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成果・資料

【CRDS】第3回「科学技術イノベーション政策の科学」構造化研究会議事録

第3回「科学技術イノベーション政策の科学」構造化研究会
  
平成24年8月20日(月)
 
○己斐 本日は、非常にお忙しい中、そしてお暑い中、お集まりいただきましてありがとうございます。「科学技術イノベーション政策のための科学」構造化研究会、第3回会合を始めさせていただきます。
 私は、本日司会を務めさせていただきます、研究開発戦略センターのフェロー、己斐と申します。本日はどうぞよろしくお願いします。
 本日は第3回構造化研究会なんですけれども、OECDから原山優子先生をお招きしまして、講演会という形式で行いたいと思います。
 それで、原山先生の講演と、その後のフリーディスカッションの時間の後に、今月、米国のほうで開催されました科学技術政策のゴードン研究会議についても、簡単にCRDSのほうから紹介する時間もとっておりますので、ご承知ください。
 それでは、早速ですが、研究開発戦略センター上席フェローの黒田昌裕より開会のごあいさつを差し上げます。
○黒田 皆さん、こんにちは。お暑いのに、ようこそお集まりいただきました。
 本日は、私ども、そしてGRIPSと、それからNISTEP、三者が合同でSciSIPを動かすに当たりまして、いろんなプログラムを少し構造的に考えなきゃいけないという研究会をずっとやってきておりまして、その一環として、原山先生にお願いをして、OECDでのいろんなご経験をお伺いしたいということでございます。
 もうご案内のように、第4次の基本計画、科学技術に関する基本計画で科学・技術、そしてイノベーションというのは、社会の問題解決に向けるということに舵が大きく切られました。そういった社会の問題解決に資するような科学技術イノベーション政策をどうやってやっていくかというのは、その科学を充実させる一番大きな課題だと我々は考えておりまして、昨年から文科省も非常に力を入れていただきまして、きょうも土屋局長がお見えですけれども、文科省もかなり気合を入れて、これを日本に根づかせようということでやっていただいているというふうに理解をしておりまして、ただ、解決しなきゃいけない問題、たくさんあります。きょうのいろんな活発なご議論をいただいて、本当に科学技術イノベーション政策が科学的になり得るのかどうか、そして、科学的にすることによって何が得られるのかということを、きちっと皆さんとともに考えさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
 原山先生も、きょうはよろしくお願いします。
○己斐 ありがとうございました。
 それでは、次に早速、講演のほうに移らせていただきたいんですけれども、講演者の原山先生のご紹介を、CRDSの有本副センター長。
○有本 じゃ、紹介というよりも、もうこれでわかりますので。NISTEPがこの会場を借りて、初めてこんなにたくさん入ったか、それから、非常に極めて多様な人がおいでになっている。原山先生の個人的な人気というのを改めて確信した次第でありますから、早く日本に帰ってきていただきたいと思っておりますけれども、いずれにしましても、きょうは、原山先生がもともとインタラクティブに議論したいということが非常に強かったんですけれども、ちょっと人数が多いもので、こういうふうにせざるを得なかったんですけれども、プレゼンの後、できるだけ議論をしたいというふうに思ってございますので、よろしくお願いしたいと。
 それじゃ、原山先生から、お願いします。
○原山 ご紹介ありがとうございます。
 暑い中、お集まりいただき、ありがとうございます。
 私、2年間ほどOECDの科学技術産業局というところの次長をしておりまして、ちょうど2年たったんですが、そのとき、いろいろと自分で体験しながら考えることもありましたし、ああ、こういうところに知恵を使っているので、こういうふうになるんだということがあります。きょうのお話というのは、OECDアプローチと書きましたが、システマティックに科学技術イノベーション政策の科学というのがタイトルとしてOECDで行っているわけではないんですが、それに近い試みというのは多分にございます。その辺のタイトルもありながら、その裏にある仕掛けづくりというところに重点を置いて、こういう仕掛けをしているので、これがこのところにうまくいくし、これがうまくいかないというところを、皆さんとお話を共有させていただきたいと思います。ですので、時間的に50分、私ほうからプレゼンですけれども、途中でも何か疑問点がございましたら、いつでもストップしてご質問ください。また、コメントもございましたら、臨機応変に対応しますので、その辺はインタラクティブにやっていきたいと思います。
 大体の内容なんですが、大体3つのパートで、最後は完全にディスカッションです。
 初めに、OECDについて予備知識をお持ちの方ってどのぐらいありますか。
 名前については多分予備知識も。中には委員の方もいらっしゃるので、また、内部にいた方もいらっしゃるので、その辺の方は横に置いたとして、実際にどのようにOECDの会議を動かしていて、何をする場であるかというのを、その辺をちょっとさわりのところからいきます。その背景がわかったところで、じゃ、その中に落とし込んだところで、科学技術政策の科学というところにいきます。
 その一番最初の根源にあるのが、イノベーション・ストラテジーというのが2010年に見直ししたんですけれども、それが出発点となっていて、もろもろの試みがあるので、その辺のところをちょっと、余り深く時間がないんですけれども、かいつまんでお話しします。その中でも特に委員会ベースで動かしております。その委員会の中の大きなCSTP―日本のCSTPと違う、名前は同じなんですけれども―科学技術政策委員会というのがございます。そこがこの★タクインの分野をカバーしているところで、そこでの大きな方向性というもの、プロジェクトの方向性を少しお話しした上でもって、中身のほうにいきます。
 メーンのところはIPP、イノベーション・ポリシー・プラットフォームという、IPPとこれから言いますけれども、この一つのプロジェクトなんですが、これは、これまでのOECDの試みとは違うアプローチで、まさにアントレプレナーシップを発揮したプロジェクトです。この辺のどこがおもしろいところかということを皆さんと議論したいと思いますし、それが、アントレプレナーなところであるがゆえに難しい点も多分にございます。そのどの辺のところを苦労しているのか、どのように政策決定をする方たちを引きずり込んできて一緒に物を動かすようにしていくかと、その辺の仕掛けづくりのところを話したいと思います。
 最後が、まさにこれを議論するだけでは意味がないことなので、実際に実践できるものに持っていくためにどうしたらいいかということを、皆さんと一緒に議論したいと思います。この辺が、最終的に、まさにこれはエクスペリメンテーションであって、これは皆さんも、日本でもそうですし、アメリカでもそうですし、ヨーロッパでもそうです。この分野というのは今スタートしたところにあって、いろんな国でいろんな試みをしています。これを、自分の中で閉じてやるとかなり大変なので、情報を共有しながら、お互いに学んでいくということを視野に置いて、日本の政策も進んでいただきたいなというところです。
 まず、ここがちょっとさわりのところなんですが、OECDに関してです。
 どうやって回しているかというところなんですけれども、OECDの強みというのは、メンバー国がありますが、メンバー国の中でもって、何か自分の国で施策を打つときに、じゃ、ほかではどうなっているのかというのが一つ。何か新しいことをするときには、ほかでは何やっているのかというのが一番にありますけれども、そのベンチマーキングというのが一番の強みとなっている。それだけの情報というものを我々が収集して、何かまた、最近はメンバー国以外のところもオブザーバーとして入ってきていますし、いろんな問い合わせがあります。そのときに、その情報を流す。
 それから、科学技術政策の科学というふうに、科学というのが始まりますけれども、果たして政策論を科学できるかというと、限界を知った上でしなくちゃいけないわけですね。そこでもって一つのアプローチの仕方というのが、ベストプラクティスではなくて、グッドプラクティスというところが多分押さえどころだと思うんですね。ある種の環境下において、これはうまくいった、それを集めてくると。それを見ながら、じゃ、我が国の環境においてはどうなるかということを議論する。そのためのグッドプラクティスというのが一つの手法となっています。
 それから、このピアレビューというのが、もちろん科学の分野でもってピアレビューというのは論文を書くときにやっていますけれども、政策論においてもピアレビューをしています。例えば、後ほど少しお話ししますが、イノベーション・ポリシーのカントリーレビューというのがございます。そのカントリーレビュー、例えば今、スウェーデンが手を挙げて、うちのスタッフがスウェーデンのイノベーション政策のレビューをしました。そのレポートができ上がった段階で、他国、スウェーデン以外の第三国がそのレビューしたものを読んで調べて、それに対するコメントを述べると。それを会議の場でもって発表して、それをディスカッションして、政策に対して、これは今、方向性としては間違っていない、あるいは、この辺は強化するべきだというのを議論していく。それを委員会でやった上でもって最終的なレポートを出す。そのピアレビューというのが、手法としての大きな手法です。
 最後なんですが、国連と違うのは、すべてコンセンシャスベースでもって決めていくということ。ですので、バジェット的なところで幾つかボーティングをする場面もありますが、基本的な委員会では、参加メンバー、それからオブザーバーも含めてでも、コンセンシャスベースでもって物を決める。ですので、そのメンバーが多くなってくると必然的にコンセンシャスがとりづらくなるので、これからの課題となるのが、コンセンシャスでどこまでいけるかということになります。しかしながら、みんながその意見を協力してつくり上げることによって、共同作業ということが非常に重要視されているところが一つ。
 2番目のところは、イジチさんもいらっしゃいますけれども、いわゆる科学技術政策に関してのもととなるようなデータ、これはOECDというのが基準となるようなものを決めていて、まさにフラスカティ・マニュアルというのが発祥源であって、それもリニューアル、これからしていかなくちゃいけない。そういうスタティシティカルデータ、それから、新しくインディケーターもどんどんつくっていますし、その計測に関しても、これまでの通常使われているものプラスに、新たなマトリックスもつくっているというのが我々です。
 それから、正式な会議以外にワークショップとかシンポジウムもしながら、いろんな場をひいている。
 組織的には、そのカウンシルというのが一番上のレベルの会議なんですが、ここに上げる手前のところでのコミッティ、委員会レベルでもって政策を決めて、そこである種の最後のPolicy instrunments。ほぼ一番多いのがリコメンデーションですが、これを決めたものをカウンシルに上げて、オーソライズしたものが出てくる。
 委員会があって、その下のワーキングパーティーがあって、このグローバル・フォーラムというのが最近のものなんですが、これは何かというと、認識というのが、メンバー国だけで世の中は動いていくかというと、そうではないという事実です。OECDの中でいろんなリコメンデーションをつくる場においても、メンバー国以外の国の意見を取り込まなくてはいけないということで、なるべく今、ほかの国を議論の中に持っていこうとしております。それは、委員会というのはルールが決まって、なかなか入れづらいということで、グローバル・フォーラムという場をつくりました。これは何かというと、だれでもウェルカムです。そこで議論した上でもって方向性を決めて、これを今度はワーキングパーティーとかコミッティのほうに持っていって、委員会レベルの物事を決める。これが一番の大きな動かし方です。
 これの中に、やはりその一番、私はまさに事務局側なんですが、事務局側のカスタマーというのがポリシーメーカーであって、参加国のいろんな政策決定する側の方たちがお客さんで、その人たちに対し、いかなるサービスを提供するかというのが課題です。
 その辺からも既におわかりになると思うんですが、メンバー国の政策決定者はどういうことを望んでいるかというと、まさにこの今の議論なんですが、政策を決定するときに何をもとに決定するか。そのときにはいろんなデータも必要ですし、データがあるだけでもって何かインディケートができるかというと、まずは議論しなくちゃいけない。政策的な議論をする場というものを提供するし、単純に提供するだけで事は終わらないわけですね。皆様よくご存じのように、事務局側はどこまで口を出すかという話なんですが、ある程度道筋というものは事務局側がつくらないと議論が成り立たないわけです。その中で、後ろに身を置きながら、メンバー国の意見を聞きながら、一緒につくっていくというのがここでのやり方になる。
