募事業に第2期があるとしたら、どこに焦点を置くべきかを   たいと思います。
 すみません、時間が長くて。
○司会 ありがとうございました。
 それでは、続いて政策研究大学院大学の三石祥子様、お願いいたします。
○三石 政策研究大学院大学の三石と申します。よろしくお願いいたします。
 本日、持ってくるのを忘れてしまいまして、申しわけありませんが、お配りさせていただいている紙で説明させていただきたいと思います。
 (2)のほうのパワーポイントの資料をごらんください。
 政策研究大学院大学では、昨年の12月からことしの3月にかけて、「科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」」の推進に向けた試行的実践ということで、文部科学省のための委託事業で調査研究をしてまいりました。
 スライドの2枚目なんですけれども、内容ですが、大きく3つ上に四角がありますが、1つ目は、政策課題の発見・発掘に関する検討、2つ目は特定政策課題についての政策オプションの検討、それから3番目が政策形成プロセスのあり方の検討、この3つのそれぞれ検討をしてまいりまして、最後に制度のための課題の整理というのをしています。丸い印をつけていますが、第2章、第3章、第4章、第5章と書いてありますが、お手元の資料の(1)の成果報告書の要約をごらんください。
 それを1枚おめくりいただきますと、目次があります。先ほどのパワーポイントの目次を並べていただきますと、この2章の部分が左側の第2章になります。同じく3章は、この目次の中の左下から  の部分、それから第4章が右上、そして第5章というふうになっております。それぞれ一つ一つとても個人的には価値がある論法だと思うので一つ一つ紹介したいのですが、時間がないので簡単に概要だけ説明させていただきます。
 第2章なんですが、第1章のところで、政策課題の発見・発掘の手法・取り組みに関する内外の事例ということで、海外の事例を2個出して、それから国内の事例として専門値、どちらかというと専門値をベースにしたものを数例、それからステークホルダー等作業を重視したものが2事例、それぞれ紹介するような構成になっています。
 それから第3章ですが、第3章ですが、第3章の第2節をごらんいただきますと3つあります。科学技術分野における国際的プロジェクトの推進に係る視点と課題、それからデュアルユースに利用可能な科学技術プロジェクトの推進のあり方、それから先ほど話しましたが、科学技術外交の戦略的な推進に向けて、それからオリンピック・パラリンピックに向けた科学技術面での検討、これらは研究会をこの実施期間内に実施しまして、この要約の中で最初のところで出た参考1というところに35ページのところに、ここに行われた研究会の記載してございますが、そういう研究会を通った検討の結果というのをまとめております。
 それから第4章、右上になります。一番右上に参りますが、第2節のところを見ると、    内外の   可視化の視点ということで、エビデンスに基づく政策形成と影響分布ということで5事例紹介しています。それから科学と社会、政治・行政をつなぐということで6事例紹介しています。それから、   の活動ということで2事例、それから政策形成プロセスにおける   の重要性ということで4事例、これを紹介しています。
 以上が報告書の5章の前までの概要です。
 次に、それでは5章の   それからこの試行的な実践を行って、どのような示唆があるのかということを  させていただきたいと思います。
 このパワーポイントの(2)のほうに移りまして、ページをめくっていただきますと3番、4番、さらに5、6とか、まず政策のための科学を本格的に推進する必要性がどういうところにあるのかということで、例えば2014年のダボス会議のテーマであるとかブダペスト宣言、それから2004年のバルミサーノ報告なんかを区切りとして、スライドの6番目ですが、数百年オーダーでの科学技術と社会、政治、行政との関係の大きな転換に対応するために、基づく科学技術イノベーション政策の科学の推進が注目されているということだとか、一連のプロセスの中で新しい方法論、データの収集分析法の開発、人材の育成など、分野・組織・国を超えた連携が期待されている。また、科学技術と政治・行政・社会とのダイナミックな相互作用と循環の過程が、相互に共進化を生み出し、質の高い科学技術イノベーション政策、戦略が策定され、実行できるようになることが期待されている。このような状況の中で、今後の日本のサイエンスの   にどういう活動をしていったらいいのかということに対する一助となるようなことをするというのが、事業の目的であったというふうに理解しております。
 次に行きますが、実際にこの施策、調査研究を行って、どのような  があったかということについて紹介させていただきたいと思います。スライドで言うと7番目になります。星印で書いてありますが、政策課題の発見・発掘の重要性への認識が高まっている。続いて、社会経済情勢が多様化しまして複雑で不確実な問題が多い中で、政策課題についてをより透明に、説明可能なプロセスにする必要があるという機運が高まっている。
 政策課題の発見・発掘のための多様なアプローチだとか、多様な担い手を迎えて政策課題の設定のプロセスの、どのような段階でどのような方法を使って、多様な関係者の意見を聴取するというのが必要かどうかというのは重要なテーマであろうということは、一つ   として立てられたところです。
 それから次が、科学と政策の架橋は重要であり、かつ難しいことであるということも、さまざまな事例の中で述べられていることでした。
 これは、この図が    思いまして、    あくまでもこの   紹介させていただきました。
 次のなぜ難しいのかということで難しさの例として、この幾つもの論法の中で述べられていることをまとめると、一つには、幾つもありますが、一つには時間環境の違いをどう克服するかということで、政策課題の発見・発掘だとか政策オプションの作成において、アクションまでの所要の時間は、長短がある。例えば数カ月単位のもあれば一、二年単位のものもある。数年単位のものもある。科学的に必要となるデータの作成や新たな手法の開発には数年単位の時間が必要となるものもある一方で、政策担当者はごく短期の検討が必要になることが多い。その置かれている時間や環境が異なる科学者と政策担当者が協働する政策というのを考える必要があるのではないか。