 まさにそのやり方というのはきょうのテーマなんですが、科学技術政策の科学をする側がいて、あちら側に政策当事者がいて、こっちがつくったものをこっちが使うという、そのリニアなやりとりでいくと多分物が動かない。それを私はここ2年間体験したので、この話をちょっと盛り込みながらと思っております。
 前置きが長くなっております。ここからが中身のほうです。
 MCMというのが、閣僚会議が1年に1回、5月にございます。2010年の閣僚会議で決定されたのがイノベーション戦略というレポートです。これはまさに、各国イノベーション政策というのがこの辺の2010年ちょっと前ぐらいからあちらこちらで出てきていて、その中で、方向性はどうあるべきかという議論がありました。その中で、このイノベーション戦略というのは包括的にイノベーションをとらえて、その中でどのような政策が可能かという、ある種のメニューを書いたのがこれです。
 ですので、これを読まれて、じゃ、我が国では何するかというと、いろんなことがあるんだけれども、それを、どれを選ぶかというところまでは書き込んでありません。それをもとにして、それが一番の上のレベルのレポートで、その後に、細部にわたって、イノベーション・ストラテジー・ベビーと書いたんですが、いろいろなパブリケーションがございます。そのインディケーターに関して深掘りしたもの、それから、ある種の分野に絞って深掘りしたものなどなどというのが複数のパブリケーションなので、この辺は、このサイトに行っていただくと、いろんなのがあります。それもごらんください。その中で多分、今回この議論に関連するのがメジャーメントの話です。
 それともう一つは、イノベーション・ハンドブックというのが当初の構想でした。まさに政策をつくる側としては、これを読んで、じゃどうしたらいいんだということが来ますね。それで質問が来たわけ、どう使ったらいいかと。使い勝手がいいように、なるべくコンパクトで、こういうケースのときにはこれというのが欲しいというのが、要求があった。でも、その要求にこたえるために、じゃ一応ハンドブックをつくろうというのが初めの構想でした。
 でも、しかしながら、それって簡単にできるかというと、多分できないですね。その議論をしていく中で煮詰まってきたのが、そのハンドブックからIPPという、イノベーション・ポリシー・プラットフォームという構想です。この辺のところは、もうちょっと深く後でお話しします。
 その後に、イノベーション戦略した、つくった後になんですが、前後もありますけれども、各国首都に行って、イノベーション・ストラテジー・ラウンドテーブルというのをやりました。これは何をしたかというと、OECDのオーソライズされたペーパーなんですが、それを各国に行ってフィードバックしてくる。一番最初はこちらからの照会なんですが、それに対して我が国では、これは当てはまる、当てはまらない、この辺はこうやるべきだという、いろんな戦略の対するフィードバックをこれで、これも相変わらず続けております。ですので、2010年なので、もう2年たっていますが、このラウンドテーブルというのはパーマネントにこうやってつくっているところです。
 それからもう一つは、ハイレベルミーティング。これは、いわゆる各国に行って、関連省庁のある種の担当レベルの、ハイレベルの方たちに集まっていただいて、うちの事務局側と議論させてもらっています。この辺も、もちろんこちらの照会もありますけれども、我々としては相手国の情報をこちらに得る。また、それを得ることによって、これをブラッシュアップしていくというプロセスです。ですので、ある種のエンドレスな作業というものを行うということです。
 それから、一応何か戦略をつくったときにインパクトが必要なんですけれども、どうやってはかるかというのがまた難しいところなんですが、実質、各国で、複数の国なんですが、我が国でイノベーション戦略をつくったときに、OECDの基本的な考え方を基本にしたということから、レポートしていただいたのがございます。その幾つかというのがここに書いてあると。この辺は、直接メンバーが行ってくださるのはいいんですけれども、一つの課題というのは、我々がやることに対していかに計測するかというのが自分たちの課題でもやる。ですので、その辺も強化していかなくちゃいけないという認識がある。
 それから、ここなんですが、イノベーション政策のレビューというのがございます。これは何かというと、これまでは委員会レベルの話なんですが、ここでは何かというと、ある国が、我が国の政策に対して外部評価をしてください、 それをうちに委託してくる。それ、今のところ、いろんな国が。中国、韓国、ロシアなどもありますが、そこの中で今、今年度多分終えるのがスウェーデン、ベトナムあたりです。
 これはどういうプロセスかというと、これもさっきのダイアログ。一番最初に手を挙げた国が、みずからセルフ、自分でもってアセスメントをするわけ。そのアセスメントしたものをベースに、うちの事務局がそれを受け取って、その受け取ったものからインタビューの相手を抽出して、そこに行って現地調査を1週間ぐらいします。その1週間ぐらいの調査の後にレポートを書いて、それを今度また持っていってやりとりして、そのレビューができ上がると、さっき申し上げましたようにピアレビューにかかると、こういうプロセス。
 これも一つの政策のいわゆる科学化の一つであって、ですので、ここまできておわかりになるように、いろんな試みをやっているわけなんです。これが総括的に見ると、何らかの形で、我々のやっていることが科学技術政策をつくり上げる上での何らかのインプットになっているというのが現状です。
 ということなんですが、そこですべて満足がいっているかというと、必ずしもそうでないというのが認識です。どういう課題があるかということがここに書かれています。ご時勢、拠出金というがだんだん先細りしていることは現実であって、その中で、いかに有効活用するか。そのリソースが限られているときに、既に持っているものをうまく活用していく。もちろん新たなデータもつくっていくんですが、完全に活用し切れていないというのが認識です。それが、内部での活用もありますし、外部に対しての発信のもと、この辺が問題意識です。
 それからもう一つ肝心なのが、世界じゅうで見ていっている国際機関というのがありますけれども、その中での優位性をいかに保つか。何か特にうちの場合には、★タウチ政策に関するアドバイス機能というのが、どのように高めていくかというのが非常に大きなチャレンジ。
 それからもう一つ、これはまだ委員会ベースなんですけれども、各国固有の問題があったときに、それに対して対応できるか、個別の解というものをいかに有効的にタイムリーに提供することができるかということが課題です。
 今、うちの事務総長も言っているんですが、メンバー国に平均的な答え、これまでやってきたことなんですが、それと同時に、テーラーメードのポリシー・アドバイスというのが必要になると。彼が言っているのは、メキシコ人なので非常に熱いんですが、シンクタンクではなくドゥタンクになれと。ドゥというのがやるほうですね、Doの。これまではシンクタンクでやって、受け身、自分たちの持っている分析をして発表していると。それだけで世の中は満足してくれない。であれば、リクエストがあったときに、それはこたえられるようにしなくてはいけない。そのためにはインタラクティブでなくちゃいけないし、フルに持っている情報、データというものを活用しながら、こたえる力をつけなくちゃいけない。その体力が必要だというんですけれども、そう言われても、なかなか行動できませんよね。それで今もがいているというのが現状です。
 もう一つ、最後の点なんですね。これはOECDに特有な点で、メンバー国外のところの国を、情報を取り入れていく、また、そのメンバー国外のところにも情報を提供するということが要求されていて、こういった課題をどうするかというと、やはりこれまでのビジネスモデルは成り立たない。新たな仕事の仕方、新しいビジネスモデルで、その中の一つが場の提供なんですが、これまでのとは違う場の提供が必要になってくる。そららのもぞもぞっとしたのがあってきて、それがIPPにつながっているという背景です。
 ここからが具体的なアクションです。
 これまでで何かいろいろと質問があったでしょう、もう。どうぞ。
 さっき言ったハンドブックが一番最初のスターティングポイントなんですけれども、単純にノウハウ的に、この場合にはこうするという話でなはく、もっと包括的にとらえなくてはいけないと。その中で、イノベーション・ポリシー・プラットフォームという構想が出てきました。それが一つですね。
 それから、先ほど申し上げましたCSTPという委員会なんですけれども、もっと戦略的にプロジェクトをしなくてはいけない。その中で、その委員会でもってもんだのが、フォワード・ルッキング・ストラテジーというのを2010年に策定いたしました。そこでも、これを策定するに当たって、もちろんその素案というのは事務局がつくるんですが、それを委員会に投げて、前もって投げた上で各国からのフィードバックをいただく。その中で、既にキャピタル間のフィードバック、そのインプットが入っていて、それをまた事務局が消化しながら、すべてを取り入れるわけじゃないんですけれども、いわゆる一つのロジックが通ったものをつくり上げると。ですので、皆さんのオーナーシップというものが強く感じられるものをつくっていくというのがやり方です。
 ちょっと内部的な話なんですが、OECDは2年間の予算編成です。今やっているのが、13年度、14年度の予算を組んでいました。
 その中で肝心なのが何を埋め込むかということなんですが、その中で一番大きな柱が、CSTPの中では、まず、金融危機・経済危機があって、その中でOECDがどういうふうな答えを出せるか。一番責められているのが、これまではいろいろと経済政策に対する提言をしてきたんだけれども、それが効果をなしているかというと、そうではないという、その認識です。限界を知った上で、これまでどおりの提言をしていては多分解にならない。であれば、新たな解を持ってこなくちゃいけない。
 そもそも論から言うと、例えば科学技術に関しては、経済的・社会的効果というのがどのぐらいあるかというものを、もう一回見直さなくちゃいけないというのが大きな議題になってくる。その中で、まさにこの科学技術政策の科学に結びつくところなんですが、新たなツール、テクニック、またデータベースなどをつくらなくちゃいけないというのが一つの認識です。ですので、まさに同じ方向性です。それから、科学技術政策の政策そのもののインパクト、役割についても、もう一回見直そうじゃないかというのが2つの大きなテーマ。
 それから、2番目の大きなテーマなんですが、これはまた産学連携にも絡む話ですが、そのいろいろなアクターが、その中のインターアクションがあって、オープンイノベーションの話もつながっているんですが、その中でも特に課題となるのが、国内でも大変なんですが、国際レベルのインタラクションを行うときにガバナンスの話。いかなる益が出てきたときの分配をするかなどなどの問題があります。この辺のところも議題にしましょうということです。
 最後が、先ほど黒田先生がおっしゃったんですが、社会的・経済的、グローバルチャレンジ、ソシアルチャレンジに対する解をSTIに求めたときに、実際にどういうアクションをとったらいいか、また、政策的に何をしたらいいかというのが大きなテーマです。
 これが大きな3つの柱としたのが、さっきの、これからの13年、14年度の予算の中に組み込まれています。ですので、日本の政策、今スタートしていますけれども、日本の実際に行ったところのインプットというものをこちらにいただいて、ほかの国の事例、先ほども申し上げましたベンチマーキングもありますし、データに関してもあります。その辺のところをうまく活用していただければ、何もどこがいいとかというんじゃないんですが、どういうオプションがあって、どういうことをどこの国が試みをしているかということを、状況を踏まえた上でもって、日本の施策に反映していただければと思います。その辺をうまく使っていただきたいと思います。
 最後のところが、これはすべての基盤となるところの基盤整。もともとあるデータベース、それからスコアボード、アウトルック、この辺は毎年、2年間に1遍、こちらはパブリケーションしていて、去年スコアボードで、ことしがアウトルックです。これ、ちょっと宣伝なんですが、アウトルックの新しい今年度版というのがことしの秋に出ます。それの予備のプレのリリースを9月14日にやりますので、後ほどご紹介いたしますが、ごらんになっていただければと。その中の一つがIPPです。そして、先ほど言いましたカントリーレビュー。この辺が大ざっぱなところなんですが、方向性です。
 やっと中身にいけるんですけれども、具体的なコンテンツについては、ホームページのリンク張ってありますので、ごらんになっていただいて、感想をフィードバックしていただければ幸いです。ですので、私はこの中身については余り詳しく話しません。もし中身について非常に興味ある場合には、9月14日にこれの担当の課長も一緒に参りますので、そのときに具体的な質問をしていただくことも可能です。その辺の情報はまた共有させていただきます。
 この辺は、だから、何を基本的な考え方としているかということを話します。ニーズというのがどこにあるかなんですが、いろんな情報があっても、私が今必要としている情報を的確に抽出できるかというと、必ずしもそうじゃないわけなんですね。例えばNISTEPにしろ、GRIPSにしろ、いろんな情報があります。政策を、何か新たなものを立ち上げたいというときに、じゃ、これに関する情報をまとめろというと、だれか手作業するわけですよ。それにプロフェッショナルな人が必ずしもいる、新しいことをすればするほど、その専門家というのが中にいないわけです。というときに、どうしたらいいかということがまず一つ。なので、一番シンプルにアクセスできるデータベースをつくらなくちゃ。
 それから、マネジメントもそうなんですが、それから、これは単純にデータを探していくだけではなくて、インスパイアするものが欲しいと。ここで何か読んだので、あ、そうか、じゃ、私の国ではこういう施策をつくることができるんじゃないかという、そのすべてパッケージでできているものだけではなく、これを読むことによって、これを使うことによって、新たな考え方が生まれるというものにしたいということです。そのためには、どういう人たちをインスパイアするかというと、一番我々の直接のお客さんであるポリシーメーカーもそうなんですが、実際に現場で活動する方たち、それからもちろん研究者の方たち、それからもちろん産業界の方たち、それからファンデーション、シビルソサエティなどなど、IPPが想定しているユーザーというのは多岐にわたっています。
 かつ、事務局の一番したたかなところは、我々の仕事をスムーズにするために、自分たちが使うというのが大きなところです。何かというと、先ほど申し上げましたように、カスタマイズしたポリシー・アドバイスをするときには、自分たちでもまさに手作業しているんですね。古くからいる人で、だれが何しているかと知っている人がいるときはいいんですけれども、そういう人が定年でいなくなってしまうと完全に穴があいてしまうんです。若いスタッフは自分のプロジェクトのことはよく知っているけれども、隣の課のプロジェクトをほとんど知らない。じゃ、どうするかというと、ウエブベースの何か欲しいねということです。でも、このこれがあればすべて万能というわけではなく、仕事をするためを進めるためのツールであって、あくまでもツールであるという認識です。
 この次のところ、これがかなりコントラバーシャルなところなんですけれども、このプロジェクトを委員会に出したときに、これを言ったんですね。これは、学習するための非常にいいツールですというふうに説明したんですけれども、ポリシーメーカーとしては、我々はそんなの必要としないというふうにおっしゃったわけです。何かというと、自分たちはそれのプロであって、何もこんなものを使いながら自分たちの政策をつくるわけではないと、ノウハウは自分たちが持っているので必要ないという反応があったんですけれども、よくよく議論していくと、必ずしもそうではないんですね。何かというと、新しい分野に取り組むときには、ある分野ではプロフェッショナルな政策決定をできるかもしれないけれども、新しい分野に手を出すときには、必ずしもすべてがプロフェッショナルじゃない。であれば、ある種の一番最初の、ファーストの、いわゆるもみをするときにこれを使っていただくという構造です。
 ですので、これはもちろん我々自身も学ぶ、事務局としてもラーニングのツールとして使っていくということを考えております。これがみそで、すぐに使えるソリューションをここでもって手に入れるわけではなくて、こういう可能性があると。可能性を知った上でもって、じゃ、我が国ではこうすることができるんじゃないかというふうにインスパイアしていただくというのがこの趣旨です。
 この辺のところがあって、ウエブベースのリソースというものができてくると。
 これがなかなか、OECDの規模ってすごく小さいんですね。世銀というのは、お金持っているし、規模が大きいし、メンバー国はうちとは桁が違います。この発想というのは、うちがイニシアティブをとったんですが、非常にワールドバンクが、世銀が興味持ってくれて、当初から一緒に協議しています。だんだん現実化していくとシビアになっていくのはネゴシエーションで、どこのが、取り分がどっちで、どこが権限を持ってということです。
 今のところ、大きな役割分担というのは、OECDはコンセプトをつくる側であって、そのインタレクトをインプットすると。かつ、そのデータ、メンバー国は持っているけれども、ワールドバンクというのは、その他の国のデータを持っている。それは相互乗り入れしましょうという話もね。それから、この中をつくり込んでいるときには、協議しながらつくり込んでいくと。これがウエブベースということで、インフラ面でのかなり投資しなくちゃいけない。投資の際に、うちの場合はなかなか制約があって予算がとれない。なので差し当たり、世銀のほうが既にバジェットがとれているので、少し走り出させてから一緒にやっていこうということ。これが今のところです。
 今、興味持ってくれているのが欧州連合です。こうなると、米国があって、欧州連合があって、OECDということで、かなりの情報が集まる。かつ、そのいろんな政策の体験というものをここでのっけることができるという、その状況につくる。
 ですので、日本の場合も、国内の議論はもちろんなんですけれども、国内の議論プラスに、こういうところの場にのっかりながら、あるいはここの場から情報をとりながら、フィードバックしながら日本の政策とかもつくって、また、国内に、先ほど申し上げしたように、課題というのは、国境を越えている課題に取り組むときには国際協調が必要になってくると。そのときに政策協調というのが必要になってくる。そのときの情報源としてつくっておいていただきたいし、また、日本のインプットがあると、こちらものっけやすいということです。
 ここのアプローチなんですが、これまでのやり方とは全く違うアプローチでやりました。なので一応、イノベーティブ・アプローチです。前もって計画してできるものではないので、やりながら、走らせながらというところがあります。
 ちょっと通常の委員会のメンバーの方たちは非常に不安に思って、初め、これは本当にうまくいくのかとか、非常に懐疑的なところがありました。この辺、もうちょっと先で話しますけれども、懐疑的でありながらも、我々の事務局と委員会のメンバーと、それから第三者、世銀などがありますけれども、やはりうちが本気でもって進めていくというスタンスがあると、かなりついてきてくれたというのが体験です。であれば、なるべく現実的な、かつ、★トラディノマティックであって、一歩一歩進んでいくというアプローチでもってやっています。で、外部の第三者を巻き込むことによって、自分たちの★フェーブリティを高めていく。そのいい例が世銀であって、ECである。
 それから、これが肝心なところで、初めから全員を巻き込んじゃうという手です。政策担当者の方たちも温度差があります。国によって温度差もありますし、うちに来てくださっているのは、例えば日本でいえば、経産省の方もあれば、文科省の方もいれば、国土交通省もいれば何とかなんとかですね。その温度差があります。でも、興味を持ってくださったところは初めから巻き込んでいく、一緒に議論していただく、そういうことです。かなりオブザーバーカントリーが非常に興味を持ってくれています。特に、先ほど申し上げましたラーニングの話ですね。既にイノベーション政策を打っている国は、我々はそんな勉強する必要はないと言うんですが、そうではなく、これから新たな政策、イノベーション政策を立ち上げなくちゃいけないところにとっては非常に興味を持っているところで、使いたい、使ってみたいというふうな反応がある。ですので、この辺も巻き込んでいる。
 内部の話なんですが、こういうOECDの中で、新しいプロジェクトをOECDの一つの局の中、局の中の一つの下部組織でもって立ち上げているんですけれども、OECD全体としてのサポートがないとなかなか動かせないということで、何したかというと、OECDにはITNというインターネットのネットワークサービスというのがあります。それは事務方のほうのサービスなんですが、そこも巻き込んで、我々としては、この科学技術政策に対するプラットフォームをつくっているんですが、将来的にはOECDでのすべてのトピックス、特に経済に関する分野においても同じようなプラットフォームをつくるところができると。なので、その事例として、うちのプロジェクトをサポートしてください。
 かなり成功して、一つのイニシャルプロジェクトとしてやってくれて、それがもう一つ大きいのは、KIMという話なんですけれども、Knowledge Information Managementという新しい動きがあります。これも発想は全く同じで、OECDには山ほど情報があると、でも使い切っていない、使い切れるようなシステムが必要だというのがOECDワイドでの認識です。それを実現するために何かしなくちゃいけないというイニシアティブなんですけれども、具体的にどうしたらいいかというのがまだありません。その具体案として提供したのがうちのプロジェクトで、その事例として、今ここでも取り扱ってくれている。
 なので結局、内部的にも外部的にも、働きかけないことには動きがとれないんですが、働きかけることによって、皆さんが自分たちのものというオーナーシップで物を形成していくと。それが一つの原動力になっていることが事実です。
 ざくっと言いますと、もちろん情報の情報源です。ですので、いろんな情報のレポジトリーとしてノードが出てきて、この中にはもちろんデータ的なものもありますし、政策の質的なディスクリプションから、何したらどうなったかという話と国レベルの事例。それから、もともとOECDにライブラリーがあるんですが、そこともリンクさせているので、これまでのデータでもとることができる。
 また、外部に関しては、世銀とユーロネット、★ボッチのほうにもリンクする。それをいかにリンクを結びつけられるかが肝心なんですが、これがやはりうちのこれまでの体験、ノウハウを積み重ねたところでもって、そのリンクの張り方というのを内部で議論して、それを試していく。それをまず試したところを、いろんな方に使っていただいて、フィードバックしていただいて、それをまた改良していくという、そのインタラクティブなプロセスをこれからやっていくと。
 何かというと、やっぱりこれはすべてを一気にやることはできないので、まず、コアとなるようなテーマは何かということを幾つか引き出しました。それを詰めていって、だんだん広げていくというアプローチです。
 それがモジュール化したモジュールのアプローチでやっている。今のところ、ここの9個のモジュールを一番最初のスタートでやっています。これはモジュールをどんどん足していくことができるし、この9つのテーマはどうして絞ったかというと、やはり委員会でもってもんだ上でもって、これがやはりコアなテーマだということで絞り込みをかけました。
 ざくっとした表なんですが、例えばFinance、Skills and Educationなどがあって、そこでは、基本的な考え方、コンセプトの定義、また、それから最終的な落としどころというのは経済的インパクト、社会的なインパクトな例、そこのマーケットとの★ツガイ程度の項目とか、それから、diffuse and grow new conceptsなどがあります。この辺は、今のところ詰めているところなので、逆に、皆様方が実務で使われているときに、こういう情報というのが欠かすことができない、あるいは、この辺はこの辺が手薄になっているというのがございましたら、フィードバックしていただくとありがたいと思います。
 それが先ほどのノードをくっつけたところなので、これは事例がInnovative Entrepreneurshipというテーマに関しての事例です。これは今、うちの内部でどうしているかというと、OECDの側と世銀の側と協力しながらリンクを張ることを今やっています。この辺は本当に手作業でやって、これまでの体験をもとにしたコンセプトのつながりなので、これはどんどんどんどんふやしている作業なので、こういう作業にも参画していただくと非常にありがたいと思います。
 ここからが、いかにいろんな人を巻き込むかという話です。