 それから、難しさの例ということで、幾つも書かれている、コメントを幾つかピックアップさせていただいたんですが、どのような研究成果があれば、政策立案の助けになるのか、その具体例が見えないところから出発したんだとか、実務家から求められるエビデンスの内容だとか形態・構成要素などについて、質・量ともに高い最新のものを常に把握することが可能になるということが鍵であるだとか、専門家同士でエビデンスの正当性について論争になることも考えられる。一体どういう研究成果が役に立つというか、必要なのか、という点は大きな課題ではないかというふうに感じました。
 それから次ですが、では一体そういういろいろな問題がある中で、どうしていったらいいかということで、政策と科学をつなぐ組織・媒介者の存在というものが重要になってくるのではないかというふうに思います。スライドの11枚目になりますけれども、科学技術イノベーションの実現には、科学と社会、政治、行政とが対話し信頼することが前提となるけれども、それは容易なことではない。このような課題を解決するために、日ごろから、政策担当者や大学・公的研究機関の関係者だとか、産業界、学協会、NPOとのネットワークを構築・維持して、こうした多様な人々が独立して継続的に信頼関係を持って対話できる空間と条件を整備することが重要である。
 それから、一連のプロセスの円滑な実践も大事である。
 次の12番目に行きますが、政策と科学をつなぐ上で、組織や媒介者という人だとかは、そういうのも重要であるけれども、そのほかにどういうことが重要であるかということを最後に2つ書いています。
 歴史的空間的立ち位置の認識ということで、歴史の重要性というのをここにどういうことがその文言の中に書いてあったかということを  していますが、その学問として、政策のための学問として歴史的に知るということは大変重要であるということと、もう一方では、政策と科学をつなぐという一つの物というか、そのものとしての役割を歴史的認識というのが始まってくると。それから最後のスライドに行きますが、歴史的空間的立ち位置ですが、トータルなシステムとして、理解するための枠組みとして、いろいろなレベルのシステムがあると。そういった思考の枠組みのもとに構造的動的に理解することが重要であるということだとか、政策担当者の組織の中における立ち位置や政策体系の中での位置づけを明確化するとともに、共有しておくことが今回の調査結果からの  として御紹介させていただきました。
 ありがとうございます。
○司会 ありがとうございます。
○有本 ありがとうございました。
 ちょっと私また、余り用意していなかったんですけれども、ずっとずれて、これはまずい、科学者のほうはやたらとみんな言いたがるけれども、議論する空間と時間が少なくなるというところが、政策のための科学をまともにやるためには、これが一番大事なところではないかと思って、ちょっと申しわけないですけれども、10分だけ延長してもらったほうが、政策のこれだけの方がかかわっているものですから。
 まずきょう、コメンテーターということで、シロヤマ先生、それからアカイケさんにお願いしていますので、シロヤマ先生から幾つかコメントをお願いします。
 それで、きょう、まとめるというよりもいろいろな意見が、とんがった意見がいっぱいあったほうが今後のためにはいいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○シライシ 3分ぐらいで若干、    たいと思います。
 一つは、常に出てくるこの例の車輪が二つある理由なんですけれども、要は、きょうのタイトルは、科学技術イノベーション政策の科学というのが、政策か技術かで、それを実装・展開するという、絵で描いているんだけれども、多分、    科学の実装・展開というのは、通常の実装・展開と同じなのかというとちょっと違うのではないかと。それは車の両輪で、もう一つ車の輪があるわけですよね。そうするとこの左のほうの赤いところで、   のほうで何かをつくってそれを使いましょうといっても、右側の青いほうもきちっとそれなりのある種の   絡んでなければいけなくて、そこが    というと、かなり違うだろうと、これは当然通常の技術でも、実際にはその企業のシステムだったり、マーケティングシステムの中にあるので、大なり小なりそういうことは同じ苦労はあるとはいえ、やはりそこはかなり政策の社会というのは、右側の実装・展開という世界なんだろうと思うんです。
 そのときに実装とはどういうことなのかというのがすごく大きな問題なんだろうと。多分、そのあたりはかなり意識的に   なものと    だと思うんですけれども、ちょっと私のよく理解できていないのかもしれませんが、通常は特別な   ある意味ではそういうことなのかなと。
 つまり通常だったらそのサイエンスとしてとがったものをエビデンスとして出しているということに焦点を当てるんだけれども、特別枠というのはきちっと制度としてパッケージを出しなさいよとか、場合によっては多分受け手の人がステークホルダーをちゃんと巻き込んだ形でやりなさいという形でやっていって、例えば特別枠というのは左と右をセットに落としていると。ただ、実際に組み合わせた立場からいうと、サイエンスのほうを重視するのか、実際の政策インパクトを重視するのかというのがかなり、まさに自己分析せざるを得ないというところはそこは大きなポイントだと思います。
 そのときに特別枠ではないですけれども、右まできちっと巻き込んでやるという、そこは誰がどういう責任体制でやるのか、すごく一番大きな問題で、恐らく  さんの話の中でありましたが、多分、研究テーマをいただいて、一応いろいろな要求要件をつけていくという、ある種、疑似ユーザーのような役割を果たすというのが多分一つのそのチームの役割だということだと思うんですけれども、そこまでだと本当のユーザーではないわけです。