 一つは、先ほど申し上げましたように、ステップ・バイ・ステップでいっているんですが、その初めのころのステップのときにパイロットケースをしました。そのときにいろんな人たちに参加していただいて、そこでもって、その後にサーベイをしてフィードバックしていただいて、それをまた改良するプロセスの中に盛り込んでいくというやり方です。
 具体的には、コンテンツの中ではウエブページ、それからブリーフとかケースマテリアルがありまして、それから、どういうチェック項目かというと、使いやすいか、そうじゃないかのチェック項目。それから、クオリティ・コントロールをどうしたらいいか。何かというと、さまざまな情報がここに載ってくるわけなんですけれども、OECDの判こを押すからには品質保証をしなくちゃいけない。どのようにしたらいいか。大きな課題なんですが、まだこれは解があるわけじゃないですけれども、この辺もチェック項目となります。
 それから、そのインプットとして、一つは、各国からケースを出していただく。それをここに載っけた上でもって情報を共有していく。しかし、比較ができるような形に加工するのが我々の役目であるということです。
 それから、まさに鍵はアクティブ・パーティシペーションで、一つの例がワークショップを開いて、丸一日なんですが、これはいろんなテーマのことを議論した上でもって、そこからもフィードバックして、それは後で説明します。
 その最後のところ、メンバー国は必ずしも事務局がやることをフィードバックして、それがおしまいはなく、もしも興味がある分野があった場合には、そこのリーダーシップをとっていただくということで巻き込んでいく。なので、これはもう手探りなんですが、いろんな場面でもって実際にアクターとして、メンバー国のポリシーメーカーの方たちに入っていただく。その作業をすることによって、自分がやったからには使わなくちゃいけない、宣伝もするという道筋です。
 実際、今どこにいるかという話です。
 一番最初のTest-bed siteというのは、これはちょっと先にお見せしますが、こんな感じです。この辺は、もうちょっとお時間があれば、お戻りになってからチェックしていただければと思います。それが2011年、昨年つくりまして、一つの事例として、研究開発デベロップメント、R&Dなんですけれども、やりました。
 それの次のところが、でも、これだけだと大体概要的なところしかわからないので、具体的なイメージがわからない。そこで、次のフェーズにいったのが、ワイヤーフレームのモックアップをつくりました。これは本当に具体的な幾つかのテーマを絞って、それに対してどういうふうな形でもってリンクを張っていくかということを、その事例として体験することができます。この辺も、ですので、見ていただければと思います。それが今、12年でやっていて、次のところが中身です。
 中身のもともとあるものも使いますけれども、それを加工しなくちゃいけない。その作業というのは事務局でやっています。具体的に今3つのテーマを絞り込んで、この中でやっています。6月にワークショップをやって、希望的観測なんですが、来年の3月か4月ごろにはベータバージョンが出る予定です。
 先ほど申し上げましたTest-bed siteなんですが、ここに入られると、イノベーション・ポリシー、IPPのフロントページが出て、そこか例のところに説明が入っています。ですので、これは、オーバービューをしたいときにはこれに入っていただくと。
 さっきのモックアップなんですが、ここでは本当に具体的な感触をつかむために、ですので、本当のリンクじゃないんですが、事例としてこれが入っています。それをちょっと見ていただくと、なるべく、これは何をテストしたかったかというと、我々の構想が本当に使い勝手がいいものなのか、どうなのか。本当に皆さんが必要とするものがここに載っかっているのか、載っからないか、などなどをチェックするためのをやっています。この辺のシステムをつくるときにも、やっぱりコンサル会社を使ったんですが、この辺も、うちのOECDの事務局側が内部のほうでサポートしてくれたので、これが実現したということ。必ず、その最後にサーベイを行っています。これをフィードバックしてという話になってくる。これを幾つか、何段にもすることが現実です。
 そのイメージとしては、こんな感じになる。ですので、先ほど申し上げましたように、国別のプロファイルもできますし、それは地図の中からクリックしていく話もありますし、テーマから入ってくると、今事例としてR&Dですが、入っていて、その中でもって構造化していくのが出てくるという形になる。
 ここで使い勝手がいいというのは、例えば事務局でSGが、事務局長がスウェーデンに行くと。スウェーデンに行くときに、スウェーデンの例えば科学技術大臣とミーティングがあると。そのときの、まずそのレポートとして、OECDの持っている情報をまとめろというふうなのが来たとしますよね。通常は手作業をするわけです。これまでにスウェーデンにかかわった人たちが集まってつくるわけなんですが、それが、毎日こういうのが来ると、ほとんど仕事ができなくなるというのが現状です。それをいかにシステマティックにするかというときに、この中に含んだもので、そこから自分たちのブリーフケースというものはクリックすると、そこにシステマティックに情報を上げることができる。1個つくって、それをベースに、またほかの国のところもできると。いろんなことが、さまざな応用がきくようなものを今つくっております。
 ちょっとこれはお礼を言えとうちのスタッフが言いましたように、NISTEPが非常に協力的でして、いろいろとこれまでサーベイに答えていただいて、非常に助かっていました。今度は31日がデッドラインで、これもちょっと守ってくださいということで、うちのが言っていますので、よろしくフクハラさんお願いいたします。
 最後は、そのベータバージョンなんですが、これは皆さんに使っていただくしかない。使っていただいて、そのフィードバックをいかに改良していくかというところなので、今後も皆さんに活発にこれを一緒に育てていただくということで、お願いしたいと思います。
 あと5分ぐらいで締めますが、先月、ワークショップを開きました。6月です、すみません。これは何を目的としたかというと、かなりそのステップ・バイ・ステップの幾つかステップは来たので、この辺でいろんな人を集めてフィードバックをもらおうと。かつ、もう一つの下心というのは、自分たちもやりたいという人をここから抽出して、巻き込もうというのが下心でした。で、このワークショップです。
 実際にオペレーショナルなものであって、テクニカルな側面も検討すると。また、その辺のところの中身についても、我々が考えて、事務局が考えたことが的を射ているか、射ていないか、その辺のところも反応を見るということです。それから最後は、もうちょっと先のほうへ行ったときには、各国レベルのアプローチに関してコーディネーションすることができるか、できないか。国際機関としてのOECDが役に立つことができるか、できないかということを、フィーリングをテストするためにこれはやりました。
 3つのプレナリーとブレークアウト・セッションというのがありました。これもなかなか、いつもOECDの会議に参加なさっている方はよくわかっていると思うんですが、大体委員会で終わっていますね。そこで議論して、大体皆さんが述べたのでしゃんしゃんで終わると。ここはそうではなく、この小さなグループでもってディスカッションしていただいてレポーターに、モデレーターとレポーターがいて、レポーターの人に持って帰っていただいて、具体的な提言をしていくという形でやりました。
 もちろん、この中にはメンバー国と非メンバー国に入っていただいて、それから、世銀も含む各種機関、それからビジネスサイドの方たち、もちろん研究者などなど、いろんなステークホルダーに入っていただく。ですので、通常のOECDの会議に参加する人じゃない人たちに多分に入っていただいて、もんでいただいたというのがこのワークショップです。
 大きなテーマなんですが、非常にテクニカルなところから、それから、ポリティカルにどこを考えなくちゃいけない。それから、最終的にはガバナンス。何かというと、通常、プロジェクトというのは立ち上げるときは皆さんが燃えて、ばっとやるんですが、そのプロジェクトの期間が終わると、そこで終わってしまうというのがよくあることなんです。これは半永久的に継続したい。サステナブルにするためには、ファンディングの話も出てきますし、だれがそのリーダーシップとって、どういうメカニズムでこれをOECDの中の一つの機能として埋め込むか、その辺のところが肝心な押さえどころで、これに対しても議論しました。また、サステナビリティとガバナンス、この辺のところですね。
 それから、肝心なのはもう一つ、多分この日本でもそうですが、アカデミックなコミュニティの人たちの協力がないと、これは成り立たない。ですが、アカデミックな方たちは、やっぱりアカデミックな視点から政策というものを分析するんですが、必ずしもその視点というのが使い勝手がいいものか、政策を決定するほうの人たちに。そのインターフェースをどうしたらいいか、その辺の議論というものもさせていただきました。
 このサマリーというのがもうじきできますけれども、幾つかの論点となったところがここにちょっと出ています。
 皆さんおっしゃっているのは、各国政府のプライオリティをちゃんと盛り込まなくちゃいけない。もちろんそれはある。
 それから、タグをつけるわけですね、いろいろなところに。タグのつけ方というのは基本的なことなんですが、何が肝心なもので、何と何をリンクするかという一番の根っこにあるところ。これが一番の微妙なところですけれども、肝心な点、アーキテクチャーな話ね。
 それから、もちろん政策議論だけではなく、それにスタティスティクスのデータを張りつけると。その張りつけるところでも、既に持っているデータがあればいいんですけれども、ない場合にどうしたらいいか。プロキシとして何か使ったらいいか、などなどの話も押さえてくださいねというところですね。
 その中に、もちろんデータを取り扱っている方たちはデータの世界なんですけれども、データのみではカバーできないので、クオリタティブなところのインプットというものをどうやって組み合わせていくかという話です。
 それから、ラーニングフォーラム。これは皆さん共有してくださいました。先ほど申し上げていましたように、スタート時ではラーニングのところが必要ないという雰囲気だったんですけれども、ここまでくると、これの重要性について、かなりの方が認識になった。ですので、変化があったということですね。
 それから、まさにアカデミックの世界と、それからステークホルダー、ポリシーメーカーのリンクというのが肝心な点であると。
 それから、ユーザー、ポリシーユーザー。まさにお互いに学び合わなくちゃいけないところなんですが、違う視点で言っている2つのソサエティ、グループが、どこで共有点を見いだすか。その辺のところは、まず、これから議論しなくちゃいけない。アプローチは、やっぱりラーニング・バイ・ドゥーイングで、やりながら、走らせながらやるしかないというのが落としどころです。
 これがほとんど最後なんですが、何を学んだかというんですが、ここまできて、初めは非常に、委員会にかけると皆さん批判的だったんですね。これが2010年のポリシー・ハンドブックのときは完全にもう無視され、必要ないんじゃないかというのがあったんですが、だんだんここまでくると、かなり興味を持ってくれています。しかし、まだケアフル・インタレストなので、まだ完全に落とし込んでいない。なので、努力しなくちゃいけないという話に、非常に長かった。でも、我々が一生懸命継続的にやっていたというかいがあったことは確かで、その中で、なるべく具体的なイメージというものを持ってくると、それから事例というものを持ってくる。なるべく、どういうふうなことができるかという具体性を持たせることによって、だんだん変化が出てきたと。
 これが一つ、OECDの役に立っているというふうに言われているところ、何かというと、各国政府はやっぱり自分たちの方向性がありますね。その中で、第三者的な場が必要であると。その第三者的な場というのは、皆さんがある種の、そこに権威に対してオーソライズするものであって、そこのtrusted authoribative third partyというのが非常に肝心であって、これの線から外しちゃ、OECDは外れてはいけないという話なんです。
 それから、何かというと、やること自体が変革であったというのが認識です。今申し上げましたように、アカデミアの方たちも巻き込まれながら、うちも巻き込みながらなんですけれども、政策担当者と議論を重ねてきて、そういう場となっていることは確かであって、やることによって、その次のステップが割と楽になっていくんですね。そのステップというものは意図的に仕掛けないことには次のステップにいかない。うちの事務局の仕事というのは、多分これをつくることであってというのが認識です。