 多分、研究者はトレーニングってすごく大事なことなんだけれども、実際に使ってもらうと本当のユーザーを連れてこなければいけないと。そうすると例えば今の体制でいくときに、最後は、これは既に議論あったと思いますけれども、科学イノベーション政策の科学というのは、ある特定の政策というか、各論でいけば医療だったりエネルギーだったり何だったりする世界なので、役所の枠でいっても各省にかかわる話なので、それとそれこそ文科省とその中のJSTの中にRISTEXがあるというのと、研究者がみずから連れてくるという、つまり   役割分担で、現場とつなぎをやろうかというところは、今のスピードは多分、今のスピードでまさに動かすことは大事ですが、    そこの仕組みをやはりもうちょっとちゃんと考えることは大事だなと。余りビビッドに当事者を巻き込むと、当事者は当然利害があるので、その安易なことでは実験はさせないぞということになるので、ある種の遊びというのはすごく大事なんですけれども、やはりそこのつなぎをどうするかというのは、一番大きな問題かなと思います、一つ目です。
 それから2つ目は、これはある意味では皆さんのお話、共通していたんですが、やはり実装の前に何がニーズかを把握するというのは大事で、ただし変にニーズを把握してしまうと、何かあやしい孤立感が傾いてしまうみたいな、その辺をどうするかといことなのかなと思います。
 また、話でのステージ2のところで、一体どういうニーズがあって、データがどうであるか、かかわってくるという話がありましたし、ちゃんと理解できないかもしれませんが、ミクロデータが充実されていないのはミクロのいろいろな違いみたいなものをどう説明するかというのが、多分いろいろな政策選択にかかわってくるので、多分ミクロデータが大事だということだと思うんです。
 そうすると何を知りたいのかというニーズの話とどういうデータが必要かというのがつながってくるので、やはりそのニーズ把握というところは大事です。ただし、それは有本さんがさっきどこかで言われていましたけれども、どぶ板的ニーズでいいのかという、ニーズの把握の仕方自身がある意味関与するというのも、むしろ重要なやはり横道になるけれども、大事な話なのかなというふうに伺って。
 それから、3つ目はこれは、基本的には同感ということですが、時間管理が大事だということで、短期長期の話なんですが、これは多分課題の短期長期とあるという側面と、多分、この右側の世界の方からすると、多分そこは自分でコントロールできないんですよね。課題の性格から長期を要求しても政治的なタイミングは短期で答えを出せと言われたときに、多分エビデンスの質よりもタイミングが大事だということはしばしば起こるので、ある種のそこはタイミングに流されていいのかということは、もちろん政策の過程からディシプリンの議論としてもあると思うんですけれども、やはりタイミングにどう適応するかということはやはり重要なトレーニングなんです。
 そこはやはり研究者というのは、やはり時間感覚でやっているのが、よくある仕事だったので、そこをどう変えるか変えないのか、そこはまさに今度の政策形成の拠点の   であるところの、マネジメント的に即問われるところなのかなというのが3点目です。
 最後は、これは三石さんの最後のところにかかわるんですが、歴史的空間的立ち位置という話ですが、私の理解だと、まず、今までの科学技術のイノベーションみたいな話が何らかの形で社会のイノベーションにつながっていきましたと、意図した形で、意図しない形で、それはマーケット計画かもしれないし、いろいろなインフォーマルデータかもしれないしと、多分そのつなぎを多分、違うつなぎの仕方に何かある種、構造転換しましょうみたいなものが、マクロなアジェンダなんだろうな。
 そのときに多分そこの、構造する主体である研究者のほうも多分、いろいろな構造様式を多少いろいろな幅を持たせなければいけないところもありますし、多分ユーザーのほうも、今まではユーザーはユーザーにとって使いやすい必要なエビデンスをどう説くかということでやったんだけれども、そこもやはり少し幅を広げて、何かいろいろな幅を広げないと、やはり新しいことができないという話になってきて、それについては、科学技術の科学としての調査技術のイノベーション、それから産業界だったり、役所だったりするんだと思いますが、多分そうするとこのチャネルを振り返るための実験とトレーニングをやっているというのが、若干、ワンクッションとってみたときのここでやっていることなのかなという印象を持ちました。
 以上です。
○有本 ありがとうございました。あともう一度ぐらい、シロヤマ先生にあれですけれども、それではアカイケさん。
○アカイケ ごく手短に。
 私、このプログラム、CRDS一橋でちょうどPDCAを回ってきて今、文省の企画プログラム分析官というのをやっています。企画分析官って、聞きなれない仕事かもしれないんですけれども、こういう   と協力しながら、こういうサブスタンスにかかわるものを、あるときには助言者、時には検証しながら、プログラム、政策研究を達成していくというので、そういう意味では政策のための科学の一つの実験人物かなというふうに考えています。
 それで中身の話をします。ちょうどこのペーパー、時間   ぐらいに配りましたので、上の半分の話、これは先ほど奥和田さんからも出ましたように、科学技術イノベーション政策という領域は一体何なのか。それから、ということに関して、ちょうど横に文字が書いてあるので読んでいただければわかりますけれども、何を言いたいかというと、今まで緑のところでこれは、これはこれで重厚なコミュニティーがあるんですけれども、ここにいた人たちはむしろ総体的な視点から科学技術イノベーション政策というものをもう一度見直していくべきではないのか。
 それから外から入ってきていただいた方には、真剣に科学技術システムというものをやはり考えていただくべきではないかと。ただお互い   みたいなことをやりましょうということです。このフックになっていますので、それぞれフックにかけながらこれを重厚に広げていくというのがパターンではないか。具体的に言うとまた    になるんじゃないかというやり方もあると思いますが、そういうところです。では   の話です。