 もともとは、これは事務局が勝手にこういうプロジェクトを立ち上げて、事務局サイドのというところが委員会の方たちはあったんですけれども、それがだんだん巻き込むことによって、一緒にやるというものに認識が変わってきていました。でも、これはやっぱり時間かけてやらないと、なかなかいかないということは確かです。この中には、いつも意図的に入っていただく。それは、ある種のパッシブなところでアンケートに答えていただく。もっとアクティブになると、リーダーシップとってプロジェクトの、例えば先ほどモジュールがありましたよね、そのモジュールの中の一つはあなたの国がというふうにできればというところが肝心です。オーナーシップというのが非常にキーワードでしてね。
 ということで、ここまできて、我々にとってまだこれから答えを出さなくちゃいけない点が何点かありまして、まさに先ほど申したように、ガバナンスのストラクチャーをどうしたらいいか。それから、走らせるまではいいんですけれども、メンテナンスをどうしたらいいか。それから品質保証。我々が第三者的な立場なんですから、第三者、自分たちの情報、そのシステムって、また客観的に見てもらわなくちゃいけないんですが、どうしたらいいか。最終的に、お金がなくちゃ動かないので、どこから見つけてくるか。
 もちろんOECDの通常の予算である程度カバーできますけれども、一つの考え方は、まさに大学でもって発明してから、特許を取って、それを活用するときに、一つのやり方というのは起業するという手がありますね。それも一つのオプションだという話がある。
 例えば、一つの教育局の中ではPISAというのが皆さんご存じだと思うんですけれども、あれはまさに、これまでとは違うビジネスモデルでもって、一つ、何人かコアの人たちがやったんですけれども、あそこまでつくり込んだんです。もうこれは世界的に認知度が高くて、PISAというのが通常のOECDの顔になっています。そこまでに持ってくるのが大変だったんですけれども、ある種のサステナブルに回るシステムとなったと。それも一つのモデルであってという考えですね。
 それから、先ほど何がししましたけれども、OECDレベルでもってKIMというプロジェクトが走っている。それに我々は一番最初のイニシャルのインプットを提供して、あとはOECDワイドのKIMでやってくださいという手もあるんです。多分これはうまくいかない話で、やっぱり自分たちのコミットメントが必要と。
 最後、あるいは新しいビジネスモデルをつくると。この辺も今試行錯誤で考えています。
 最後になりますけれども、これが日本での試みというものを考えたときに、日本の科学技術イノベーション政策の科学というその目標がありますけれども、それとかなり共有する方向性というのが、多分皆さんに理解していただきたいと思うんです。
 そこでもってメッセージとしてなんですが、一つの例としてIPPのことをきょうお話しさせていただきましたが、肝心なのは、最後にできた★ビュッページのこれがという、もちろんそれもそうなんですけれども、そこまで行き着くプロセスが非常に重要であって、そのプロセスをうまく活用することによってコミットメントができると。それは体験の場であって、だから、初めから我々はこれがパーフェクトな姿では絶対コミットしない。一緒につくってくださいということをお願いしています。この辺の体験いうのなら、何らかの形で日本のほうにフィードバックできれば幸いですし、また逆に、日本側の情報をうちにいただきながら、インタラクションをとることによって、お互いに進めることができるんじゃないかという、その希望的な観測です。
 大体この辺で私の話は終わりで、もし質問、興味持っていただければ、私にコンタクトとってくだされば担当者に回しますので。また、先ほど申し上げたように、9月14日に担当者も来ますので、そのときはまた機会もつくりたいと思いますので。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
○有本 原山先生、ありがとうございました。
 極めてイノバティブでチャレンジングな、OECDがこんなことをやっているのかという感じでありますけれども、さて、それじゃ、今から45分か50分ぐらいですけれども、ディスカッションをしたいと思います。どんどん。
 それじゃ、大竹さん。
○大竹 私もOECDのこういうアクティビティを初めて知りました。不勉強でした。
 それで、ちょっと先生はおっしゃらなかったんですが、政策科学的には確かにイジチさんとか政策研がインプットしているんですが、ポリシーメーカーズというところは余りおっしゃらなかったようなんですが、日本から十分なインプットがあるんでしょうか。
○原山 委員会には日本の代表の方が来てくださいますし、カザミ先生がCSTPには委員として、バイスチェアになっていただき、そのとき必ず文科省、経産省から国際課の方に来ていただいていて、基本的には国際課なんですが、日本に持って帰っていって関連部署の方々と協議して、それを持ち帰っていただくということになっています。
 かつ、国内でも、経産省、文科省という縦割りではなくて、連携して日本のスタンスというものを表現していただくというのが基本的な考え方ですが、そうなっているかというのをなるべくプッシュしていただければと思います。
 やはり日本だけではなく、省庁の壁というのはそこらじゅう、ほかの国も同じで、その辺は我々が日々お願いしに行っています。国によって、例えばイスラエルがいい例なんですが、イスラエルは2010年にメンバー国になりました。メンバー国になるというのが、日本が64年でしたっけ、なったときと同じようにステータスシンボルであって、非常にメンバー国になるための★ポルスルーの間に省庁横断型のタスクフォースをつくって、その中で書類をつくって進めたんです。メンバー国になってそれを解散したかというと、我々は、それを維持しながら今後のOECDの対策をしてくれと。やっぱりそういうアプローチというのが各国にお願いしているところです。ですので、よろしくお願いします。
○有本 ありがとうございました。
 これは聞くだけじゃなくて、アクションをとってほしいので、きょう、文科省とか経産省の幹部がいると思いますけれども、多分、コンベンショナルなつなぎ方を日本がしているから、物すごくプアでスピードが遅いと思うから、これ、大竹さんは今質問したのは責任があります。
○植田 CRDSの植田ですけれども、どうもありがとうございました。
 ちょっと質問なんですけれども、ほかの政策分野、経済とか環境とかいろいろとあると思うんですけれども、そういうところでこういうウエブを使ったポリシー・プラットフォームみたいなものが、何かうまくいっている例があるのか。あるいは、原山先生のイニシアティブでIPPというのは先頭を切っているのか。その辺を教えていただければと。
○原山 やはり、その組織の中で流行というのがあって、今はプラットフォームが流行しているんです。ですが、ほかの分野でも必然性は、一番最初のイントロで申し上げましたように、OECDとして解決すべき課題というのは大体共有しているところがあります。ですので、行き着くところはこういうプラットフォームの形に非常に自然なんですが、具体的に走らせて、ここまで進化しているというのが、うちが一番最初に進んでいます。
 先ほどバジェットの話をしましたね、2年間の予算で。日本でも同じなんですけれども、ゼロベースでもってバジェットは広がらないんですが、それ、さらに頭に、ヒアカットとうちでは言っているんですが、例えば、その前年度まで100を持っていたところは、10%カットされて90しかもらえないと。その中の10はプールして、ビットを払わなくちゃいけないです。そこでもって優秀なプロジェクトに対しては、事務総長の権限でお金をつけてくれる。なので、我々としては、最低限10は取り返さなくちゃいけないし、もっと取りたいという形でもってやっています。闘いなんです。その中で、やっぱりいろんなプロジェクトが出てきました。そのプラットフォームも出てきていました。でも、なかなかいいのがなくて、今のところ、SGとしては、どうなるかを見ているというところがあります。
 ですので、うちが一番進んでいるので、事務、うちのOECDレベルのITのプラットフォームのほうも提携してくれて、テストケースとして取り扱ってくれています。
○有本 ありがとうございます。
 どうぞ。所属と名前をできたら言っていただきたいと思います。どうぞ、どんどん。それじゃ、黒田先生。
○黒田 黒田です。
 今やっている日本のSciSIPの進行について、非常に★インモアティブで、かつ有益なお話をいただいたと思っています。幾つか、今悩んでいる、こちらでも悩んでいることなものですから、解決が多分なかなか難しいのかもしれませんが、経済が物すごくグローバル化しているので、一つの国のとった政策がたちどころに他国に影響を与える。恐らくイノベーションというようなことは、それが最も極端に動いていくことだ。そうすると、レセプターというか、各国のポリシーメーカーに答えるべき情報が時々刻々動いていくような気がするんですね。
 多分、国内であれば役所間、実際に科学技術イノベーション政策というものを立案して動かすところの政策局は通産省だったり厚生労働、各省庁が動かしてインプリメントするわけですね。そして、それが経済にはね返ってきて、はね返ったものが科学技術政策の見直しにまた必要になるような情報を、もともとの科学技術政策立案者である例えば文科省に提案しなきゃいけない。そういう形のフィードバックというのを、どういう形で構成していくというふうにOECDでは考えられているのか。
○原山 基本的な考え方は、もうこれはキーワードで、コンセプトで言うと、フル・オブ・ガバメント・アプローチと言うんですね。それは国内レベルなんですけれども、横断的に、1つの課題に対して1つの省がこたえるんじゃなくて、複数省が同時、共有の目的に関して政策をとっていくというのが必要だというふうに言っているんですけれども、それは、言うのは簡単、インプリメントするのはほとんど不可能という状況です。それをわかりながら、ずっと言っているわけです。
 それを、じゃ、具体的にどういうふうにアプローチしたかというと、やはり具体的な課題を取り上げないと事例ができないので、逆に言えば、その個別の課題に対してプロジェクトを走らせる。これ、IPPとは別の次元なんですけれども、うちで今、数年前からSGが言っているのは、ホリゾンタルワークというもの。それは何かというと、局ごとに何かをやるんじゃなくて、複数の局が協働で1つのプロジェクトを立ち上げると。
○黒田 そこまでは可能になっているわけ。
○原山 だから、うち、まず一つは、人に提言する前に我が身を見よというところですね。ほかの国の政策担当者の方たちに省庁で連携してくださいと言うときは、自分たちが連携しないとこれはできないというので、それをやっています。それが大変なんですね。非常に苦労してですね。
 でも、それも何年か今走らせて、初めは上からトップダウンで。例えばグリーン・グロースというプロジェクトがあるので、グリーン・グロースはもう横断的じゃなくちゃいけないと。元リーダー局というのは環境局がリーダーになっているんですけれども、経済もくっつけば科学技術もつけばで、複数の局が協働でもってつくったんです。ところが、最終的にどうなるかというと、最初のプロジェクトはホチキスでもって各省が来たのを、局から来たのを張りつけて、一番、タイトルが環境局がつくって、★コンフュージョン・カウンティナブル、そういう形だったんです。それもやっぱりラーニングプロセスですね。
 今、黒田先生がおっしゃった肝心な点は、世界レベルで経済活動も起こっているし、課題も世界レベルで共有しているわけですね。その連携、何かというときに、いろんなアプローチがあるんですけれども、うちと経済と複数のトレードの局と、3つか4つが一緒になって、グローバル・バリュー・チェーンというプロジェクトを走らせています。それは、いわゆる昔は輸出入でもって物を見ていたんですけれども、単純にそれを見るだけじゃなくて、どこでもって付加価値がどのようにつけられて、最終的な製品がどこに行って、その中の一番肝心なインテンジブルのところはだれが押さえていて、どの辺のところが一番そこでもっておいしいものを吸っているのかというのを、データとしてとろうというプロジェクトがあります。それは横断的にやっています。
 ですので、まず、内部でその横断性というものをやってみて、それをもちろん各国政府に対しての提言はしていますけれども、でも、体験しています、大体は。
○黒田 ありがとうございます。
○有本 それじゃ、どうぞ。ひとつどうぞ。
○磯谷 文部科学省科政局の磯谷です。どうもきょうはありがとうございました。
 まさに原山先生がプレゼンテーションの中にありました、事務局から提案する形のやり方から、シェアード・エンタープライズというのを実現されているということをひしひしと感じて、すばらしいことをやられているなと思ったんですが、先生が、そのホームワークのところでちょっと挙げておられたのかな。だと思うんですけれども、まさにこれをどうやったら持続的なものにしていくかというのは課題だと言われたんですが、そこのところでもうちょっと、ここに書いていないことで何か、こういうところで実は悩んでいるとか、この辺のアイデアがありそうだというのがあったらヒントだけ、ちょっと教えていただければと。
○原山 今一番大きな課題というのは、その中身については大分詰まってきたんですけれども、ここでもって次のステップへ行くためには、インフラにインベストしなくちゃいけないんですね。それをどこから拠出するかというと、OECDは今のところ余り、ちょっと体力がないので、多分これは世銀がリーダーシップとることになりそうだというところがあります。そのウエブサイトの中身については共有したのを、お互いに一緒に協働作業でやるんですけれども、インフラに関しては、今そのネゴシエーションをしている最中なんですけれども、かなりその辺のところでうちが弱くなりそうだなというところはあります。でも、その中身のサブスタンスを押さえることによって、お互いのバランスとりながら。ですので、皆さんご体験と思うんですけれども、複数の国際機関が協働で何とかというと、必ずどこまでで線引きするか。それが今やっている最中で、そのオーナーシップのどこの部分をとることが戦略的に有効であってというのがあります。
 今、うちで、必ずしも全部とられちゃうとネゴシエーションパワーが弱くなるので、OECDの中で、先ほど申し上げましたように、さっきKIMというのが走っているんですけれども、これは相当な資本投資をOECDはすることになっています。それをうまく、乗っ取ってじゃないんですけれども、活用しながら、そのインフラを活用しながらインテレクチャーにインプットを我々が持っていって、それをテストケースとしてほかに広めることによって、うちとしても固有のインフラをつくっていこうというのが。
 ですので、複数の人と、ステークホルダーとネゴシエーションしながらポジショニングをしていくと。非常におもしろいんですけどね。
○有本 ちょっと今のもう少し。どうも人の顔が見えないものですからね。だれが動いているんだと、これ。原山先生が抜けたりしたらアウトになるような気もするんだけど、ダイナミックに動いていると思うんだけど、ワイコフのグループがやっているわけですか。ちょっとそこら辺の人の顔。
○原山 これは、先ほど申し上げましたように、うちはOECD全体の中に、いろんな局でもって動いています。私が所属しているのは科学技術産業局というところで、アンディ・ワイコフというのは私のボスで、私がその次長をしているんですけれども。我々の局のマネジメントの仕方、私が行ってから相当変わって、若い連中にもがんがんやってもらって、若い連中がいろんなアイデア出してきて、それを実現させてあげあるのが我々の役目だと思っています。
 ですので、これは、★スプリューってありますね。あそこでドクター取ったお兄ちゃんがいるんですけれども、彼がアカデミアの世界からうちに来て、もう何年も前に来ています。彼がインタレクタルにインプットをする人間。だから、アカデミア志向を持ったOECDのスタッフが1人と。それからもう1人、若手チームなんですけれども、それともう1人はドイツ人なんですけれども、非常に何でもできる女性がいて、彼女がいろんな知恵を出してやっていると。
 それから、それが若手チームで、それの担当の課があって、課長がいます。その課長が責任持ってIPPのプロジェクトをやっているんですけれども、その彼があちこちとネゴシエーションする。世銀ともネゴシエーションして、そのときには必ず若い連中も一緒にテレフォン・コンフェランスして、お互いに詰めて納得いったものをつくっていると。そういう意味で、みんなでつくっています。
○有本 はい、どうぞ。郷先生、それから、だれですか。
○郷 原山先生、どうもありがとうございました。総合学術会議でご一緒でしたころのことを思い出して、大変ご活躍くださっていることがよくわかって。
 ただ、教えていただきたいことが2つほどあるんですけれども、先生はもちろんアカデミズムからいらっしゃったというふうに思っていますけれども、これ、科学技術ですから、そういった分野の専門家が入っていらっしゃるんだと思いますけれども、政策を実行するときには、やはりそういう方たちが、それはいいと思って賛同するとか、あるいは積極的に関与してくださることが必ず必要だと思うんですけれども、どういうふうにそういう方がインボルブされていくのか。
 それから、特に新しい分野をこれから進めていくときには、既成の分野というのは、もう研究者がいっぱいいて、声を大きくして、次の政策、こういうのをやれというので、そういう声は届きやすいんですけれども、新しい分野はとにかく人が少ないし、まだ若い人たちが多いと。そういう分野をどうやってつくり上げていらっしゃるのかという。
 同じような、似ているんですけれども、アカデミズムの方たちがどういうふうにインボルブされているのかということを知りたいので、少し教えていただけたらと思います。
○原山 そこでちょっと初めのところに戻るんですけれども、今、郷先生がおっしゃった話というのは非常に基盤的な、OECDの科学技術産業局の中では基盤的な、非常にコアな部分なんですね。それは、どういうふうに動かしているかというと、コミッティレベルの委員会というのがあります。科学技術政策委員会というのがあります、CSTPの、同じCSTP。そこの中にワーキングパーティーが複数あります。
 一つ、2番目の質問から答えさせていただくと、横断的な分野で、エマージングテクノロジーとかそういう分野に関しては、いま一つの、この13年度、14年度のプロジェクトの中に一つ柱として立っています。それが、先生がおっしゃったように、既存の分野というのは勝手にほっぽらかしておいてもやるわけですけれども、ある程度仕掛けつくらないと新しい分野って出てこないと。それの仕掛けの仕方というのはどうしたらいいかというのは、その通常の委員会レベルでもって議論しています。
 一つの例が、バイオの分野とナノテクというのが、その固有名詞のがあります。これまではアメリカがかなりプッシュしたんですけれども、ナノにしろバイオにしろ、自国の政策の中に入っているので、OECDもやれという形で、ワーキングパーティーができたわけなんですね。走り出したのはいいんですけれども、この先見ていると、バイオはバイオだけ、ナノはナノだけでいくかというと、多分そうじゃない。
 なので、これはここだけの話なんですけれども、私とワイコフの考え方というのは、個別はある程度のところまで走らせて、その後はエマージングテクノロジーという形でもって一つのワーキングとしてしまって、その中でほかの組み合わせ、ICTとの組み合わせも可能でしょうし、また、それから新しい、今はまだ見えていないものもそこで取り扱えるように、将来的には移行していきたいという形ですね。ですので、まさに状況によってワーキングパーティーというのは本来は動かすべきなの。ところが問題は、ワーキングパーティーのメンバーになっちゃうと、そのメンバーをなくすということが嫌だというふうに委員の方がおっしゃって、つぶすのは非常に難しくて、非常に政治的な力ずくが必要で、それは徐々に持っていくしかないと思っています。
 でも、トレンドとしては、かなりエマージングというのはキーワードとして皆さん認識しているので、何年か後で、今、13年、14年度の予算が決まっているので、多分その次のころには、もう一回再編成できればなと思っています。
 それから、初めのほうなんですけれども、ごめんなさい、もう一回、キーワード、何でしたっけ。
○郷 アカデミックの人をどうやってインボルブされるか。
○原山 ここで、きょうリサーチャーとかアカデミアの人たちにもインボルブしていただきますというのは、話で何回か出てきましたね、スライドの中で。ここで言っているリサーチャーとかアカデミアの人たちというのは、科学技術政策を研究する人たちを指しています。
○郷 ああ、そうですか。
○原山 ですので、日本の科学技術イノベーション政策の科学の中でもって、GRIPSがこれから育てなくちゃいけないという人たちを対象とした形で言っています。
 それは一つなんですが、実際に政策の影響を受けて自分たちの行動が制限されるというのは科学者、本当のサイエンティストね。その人たちは、まさに先ほど申し上げましたように、いろんなワーキングパーティーの中にコミットしてもらっています。
 その中の一つがグローバル・サイエンス・フォーラムというのがありまして、そこはまさに、どちらかというとサイエンス・コミュニティの人たちが集まっているワーキングパーティーです。そこでは、科学を進展させるための今日的な課題は何かということを幾つかピックアップして、それを議論して、最終的に大体1年半ぐらいでレポートを書いています。ですので、その役割分担があって、そのレポートというものをある種のこっちの中にインプットとして持っていくという感じです。
○郷 日本でいうと学術会議とか学会とか、そういうものに相当するものと考えてよろしいんですか。
○原山 それは、そこのグローバル・サイエンス・フォーラムのメンバーというのは、アカデミアの人たちのかなりのハイレベルの方たちが委員となって入っています。その中にもICSUとかの人たちもインボルブをしているんですけれども、いろいろな外部の組織というところに特に出てきたので、その中にもちろん学術会議的な組織も含めて考えています。それは団体としてです。
○郷 わかりました。ありがとうございます。
○原山 今のICSUに関しては、かなり向こうからもアプローチしてきているので、私が行ってからは、最終的にいろんなところで接点を持っていることを今ここに。特にナノで一つ走り、ワークショップを一回ナノでやったことあります。
○郷 そうですか。私、名前を言いませんでした。郷です。情報システム研究機構です。どうもありがとうございました。
○有本 ちょっと関連で、日本のSciSIPの場合には、多分皆さん考えているのは、第5期科学技術基本計画をいろいろ準備していくというときに、どれぐらいのインパクトがあるものにするかという大きなフレームがあると思うんですね。OECDの今の活動というのは、例えば先生が冒頭言われた2014年のニューイノベーション・ストラテジック、あれは非常にすばらしいと思うんだけれども、ああいう何か次に、例えば3年か4年後にそういうのをつくると、そこら辺で何か全部集約していくというような大きなものがあるのかどうかね。それはどうもなさそうですか。
○原山 今そのOECD、私が行ってから、かなり旧来型のOECDとは変わってきているんですね。先ほど、どなたかおっしゃったように、こういう試みもできるようになったんですよ。
 さらにもっとすごい飛躍となりそうなのが、NAECというプロジェクト、ニュー・アプローチ・フォー・エコノミック・チャレンジだ。
 何かというと、これは、通常は委員会でもって、こういうことが課題でという形でもって、委員会レベルでいろんな問題設定をしてリコメンデーションが出てくるんですけれども、これは全くこっちからじゃなくてトップダウンのプロジェクトで、事務総長が自己批判しなくちゃいけないと、自己反省しなくちゃいけない。なぜかというと、この数年前からの金融危機・経済危機に対して何が実証されたというと、我々が力が不足だったことが実証されたというのが認識で、では、旧来型のエコノミックモデルでもって理解できないことのほうが大きいわけですね、今。これまでのロジックというのは、先進国の現状を見ながらモデル化したわけなんです。今の経済活動というのは、メンバー国外のところでいろんなことが起こっていて、こちらはそっちにぶら下がっているところがあって、今それも危うくなっていくんですけれども、であれば、これまでの旧来型のモデルでもってフォーサイトするだけではなくて、新たな考え方が必要だと。
 一番最初に出したのは、ニューエコノミックモデルをつくらなくちゃいけないと言い出したんですけれども、エコノミックモデル、ニューがついてエコノミックモデルにしたらば、完全にいろんな人たちから総スカンを食らって、OECDはモデルつくるところじゃないだろう、おまえらは政策提言のところだろうというので、それは言い方をやめたんです。で、ニュー・アプローチにした。何かというと、これは旧、そのネオクラシカルなモデルに対して挑戦を挑んだわけなの。
 一番内部でもって困っているのが、うち、OECDの一番の大黒柱がエコノミックなんですよ。経済局なんですよ。経済局は自己否定されているわけなのね。自己否定を一番トップがやっていて、じゃ、新しいことをどうやってここができるかというと、多分常識的には、そこから新しい考えは出てこないので、じゃ、どうするかというのが今議論されている。
 その中に先ほど申しましたポリティカルな話があって、メンバー国が、そんな勝手なことをOECDが言っちゃ困ると言う国もあるわけなんですね。なので、なるべくそういうことはさせたくないので、自分たちがコントロールしたいというところ。でも、うちの事務総長は、いろんな国が何か言っても無視してやろうというふうな、今非常に頑張っているので、これは本当な、まさにパラダイムがシフトする。なので、非常におもしろい時期です。