 それからもう一つ、この下半分は、大体読んでいただければわかると思うんですが、私は今いる政策側の見方というので、ちょっと考えてみたいと思います。
 ギャップギャップということで、私も研究政策学会とか、あと三石さんが紹介していただいた委託調査の中でもエッセーを幾つか書きましたけれども、思考要旨の違いという、簡単に言えばそうなんですけれども、ちょっとお話ししたいのは、因果関係とコントロールという話をしたいと思います。
 因果関係ということについて、富澤さん、御説明していただきましたとおり、政策の評価をはかるというのは、政策からの効果までの因果関係の意図を結んでいくということなんですけれども、そこについては、マクロとマクロの間だった基本的に因果関係はわからない。だから、そのマイクロとマイクロのデータを積み上げて、その因果関係、マイクロとマイクロでデータを積み上げるということは、どっちかを固定していたときに、どっちかを動かしたときの効果をはかるという意味で、因果関係がわかるんですけれども、そのための手段をうまく積み上げている。例えばそういう意味では何か非常に間抜けな議論として、例えばサイエンスマップはいいけれども、ビブリはおかしいとか、何かマクロはだめだけれども、名寄せは不要だとか、ぐちゃぐちゃな、そこら辺の議論が整理されていないところがあると思います。
 だからこういったところを我々行政側としては因果関係とか、後で話しますコントロールということに対して、もうちょっときちっと認識、政策側を  させないといけない。
 もう一つ政策の体系という話なんですけれども、コントロールと政策の体系という話でちょうど私、先ほど泉センター長から紹介していただいた   というところに入っていますけれども、あれで一番苦労したのは、まず研究開発投資の効果をはかるというモデル、やや陳腐なんですけれども、経済学者が考えることは、なるべく自律的なモデルというかその中で説明できるモデルをつくることなんです。
 だから、そういう意味では、政府関係科学投資が中に入ってはいけない。外からどういう効果があるかということをはかるわけです。だから、そこのところのごく基本的なところからまず理解してもらわなければいけない。
 政府研究開発、では政府機関投資って何ですか、といったら、課長統計のものから科学技術関係経費のものから、それぞれいろいろなものがあって、それぞれ実はすごくいい意味でも悪い意味でもいい加減だったり、いろいろな数字があって、そういう数字というものに対する理解というものも深めていかないといけない。しかし、非常に手間のかかる仕事であるけれども、そういうところから始めていかなければいけないというところはあると思います。
 それからもう一つ、黒田先生の糖尿病のお話を聞いて、我々、黒田先生もよくお話ししているけれども、やはりこれも政策側の課題って非常に大きくて、先生の御説明された中でも、シナリオとパターンっていう話がありましたけれども、あれを導き出すところまでが物すごく重要で、それを思いつきでつくって徹底するというのは、行政官でなくても普通の誰でも簡単にできる。簡単ではないですけれども、誰でもできると思うんですけれども、それを現実の政策体系の中、例えば我々で言えば科学技術基本計画に基づく政策の体系とか、あるいは福祉だったら福祉とか、医療政策もあるかもしれません。そういう現実のドキュメントとか体系の中できちっと、なぜそれが導き出された、何でそのシナリオが糖尿病の投資額がこうであってという、そういう設定のシナリオをつくらないといけない。というふうに、そこのところが物すごく大変だということだと思います。ということで、そこのところの重厚さというのは、これから   していかなければならないと思います。
 それからもう一点、最後、これ、最後に行政のリソースという話ですけれども、すごくやはりこれは手間がかかるんですけれども、そういう意味では行政のリソースの、最後、聞きますけれども、行政の効率化ということと、両立というのは不可欠であるという話です、ということで以上です。
○有本 ありがとうございます。
 時間がまたタイトになっていますので、モデレーターの権限として、言いたい人はいっぱいいると思いますけれども、私が指名します。コバヤシ先生。5拠点6大学以外で非常に地味ですけれども、しっかりやっておられるのではないかと思うので。それからすみません、横のイジリ先生、OECDとかいろいろ世界の動きをこういうものでやっておられると思うので、イジリ先生に御発言いただく。それから笠木先生、推進委員会理事でもありますので、それから行政の方にもぜひいろいろな意見をいただきたいと思いますけれども、ではコバヤシ先生。
○コバヤシ 早稲田大学のコバヤシです。
 このきょうの構造化の会議は久しぶりに見させていただいて、大分、議論が進んでいるなという印象がございました。私の関心は、この政策のための科学の初期に、CRDSのヨシカワ先生がお書きになったグルグルマイマイがあって、観察型科学者だけではだめで構成型科学者も必要だと。
 きょうのお話も聞いていまして、まさにこの構成型研究、構成学といいますか、分析することによって、科学技術あるいはイノベーション政策ができたとしても、それをまさに実装に持っていくためのインクリをするためには、先ほど今、アカイケ先生、シナリオとおっしゃったんですけれども、目標設定してシナリオをきちんとつくって、それにつける道筋をきちんとやっていくというプロセスが今後必要だと思うんです。
 先ほど黒田先生も一緒に細かい全体構造俯瞰とございましたけれども、これの右と左をつなぐところが実は重要だということ。先ほど非常に興味がある例題、例えば糖尿病でしたか、10万人減らして300億円投じて2,550億円のGDPが上がる。ではそれに向けた今、申し上げたような具体的なシナリオをつくれるかどうかというのが重要だと思いますので、私のきょうのポイントはその構成型研究の   ならないといけないなというのが私の教訓です。
○有本 ありがとうございました。イジリ先生。
○イジリ 3点あるのですが、1点は歴史的空間的立ち位置、これ、しゃべると15分くらいかかるので省略します。
 それから2点目は、きょうの開設の目的にある成果実装、実装ユーズって、お話しありましたけれども、もしこれ、こういうことって、世界共通にあるので、もし英語で起こすとディプロイメントではないか。ディプロイメントというものは、例えば軍隊の中で    。要は、すぐにそれを実行可能な状態に備えること、そこで一斉  といったら一斉に   。ここにもやはり同じように政策の現場で使いたいとなったときに比較的容易に使える状態になっている。そこにある程度既に実装というふうに捉えていいのではないかと思います。
 そうしたときに今度は3点目になるんですけれども、諸外国の中で、オカダさんのほうとか   民間の例とか、そういう話があって、中で    OECDとか欧州委員会ですとか、こうやっていろいろなところとやっていまして、特に欧州委員会というと、その中のプログラムをやるときには、当然そこのエビデンスが必要ということで、そこは指標をつくったり、データを集めたり分析をしたり、そういうのをやはり  として必ず   られていて、しかしそれが必ずしもすぐには使い物になるかどうかわからない。
 それから    必ず合意するわけですから、欧州委員会の担当者なり研究者が非常に  影響の積み上げ方がどんどん発達してきて、    地道に、一方でやはりそのときそのときに使える分析結果とかを現場に使っていきながら、相互に発展させていくということでないかなというふうに思います。
○有本 ありがとうございました。
 今の最後のところはさっき、内閣府の佐藤さん、帰られましたけれども発議があって、オカダさんが答えられた、やはり当初の立ち上げのプログラムのときに、あるいはプログラムレベルでもいいけれども、我々   レベルでもいいんだけれども、ちゃんとそれが埋め込まれていない、仕組みが。うまく回らないということにつながる、非常に大事な御指摘ではないかと思うんですけれども、さてそれでは笠木先生。
○笠木 私、遅れてきたので前半の議論を全く聞いていなくて、皆さんのような高いレベルの議論ができないんですけれども、かねがねこの政策のための科学の事業を横から見ていて、最終的に具体的なことが、何が出てくるのだろうということを一番気になっているんです。
 私は工学分野なものですから、仮にこのプロジェクト、経産省でやったらどんな進め方をするのかなと、端的に言うと。先ほどデータの話がありましたけれども、論文の非常に整理されたデータベース、あるいはパテントのデータベース等々をつくっていく、これはもちろん基本だろうと思うんですけれども、政策ですからやはり一概に社会、経済、環境みたいなことの変化が落ちているわけです。
 先ほど  といった話がありました、コバヤシ先生から。私はそういう面からすると、もう少し政策、出口の側について、データなのか、知識なのか、それを整理する必要があるのではないか。今のままだと皆さん、それぞれがイノベーションの姿というのは何か持っておられると思うんですけれども、実は歴史を振り返ってみると、イノベーションの姿って極めて多様です。さまざまなパターンがあるのと、それからさまざまなタイムスパンでイノベーションというのは起こっているわけです。
 ですから、何かそういうことをやはりある程度継続的に観察し、それを知識の、あるいはデータとして積み重ねる努力が一方でなされていないと、常に上流側から演繹して、下流側で何か起こるだろうという、推測で行っているような気配がしているんです。だから少しひ弱な感じがするんです、何か。本当にこれが動くんだろうかと。
 ことしの春にOECDのワークショップであった議論は次の産業革命という、そういう話でした。各国の方、そういう話をしたんですが、私もそのところでちょっと話はさせていただいたんですけれども、やはりその次の産業革命というのがどんな姿になっているのかというのは、おぼろげでもそういう構想なりイメージなり、あるいはそれを支えるような、ある種のデータというのを持っている。それをやはりこの上流側とつなげて、コネクションするというような政策というビジョンを持っていたほうが、もっと骨太というか、強い力になる政策になれるのではないかな、というのが、すみません、感想を言ってもらったんですが。
○有本 私が勝手なことを言いますけれども、笠木先生は、OECDの科学技術政策委員会で、日本政府代表で非常に苦労されていて、今の話はそのまま二重になるんですけれども、こういうところでちゃんとサポートしてくれと言っている、自分一人で戦っている。ほかの国はちゃんとそういう  があると。ちょっと極端に解釈しましたけれども、そういうように聞こえましたけれども。
 さてそれではここから少しオープンで話を、またクエスチョン、議論したいと思いますので、本当、短時間で申しわけない、あと10分しかありませんけれども。
 それから一つだけ。小山さんがさっき非常に感動的なことをおっしゃって、それからアカイケさんは実はさっきのシロヤマさんがおっしゃった右と左の両輪を両方ともやった。この間まで一橋で左側にいたんです、科学にいたわけです。それがこっち側の政治行政のほうに戻ってきたというか、彼は両方でやってほしいんだけれども、こういう人たちがかなりこの間、小山先生がおっしゃったように、小山さんの次の課長にもしっかりあれぐらいのことは最初から言えと、今度は。ということをぜひお願いしたいと思います。それによってもうちょっと両方が共進化するというスパイラルであったかなという気がします。
 さて、それでは、どうぞ御自由に御意見なりどんどんお願いします。それではヒジリさんからどうぞ。
○ヒジリ ありがとうございます。前半のほうで有村さんからお尋ねが私にあったことについて、後々少し参考になるかなと思ったのでちょっと。
 まず政研大のほうでおつくりいただいたこのレジュメではなくて、差しかえがあったところの5ページです。課題の発見・発掘の手法・取り組みの中の国内の事例というところに書いています。