 そこでもって、正攻法でもってエコノミック、経済局に新しいモデルを出していっても多分無理なので、アンディと私が言っているのは、一番自然な形でいくのが★イノベーション・ローンでもって、こっちが何かを提言していくと。それでもって、それを組み込んだモデルというのは新たに考えてもらえばいい話で、実質的に、さっきのグローバル・バリュー・チェーンの話もありますし、イノベーション政策の話もありますし、この辺ということから少し攻めていって、これが新たな世界構造の見方ですというのをうちとしてはインプットしようと思う。
○有本 遅くなりましたました。伊藤さん、どうぞ。
○伊藤 政策研究所の伊藤です。
 政策に役に立つプラットフォームづくりの隆盛についてご講演いただいたんですけれども、我々政策研究所自身も、SciSIP、科学技術政策研究のための、あるいは政策のための、いろいろなデータ基盤整備事業をやっております。そのとき、いつも気にかけているのが、どんなデータをどういう形で搭載していって、どういうふうに提供していくかによって、ある種の政策の決定に対して、ある種のバイアスがどうしてもかかってくるということがあろうかと思います。ましてやこういったOECDのような大きな国際的な組織において、どういったようなデータを、かつわかりやすくするということになると、二次的な情報になりますから、さらにある種の加工が加わってくると。
 あるいは、我々自身に課せられた課題の一つに、科学技術投資の経済的・社会的な効果というような問題がありまして、そういったようなものが一つの情報であるとするならば、そういったようなものを出していくときの制度というんでしょうか、というのもやはり政策担当者にとっては、それをそのまま鵜呑みにしてしまうかもしれない。
 というようないろいろな問題がありまして、やはり我々が提供するデータのいろいろな精度とかいろいろなものがあって、それと受け取られる政策立案側のほうの問題というのがあって。ということを考えていきますと、例えばこういったようなシステムの場合も、ある種の第三者的、あるいは客観的なある種の判断が加えられるような一つのスキームといったものが別途、同時並行的になくてはいけないのかなという、そういうような議論もしているんですけれども、そこら辺について何かお考えがあれば、よろしく。
○原山 非常にクリティカルのご指摘だと思いますし、一つは、先ほど申し上げましたように、うちの歴史からすると、フラスカティ・マニュアルとオスロ・マニュアルと、なんなんと来ているわけですね。これも進化しているわけなんです。それは、進化のさせ方というのが、世の中が変化しているので、それに合わせていくということはありますし、メンバー国の要求もありますし、それを委員会でもんでいくと。ある種の、今おっしゃったように、第三者的なところでもむというのは、うちとしては、委員会がその役割を担っています。
 かつ、データに関しては、うちのセクションがあるんですけれども、うちだけでやっているわけじゃなくて、EUと連携していますし、ほかの機関とも連携をしながら、お互いにいろんなことを見ながら、うちの中で進化させている。そういう意味で、先ほど申し上げましたように、ある種のクレディビリティーというのはうちが持っているというのは、そういうところから来ていると思う。
 ですので、でも、それはこれまでの話で、今後進化させていくときにも、このプロセスというのは重要だと思っております。それが一つですね。
 それから、このプラットフォームの意図というのは、スライドにどこかで書き込みましたが、解決策をここから★ミンが提供するのではなく、こういう可能性もあるということをここから拾っていただくというのが目的なので、判断なさるのは使う側の方たちになります。勝手に使ってくださいという話もありますし、それをベースに、いろんな国で議論もできると。
 一つ我々がこれを使おうと思っているのは、事務局側として作業を簡素化すること。それから、そのデータも常にアップデートできるので、最新の情報をここからとることができると。それをもとにしたものを、ある種の付加価値というのは、事務局側がこれまでどおりに付加価値をつけていくことが要求されていくと思います。
 ですので、これは第三者が自由に使えるプラットフォームでありながら、まさにおっしゃったような政策提言に結びつける作業というのは、これまでどおり事務局がある程度のシナリオを書いて、それを委員会でもんで、それを最終的につくり上げていく。その作業というのはなくなるわけじゃなくて、それがあって、それのサポートをする機能というふうにとらえていただければと思います。
○有本 どうぞ。
○池上 池上です。少し前まで5年間、宇宙をやっていましたけれども、やっと退任いたしまして、またこういう分野に戻れるかなと思って、きょう、楽しみにしてお話を伺いました。
 一つ基本的な話なんですけれども、OECDは、ファンディングは、世銀と、あとは各国の分担金というものがあるんですか。
○原山 世銀は、このプロジェクトに対して。
○池上 このプロジェクトだけ。
○原山 このプロジェクトだけでもって。ほかのプロジェクトでも世銀との連携のがありますが。
○池上 そういう話ね。
○原山 これは、先ほど世銀を出したのは、このプロジェクトは協働のプロジェクトとして立ち上げたので。
○池上 そうすると、ヨーロッパの国が分担金を出すという形を。
○原山 それ、ESも今ネゴシエーションの最中で、非常に興味を持っていて、どこまでコミットするかと、今まだ確定していません。でも、興味を持っていることは確かです。
○池上 そうすると、やっぱり基本的には経済界が支援しているという、OECDそのものを。
○原山 OECDそのものは、メンバー国というのはGDPに比例した形でもって分担金をしていて。
○池上 そうですね。じゃ、ヨーロッパにですね。
○原山 ヨーロッパは、その各国、メンバー国レベルでもって分担金が決まっています。それが、はい。
○池上 それが基本。
○原山 それが基本です。
○池上 それは宇宙関係も同じなんですよね。そうすると、リージョナル・リターンという、その出した分に比例した金が返ってくるというのもあるわけですね。
○原山 返ってくるということは。
○池上 つまり、ヨーロッパの場合、普通、金を出しますよね、そうすると、あるプロジェクトがスタートすると。その分担金に相当する分は必ず参加の国に戻すという、そのリージョナル・リターンというのがあるけれども、それもあるということですか。
○原山 うちの場合、OECDはファンディングはしていません。プロジェクトに対するファンディングは一切なしです。ですので、うちは分担金を各国メンバー国からいただいて、それを事務局の動かすための費用として、★パート・ワン・バジェットというふうにして。
○池上 全部使えるという形。
○原山 使っている。
○池上 そのかわり、そんなには高くないということですね、分担金も多分ね。
○原山 そんな、大変、大変。どこも同じで、外部資金を取ってこいというのが命令で、これも世銀から外部資金を取ってきてという。
 今一番大型の外部資金を取っているのがECです。ECは、あそこはお金を分担したわけで、ファンディングしているんです。その中のカウンターパートとして、もちろんアカデミアの世界にもお金を出していますけれども、うちがかなり、例えばデータに関しては、大きなプロジェクトはうちがとっています。
○池上 ああ、そうですか。
 あと、先ほど来、質問に出ていたんですけれども、OECDがこういうレポートを書いたというのは非常に私も不思議な感じします。ちょっと5年間サボっていたから、その経緯がよくわからなかったので。ですから、CSTPで原山先生はうまくいかなかったので、こっちでやっているかなというふうに思っていますけれども、ちょっとそれは別にいたしましてね。
 今、ご案内のとおり、ヨーロッパというのは基本的にイノベーション的なことを始めたのが、ケンブリッジ大学が始めたと。ところが、例のフォーサイト等々をやったけれども、ほとんど失敗したということで、今、ケンブリッジがある意味では力を落としていると。
 一方、アメリカのほうは今いろいろやっているんだけれども、必ずしもイノベーションがうまいっているという話ではなくなって、むしろゲームチェンジというふうな、システム全体を変えていこうという中でいろいろやっている。そういう中で、私の見ている感じですと、従来、アメリカもいろいろやってきたんだけれども、ほとんどうまくいっていなくて、それを見直そうというようなフェーズに入っていて、確かにそういう意味からすると、OECDがこういうことをやるということは一つチャンスじゃないかというようには思うんですよね。
 ただ、言葉の使い方で非常にユニークだと思ったのは、イノベーティブなアントレプレナーシップという言葉。これは今まで初めて僕は聞いたんですよ。アントレプレナーシップの中に既にイノベーティブなものが入っているというふうに思ったんだけれども、これは何か特別な意味があるか。あるいは別な言い方をしますと、イノベーションというものはきちっと定義をされたのかどうかということをちょっとお聞きしたいと思う。
○原山 イノベーションの定義というのは、けんけんごうごうと、ずっと長年のあれがあって蓄積があるんですけれども、イノベーション・ストラテジーの中で、一応いろんな定義がありましたので、出した上でもって共通認識として、OECDではこういうふうに考えていますが、先ほども、2010年のイノベーション・ストラテジーの中に入っています。それは広義のイノベーションです。
 もちろん、これまで淡々とやってきたのがテクノロジカル・イノベーションがベースで、うちの局が来ていたんですけれども、まさにSTI、STIというのはうちの略語なんですね。STIというと、うちの事務総長なんていうのはサイエンス・テクノロー・アンド・イノベーションだと思い込んでいるんですよ。もともとはSTIのIはインダストリーだったんですね。そのインダストリーの中でも幾つかの、バイオがあって、ナノがあって、それから鉄鋼があって、造船があるんですけれども、鉄鋼と造船はどちらかというと旧来型になってしまって、それはなかなか、こういう道をたどっていると。今、どちらかというと、内部の議論で、STIIにするかとか、STIのIを読みかえるかって議論があるくらい変わってきています。その中でのイノベーションというのは、まさに広義であって、インテンジブルな話であって、ICTの部局もありますし、広義にとっています。
 それから、もっと進めれば、ソーシャル・イノベーションの話も盛り込んでいくという形で、ちなみに宣伝させていただくと、来月の9月12、13と、高齢化社会におけるICTの使い方みたいなワークショップがあります。それもうちと、それからAPECと早稲田大学が受け皿になっています。
 そういうのもありますので、その広い意味でのイノベーションで、その中でもって、じゃ、科学技術は何かという話もしています。
○池上 さっき、イノベーティブ・アントレプレナーシップって、あれは何なんですか。
○原山 あれは、さっきのモジュールの一つの名前ですね。あれは日々変わっていて、先ほど申し上げたマイケル・キーナン、その若いチームの連中が一生懸命知恵を絞って、このワーディングがいいというので。だから、自由にやらせているんです、今。
○池上 ですから、それはちゃんと僕は、アントレプレナーシップが何かということ、それでイノベーションが何かということをきちっと議論、多分ヨーロッパでしたらできると思うので、それはぜひやっていただき。
 僕、もう一つは、ステークホルダーで議論するという、これは当たり前のようなんですけれども、少なくとも日本の中では、少なくとも霞が関には全くそういうコンセプトがないということを、私、霞が関に5年10カ月いてわかったんですけどね。それはなぜかというと、ステークホルダーが集まって議論をしようとすると、日本ではすぐ「やらせ」と言われちゃうんですよ。ですから、日本て非常に不思議な国で、例えば今回の原発事故についても、原発に対して割と好意的な人間を入れると「やらせ」になるわけです。ですから、ステークホルダーの議論ができない仕組みになっているわけですよね。それはやっぱり日本で直していかなくちゃいけない。
 ですから、これをステークホルダーで議論しろ。アメリカの場合ですと、これは宇宙関係でもあったんですが、パブリックミーティングで、そこでなぜやるかというと、ステークホルダーが全部集まるんだと。もちろん、うまくオーガナイゼーションやらなきゃ、裏ではいろいろやってはいるんですけれども、なかなかそういうことがうまくいかないので。
 ヨーロッパではこれは可能なんですかね。例えばフランスなんかの場合ですと、むしろステークホルダーじゃなくてトップダウンというような感じがするし、イギリスなんかの場合も―イギリスはちょっと違うのかもしれない。そういうステークホルダーとちゃんと議論するというのは、ヨーロッパの中でそういうような伝統はあるんですか。