 私、答えたのは、5ページの下のほうの(5)の答えなんですけれども、よく考えたら、聞かれたのは多分(4)のほうのことではないかなというふうに思って、これを読んでくださいということなんですけれども、もう一つ実は、すごく感じていますのは、私たちのファンディングプログラムの政府の予算で賄われている予算こそくぐり抜けなければいけないわけです。
 それで、これは   関係上あるものの、RISTEXの新しい領域がなかなか立たなかった年もあったりしているんですけれども、やはり予算プロセス、我々のまず第一義的には文科省ですね。それからその次は文科省の財政当局を  する、財政当局を  する上では、きょう帰られましたけれども、ナカタさんのところでやっているアクションプランなりなんなり、一定の位置づけをいただくということが、昔だったら余り評判がよくなかった部分もありますけれども、    ですね。こういうところ一定のことをやっていただくプロセスがあるということで、こういうことに加えてそういう政府の中での予算というものを通じながら、ある種の政策形成議論を経て、この政策課題、あるいはもっと細かく言うとファンディングプログラムのファンディング対象、そういったものが決まってくるということを思いましたので、前半ちゃんとお答えしていなかった分としてお答えしておきたいと思います。
○有本 ありがとうございました。ではいかがでしょうか。どなたか。ではどうぞ、奥和田さん。
○奥和田 私ばかりで申しわけない。
 己斐さんの例で、説明で、スライド6、ちょっと出してください。この全体像のイメージを少し変える必要が、私はあると思うんです。これ、一番最初のプレゼンテーションの6ページのところを開いていただけますか。これの、今やっているのは確かにこうなんです。次です。今やっている感じはこういう感じなんです。これでは多分、物すごくたくさんの関連の職員だとか物すごくたくさんの予算とかがないと、こういうことがうまくまとまりません。
 それで、先ほど御要望があったように政策実装の展開の分にフラッグシップとなるような何かしらが必要なんです。例えばさっきの御要望にあったように、基本計画をレビューするプロジェクトが必要ですとかというものを、あそこでいうと右から2番目のフェーズに乗っけなくてはいけない。
 それに対して、政策のための研究をしてくださいということ。左側に投げる。それで、関連の分野から出てくるのは、関連諸分野の例えばAの研究とか、そういうのが当然出てこないとだめだ、その人たちの知識だけが必要なんです。既存の研究が必要なのではなくて、その人たちの知識が必要で、その人たちが統合してそれにアプライして、新たに知識が生まれるのは政策の科学だと思うんです。
 つまり、あるものを模していくのではないんです。新たに、だから「のための科学」に必要とされるのは、サイエンスなんです。これ   サイエンスなんかも同じ構造なんですけれども、そういうふうにしないとだめなので、左から勝手に持ってきてくださいというので口あけて待っているという形でやっている限りは、いつまでたってもこのぎざぎざ、物すごく大きくないとだめなんです。だから必要だけれども、必要なものは、ということに答えたら、右から2番目のフェーズにフラッグシップみたいになるような。
○有本 そうですね。いろいろな  ですね。これ、確かに右ばかり   だけれども、黒田先生、何かコメント、それから後ほどナカタさんからあるので、期待も込めて何か一言。では黒田さんから。
○黒田 いろいろたくさんコメントをいただいて、非常にありがたいことなんですけれども、最後のオカダさんのほうの後半の部分は大賛成なんです。だけど前半の部分というのは、やはり政策の科学を実現するために、科学技術イノベーション政策の科学を実現するために、政策のニーズを聞くことは非常に大事です。これはもう常に連携して技術を体得しなければいけないんですが、それをただ文科省の注文みたいに、科学グループにぱっと来て、その注文でなく委託研究をやるだけでおしまいということにならないようにしないと科学は進歩しない。やはり科学は技術に応えるということを含めて、全体をつくっていくということをやはり考えないと、そこは研究者側の責任になると思います。それを心しなければいけない。
 それから、もう一つだけ。実装という点に関しては、シロヤマ先生のおっしゃったとおりだと思うんです。そういう意味での実装というものをこの分野においてどう考えるか。政策の科学、科学技術イノベーション政策の科学の実装を本気で考えたら、これ、政策どおりにやってもらわなければしようがない。研究者そのものはハードをつくるというときに、どこまで実装できるか。実装、実験はできるかもしれないけれども、実装することはなかなか難しいかもしれない。しかし、実装することを視野に入れた研究をしなければいけないということは確かだ。そこのつながりをどう考えるかだと僕は思っているんです。
○有本 ありがとうございました。
 私は私で持論を持っていて社会技術の、社会技術センターの社会技術って問題ではないかと。社会技術だと、メーンにしたいという人と、あれはプロセスでいいというのと同じような、それも時間軸からいって、科学をやりたい、ドメインをつくりたいということばかり言っていたら、必ず科学論文を書いて、このリソースのほとんどを   されるというところがあるんです。これ非常にバランスの問題ではないか。ナガスさん、何かありませんか、せっかくですから。
○ナガス 今、有本さんのほうから御指摘ありましたように時間軸というか、僕らが今この瞬間求めているものというのは、4期のレビューだったり5期に何を反映したいとかということだったりするわけで、シロヤマ先生のほうから御指摘ありましたけれども、短期的に何ができるか、周期的に例えば5期の基本計画は具体的にどこまで、何ができることになっているのか、さらにこの取り組みが進んだところで理想型としては、どこまでいくことになるのかというところを示していただくというか、皆様方の考えを示していただくとともに、僕らのほうももっと発信していかなければいけないのかな、そういうふうなことを感じました。
○有本 ありがとうございました。
 発信ではなくて注文もしてほしいです。イトウさんどうぞ。
○イトウ ありがとうございます。
 本プロジェクトに最初からかかわっていた  として大変重層かついろいろな研究も進んできたということで、大変うれしく思っています。
 ただ、途中からNISTEPから政策をつくるほうの立場になったので、その感想を申し上げたいと思います。
 端的に言いますと、行政官のかなり早い段階で協議をしませんと、これが実際に使われるものになりにくいということだと思います。行政官も当然ながら、いろいろなことを政策を考え、日々いろいろ試行錯誤し評価し、いろいろやっておりました。
 よって、いわゆる研究者的にフルスペックの大きなものが非常にできましたということで、最後のところで持ってこられても、なかなかそれを、では、社会実装にということを常にしにくいというのでしょうか、課題が   出てくると、参考程度にということが極めて多くて、もっと端的に、例えば非常にある種の指標が足りない。そのときの新しい指標をつくって、それをもとにこういった世の中を分析するといったような、非常に断片的なものが結構   。そういう断片的なものが政策の中に入っていってそれが総合的に大きな政策につながっていくというような場面が一番多くて、あるいは将来の気づきという面で、いろいろ分析していた結果が、行政官が気がついていないことの幾つかを示唆するような、そういったような研究成果が出てくるとか、そういうように、行政官が行っている政策決定の非常に長いプロセスの中で幾つかの場面、ここの中で重厚に働いてくるような、そういったような一つの研究の方向というのもあったほうが、当然、フルステップでやる場合には、これはかなり事前に協議して、方向を狭めた上でやりませんとなかなかできませんので、こういった二つの方向性を試行されると、もっと手近に行政官も入っていきやすい、扱いやすいものになるのではないかというふうに感じます。
○有本 シロヤマ先生、何かありませんか。感想を含めて、いろいろなことを言われたので、どぶ板ニーズ予防法、それも含めての話、一言。すみません、   けれども。
○シロヤマ ある意味ではここで右から左へというので、ここは何か   ニーズの話があるんだけれども、そこは必ずしも一方向の話ではないだろうというのは先ほどの黒田先生の話で、ある種の今の   ある種プラットフォームを多分共有するような場は大事だというのはかなり共有されているのかな。
 ただ、こういう話って何か誰かが前にもやっていた。何か同じところに常に戻っているような、変化はないなという気がするんですが、多分そこを具体的にどうやっていくかといったら多分地道な作業が一番大きな問題かなという気がします。
 それからもう一つは黒田先生が言われたように実装の定義のとり方、本当に現場で   当事者の話になってしまうので、先ほどヒグチ先生の話では多分そこからディプロイメントという、持っていける   いいだろうということで、もっと緩めればもうちょっとそういうトレーニングをするということで、研究者がいろいろなパターンがあり得る、多分そこに幾つかのバリエーションが見えて、多分そこは一つに必ずしも決める必要はないのかなという気がします、というのが2つ目です。
 あとは、最後に笠木先生がおっしゃっられたこの、こういうデータはやはり一番右のところ、大学イレブンというのはちゃんと、それ自身を監督するというか、分析するということは極めて大事で、本当はそれはやはりイノベーション研究だと、政策形成過程の研究者として、本来はそれはその報告用としてきちっとやっておくべきベースラインだと思うんです。
 だからそれがどうなっていって、そこにこういう話が加わってくるとどういうある種の  として何が変わり得るかとか、あるいはそういう変化を前提にすると、どういうふうに  ピクチャーとして21世紀の産業革命みたいに変わり得るかとか、そういう話というのは多分大事で、むしろ自分で一緒になってプラットフォームをつくって回してみるというのはいい経験ではあるんだけれども、それともある種、感覚的にきちんとやっておくべきことというのも、やはり他方ではあるのかな、構成的に持っていくということも必要かなという気がします。
○有本 どうぞ。エンドレスになりますので、あと5分で終わります、申しわけありませんが。
○-- OECDの仕事をしているんですけれども、今のニーズのほうから、右のほうから、考えると、私がやっているグローバル・サイエンス・フォーラムというのがあるんですが、そこでは世界の行政官が集まって、どういうニーズがあるか、課題があるかということの解決策を考えるというので、幾つかメーンテーマを出して調査研究しています。
 一つとして例えば各国で科学的助言の仕方がどうなっていますかという話がございまして、これ、日本も関心がもちろんあって有本さんにやっていただいているのは、イタリアで  になったこととドッキングしまして、そういうことについて、どういうやり方があるのかなということとか、例えば大規模な研究施設をつくるとき、どういう課題があって、そういう担当になった人がどんな課題に直面して、どういうふうに解決していったらいいか、皆さんの先ほどのGRIPSのリポート   随分考えておりますし、ミスコンダクトの話なんかも今世界のガイドラインができて、若干、それの一番初めのものをつくったり、そういうようなニーズを今日本の場合は第4期、第5期という中での国内の人数をあれしていると思うんですが、世界的にこういう分野でどういうことがニーズとして認識されているのかというのをやはり参考になる議論をいろいろされていますので、そういうのを右側のところに入れると左側のほうにすごい影響があるわけだなと感じました。
○有本 ありがとうございました。イマサカさんはOECDのグローバル・サイエンス・フォーラム、あれ、明らかに今おっしゃったとおりで、右と左をつなぐ一つの役目を果たしていると思うんですけれども、例えばITCCもそうだと思うんです。さまざまなものが中間組織として、今は、モデルはいろいろなものがあると思うんだけれども、バリエーションが。ああいうものももうちょっと共有しないと政治家、行政官、それから科学者のほう、そういうのが大事だと。さっき三石さんの話もちょっとこれはいろいろなことがあるわけです。
 さて、それでは、これで終わる前に我がホープの一人であります、名前を忘れた、ハルナ    キーワードは覚えていた。  頑張りますのでよろしくお願いいたします。
○-- すみません、4月に来たばかりなのでまだ。
 きょうの議論、いろいろ聞かせていただきまして、とりあえずまだ書きかけでございますが、ざっとまとめをつくらせていただきました。ちょっとまだ抜けもあるかと思いますので、また改めてしっかりとしたものをつくるつもりですが、幾つかの項目にまとめさせていただきます。
 まず一つ目はイノベーション政策の科学と科学をつなぐ重要性、要は右と左をつなぐという、ここがすごく重要だという議論があったかと思います。それからその中でオプションをつくる際のシナリオ、このつくり方が非常に重要だという御指摘があったかと思います。それとともに、そのシナリオをつくるその実装を視野に入れた研究ということで、一つは政策側が使いたいときにすぐ近くにあるというような状態にあること、そのために行政側の早期の議論の必要性というような御指摘があったかと思います。
 またそのエビデンスというところで、さまざまなデータを積み上げていくものの必要性、それからそれをアピールしていく、そういう地道な活動も必要ということで、我々御提示させていただいて、これをもっと改良していく必要性というようなことをお伺いしておるところでございます。
 その中で御指摘もありました、やはり少し引いて見る、構成型科学者という、そういうふうなものについての重要性についても御指摘があったのかなというふうに思っております。まだまだ足りない部分があるかと思いますが、とりあえずのまとめということで、こういうふうになって、今、書かせていただいております。
○有本 大事な、議論したと違いますけれども、ちょっと改定してまた先生に送りますけれども、やはり最初のところ、プログラムの最初のところから埋め込んでこういう仕組みを、今、物すごくきょう、皆さん言われたんだと思うので、それは大事なことだと思うので、ちょっと明示的に言ってもらってもいいのではないかと思います。
 さて、それではもうエンドレスになりますので、これで。
○司会 最後に榊原理事様より皆さんに閉会の御挨拶をお願いします。
○榊原 どうも皆さん長時間どうもありがとうございました。
 本日は、冒頭の小山課長サプライズ発言に始まり、非常に活発な議論をしていただいてありがとうございます。心より御礼を申し上げたいと思います。
 きょう、伺っておりまして、もう余り挨拶、しゃべるといかんと思うので簡単にしておきますけれども、政策研の立場できょう聞いていますと、政策研究というのは何となく科学  何かうろうろしているような感じのところがあって、そういう存在ではあるのですが、こういうところにおりますと、見ていて思うことは、結局、単なる社会とか経済、あるいは社会の構造、あるいは経済の構造というのが随分変わってきているということなんです。
 それは本当に私どもがやっている統計でありますとか、いろいろなデータでありますとか、エビデンスと言っておりますけれども、そういうものが本当にどれだけきちんと正確にあらわしているのだろうかということを常にお互いに思ってしまう側面が高い。
 これは例えると、人間、子供のころは、大体身長と体重だけはかっていて済むわけです。だんだん大人になって成長してくると、毎年人間ドックに行っていっぱい検査データをもらう。こういう関係と同じなのではないか。しようがないことなんだなと思いながらやっているわけです。それに見ていますと、ですから、そういう意味でも政策のための科学についても、まだまだ社会や経済が変化していくと思いますので、することはもっといっぱいあるのではないか、というふうに思いました。というのが1点目と、もう一つは、ちょっと、うちのやや内部事情に近い話も出ていまして、データでちょっとお聞き苦しいような話もあったかもしれませんけれども、それはそういうバックグラウンドがあって、そういうこともやらざるを得ないということと、もう一つは、継続性みたいなのはやはりどうしても重要で、政策研の中でも新しいこともやろうとすると、やはり何かをやめるとか、そういうことも出てきますし、それから新しいことをやるにしても、やはり何か持続的につながるような仕組みをいないと、政策研もそんなにお金があるわけではありませんので、その範囲で持続的にモニターしていく仕組みというのはどういうものなんだろうかというのは、考えざるを得ない側面が多々あります。
 それはそういう、恐らく政策のための科学、ある一定の期間の間に一生懸命、リソースを導入することによってできるものもあると思いますけれども、なかなかそれだけだと1度だけ取りかかればいいというものは、それでもいいかもしれませんけれども、やはり継続的に政策もなくなっていくことは多分ないと思いますので、常に共有していくような仕組みというのがやはり不可欠なのではないかなと思っている思いの中でおります。
 それと3つ目は、ちょっとつぶやくと思ってお聞きいただければと思うんですけれども、最近、特にCSTIにありましたようにイノベーションという言葉が出るようになってきまして、そうしますと、議論を聞いてどうなのかなと思うのは、イノベーションの担い手は人材だという話が非常に多くの方がおっしゃって、そのとおりなんですけれども、なかなか人材のところへ踏み込んだ研究だとか調査、これは皆さんのことを言っているわけではなくて政策研の中もそうでありまして、こういうものではこれからもっと開拓していく余地があるはずであって、なかなか成果だとか経済、こっちのほうは比較的考えやすいんですけれども、人材みたいな事項を加えていくと、どういう科学があり得るんだろうかなというようなことを思いながら、きょう聞いておりました。
 どうも本日は長時間ありがとうございました。またよろしくお願いいたします。(拍手)
○司会 ありがとうございました。
 以上をもちまして、第7回「科学技術イノベーション政策の科学」構造化研究会を終了いたします。
 第8回は年内を予定しておりますので、また御協力いただければと思います。よろしくお願いいたします。

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