○原山 私の場合、OECDの話になりますけれども、ステークホルダーでいいますと、通常の委員会のメンバーって国が代表で来ますね。それと同時に、BIACというビジネスのアソシエーションがあって、TUACといってトレード・ユニオンの代表がいて、だから、労組と経済界の代表が必ず座っているわけです。
 その中で今、私が2年前から仕掛けているのが、いわゆるシビルソサエティが抜けているわけなんですね。そこでもって埋め込みたいと思っているので、シビルソサエティって何かって、またすごい議論になるので、一つはファンデーションをアクターとして持ってこようと思って。ですから、2年前から1年に2回ワークショップ開いて、まず、一番最初のしょっぱなは、グリーンに関してやっているファンデーションを集めてワークショップやって、OECDのことを知っていただいて、どういうレベルでコミットしていただけるかということを協議しています。非常に乗ってきてくださって、今、今後、グリーンからほかの分野に移していこうということを考えています。
 ですので、ワークショップとかいろんな、先ほど一番最初にはグローバル・フォーラムって話したんですが、そこにも招待して参加していただきます。ですので、いろいろとこっちが仕掛けなくちゃいけないんです。単純に来てくださいじゃだめで、コンビンスしに行って、我々が何しているかとわかっていただいた上でもって、具体的な場を設定して、そこでもって発表していただいて共有すると。ファンデーションはうまく何かのっかりそうになっています。
○有本 それじゃ、小林先生。
○小林 早稲田大学の小林ですけれども、ありがとうございました。
 モジュールベースドの話がありまして、ど真ん中にInovation Performanceという、多分ここが一番重要なんじゃないかなというのが書いてあるんですけれども。
○原山 ちょっといまいちですね。
○小林 これは何なのか。要するにイノベーションとして、イノベーションのパフォーマンスをどうやって上げるのかと、そういう方法論なのかなとは思うんですが、その内容が何なのかというのと、それから、いわゆるイノベーション一般論ではなくて、かなり分野によっても違う部分あります。例えばICTとかエネルギーとかライフ、そういう個別の分野のイノベーションと、このイノベーション一般論の関係みたいなものがどうなるのかということ。
○原山  今、これは一番最初のステップでもって9つの分野というものを想定しているということで、この中でも9つ同時に進めてはいません。ですので、そのPublic Sector Reserchを一番最初に、それは何かというと、一番情報を持っているからなので、そこをアタックして、次に今、Inovative Entrepreneurshipというのもやっています。ですので、次から1つずつ詰めていくという作業ですね。
 そのInovation Performanceというのは、やはり一番コアの部分で、イノベーション政策をやったときに実質何が起こったかというのは検証しなくちゃいけなくて、それがうちのカスタマーから要求されていることなんですね。それ、今までデータを持っていたところが、データだけではなくて、もっと質的な分析もしなくちゃいけないというので、これは広げている。
 ですので、逆に言えば、ここの中で興味持つ場所があるとすれば、そこにインプットしていただければいいんです。
○小林 個別の分野のいろんな情報をそこに入れていくと。
○原山 それは、ベースは、うちが既に持っているレポート、山ほどあります。それをこの中にリンクさせると。それから、足りない部分は、それこそ13年度、14年度で走らせるプロジェクトでもってカバーしていく。
 先ほど一番最初に言ったように、このInovation Performanceというのは13年、14年の大きなプロジェクトの頭になっています。それは進めながら、出てきたものはこの中に入れていくと。
 それから、セクターベースの話というのは、また委員会ベースに戻るんですけれども、委員会ベースでやったもの、議論したもの、またこれをこっちにリンク張らせていくと。
 ですので、これはこれで個別のものではなく、既にあるものを、廃品利用じゃないですけれども、活用しながら、プラスに付加価値をつけていくというアプローチです。
○平澤 未来研の平澤です。どうも、風邪を引いていて、ひどい声ですが。
 おくれて来たので、もしかしたら聞き逃したかもしれないんですけれども、実は私、経産省の江藤学氏がパリにいたとき、10年前ぐらいでしょうかね、OECDのMONITと略称するディスカッショングループに数年参加したんです、彼とですね。それで、まさにイノベーション、これ、ナレッジベースのイノベーションというようなくくりで議論をやったんですけれども、そのときに既にEUには、後に★プロイノとしてまとめられるデータベースがあって、イノベーション関係のまさにパフォーマンス、それからイノベーションの政策の方法と、それともう一つは何でしたっけね、何か3つの局面をデータベースにして、それについての年度的に見直していくような、そういうことをやっていたわけですね。そのメンバーが中心になって、MONITで議論をしていた記憶があるんですが。それで、質問の一つは、EUの、今も続いていると思いますけれども、そのデータベースとどういう関係にあるのかということが一つなんですけれども。
 もう一つは、これ、非常に現実的な話になるわけですけれども、そのころ議論した話と、今実際に経済産業省でポリシーメーカーたちがつくる政策との間のギャップが余りにもあるわけですよ。それで、これはいかにして埋めていったらいいんだろうかと。もう絶望的ですね。経産省の方はいらっしゃるかもしれないけれども、これは接近戦で我々議論をしているんですが、要するに、イノベーション・ポリシーの事前評価を★パネルでやっているわけですね。ですから、どの程度イノベーションに関して理解し、データを踏まえた政策を提案しているかというようなこと、すぐわかるわけなんだけれども、こういうデータベースがあったとして、あるいは原山先生がお考えようなものができたとして、それを彼らがどういうふうにして利用できるようになるだろうかというところが2番目の質問です。
○原山 まさにちょっと先ほども触れた点なんですが、この構想というものを委員会に諮ったときに、最後のポイントとしてラーニングスペースということを言いました。これは、ポリシーメーカーの方たちが今後何か新しいものをやるとき、あるいは今のものを改善するときに、じゃ、ほかではどういうふうにしているのか。失敗は繰り返さない。こういうことを大体予測できるということを知るために、例えば自分の目的がこれで、それに対するツールはこういうのがあって、どこどこの国ではこういうツールを使ってこうなったというのが出るような、理想的になるわけなんです。
 それは、委員会のメンバーの方たちは、そんなの我々は必要じゃないというふうにおっしゃったんです。なぜかというと、我々はもう既にそういうことを知っているし、何か政策するときにはもう既に自分たちは機能持っているから必要ないと。
 でも、いろんな議論していて、まさに今、平澤先生がおっしゃったように、本当に何か新しいのをつくるときに調査してやっているかというと、必ずしもそうじゃなくて、部分的な情報だけ集めて、その方向に、初めからのこういう目的があって、それに、方向にのっとったもののエビデンスをつくってやっているわけなんです。であれば、やはりもっと広い目で見るようなツールが必要だというのが我々の認識です。
 ですので、これからのその作業としては、やっぱりプロモートしなくちゃいけなくて、キャピタルに行って、その各国政府のいろんな省庁の方たちにお会いして、こういうふうな使い方がありますとか宣伝していかなくちゃいけない。それは日々のインタラクションでもってやるしかないと思っています。
 一つは、我々がやっているのは、イノベーション・ポリシーのカントリーレビューというのがあります。それは、各国に手を挙げていただいて、評価してくださいと言われたとき、そこに行ってやるんですけれども、第三者的に見るので、今おっしゃったように、1つのものだけじゃなくて包括的に、360度で見ます。それも使っていただくと、どこに弱点があって、どこを強化するべきだというのがある程度クリアになると。それも全体的なイノベーション政策、あるいは、ここが今の課題なの。例えばスウェーデンの場合には、アントレプレナーシップというのが非常に弱いという認識だったのか、スウェーデン政府は、特にそこに対してのアセスメントをしてくれと言われて、スウェーデンのカントリーレビューでは、そこのチャプターがあります。
 ですので、そういうふうな使い方というOECDの使い方をしていただくことも一つだと思う。何かというと、自分たちで自分を直すってなかなか難しいことなんですよね。しかも、これまでのレピュテーションがあると、その上で積み重ねていくわけですから。
○平澤 ★プロイノのほう、もう一つ、データベース。
○原山 データベースは、今ここのIPPの話をきょうは中心にしましたけれども、うちの中には5つの課があって、1つの課が、まさにデータを取り扱っている課があります。そこは従来的に言えば50種です。OECDができる前から、そのあれがあったのかな、そのコミッティがあって、★ネスティなんですけれども、その委員会を回している課があって、そこはかなりEUからファンドをもらっています。ということは何かというと、データベースに関しては一緒に協働作業をしています。うちはどちらかというと委託されて作業をしているのと、お互いに相乗りでもって、うちからの発注もしていますし、共有で使えるものにしていくと、そっちのレベルでやっています。
○有本 あと一つ、二つ。どうぞ、鈴木先生。
○鈴木 GRIPSの鈴木ですけれども、すみません、おくれて来て、ちょっと一番聞きたいところを聞けなかったんですけれども、申しわけないですけれども。
 来年、再来年、このCSTPのイニシアティブで新しいツールとかテクニックとかを開発するということが書いてあるんですけれども、私、研究者としては、こういうやっぱりInovation Performanceをどうやってはかるかとか、どうやって分析するかとか、一番興味があるんですけれども、何かオスロ・マニュアルに相当するようなイノベーション研究のイノベーションというのが、アイデアをお持ちなんでしょうか。
○原山 これは、どういうふうにこのテーマを決めていったかというと、CSTPの中で議論を重ねていて、各国に持ち帰っていただいて、その政府としてこういうのが課題だということをまたフィードバックしていただいて、その共通部分としてつくり上げたのがこのテーマです。
 具体的にどう走らせるかというと、通常の場合には、こういうときにはエキスパートを各国政府に指名していただいて、そのエキスパートグループをつくります。そこでもって議論を重ねて、その体験を持ってきた上でもって最終的にレポートをしていただいて、それをCSTPに持ち帰って発表すると。
 逆に言えば、日本の試みというものを逆にインプットしていただくことを非常に私としては期待しているわけです。既に走っているわけですけれども、13年度、14年度なので、どこまでこちらとタイミング的に合うかわかりませんが、途中経過でも日本のインプットとしていただくことによって、我々としてはそのプールが広がると。かつ、ほかの国も同じふうに作業していただくものですから、そこからの情報も日本は得ることができる。そういうスタンスです。
○鈴木 今のところ、何か特定の新しいツールなりサーベイなりとか、そういうのは特に出てきていないですか。これから。
○原山 今のところ、具体的に走っているのは、ちょっと前倒しでやっているのはGSFって、グローバル・サイエンス・フォーラムなんですけれども、あそこはどちらかというと計量的じゃなくて定性的なほうの分析しています。
 具体的に何しているかというと、CERNってありますね、ジュネーブの近くなんですけれども、あそこの問題意識、何かというと、世界じゅうからお金を集めてやっているんですが、経済効果は何だということに関しての答えがなかなかないので、それをうちに委託されました。CERNだけでは委員会では、CERNだけでは1つの類型しかわからないので、フェルミと、それから日本の、どこだっけな、1カ所、3カ所。その3カ所の事例をもとにして、大型インフラに対してインベストメントしたときの波及効果は何かということをレポートするのがGSFでやっています。それ、この13年度、14年度の前倒しでやっています、今具体的に走っているのは。
 13年度と14年度は、★ネスティとかが一緒になって、ここでもってプロジェクトを走らせると。
○有本 あと一つ、二つぐらい、よろしいですか。
 ちょっとインタラクティブに深まっていないので申しわけないですけどね。原山さんはまた9月に帰ってきますから、そのときにまたやりましょう。
 どなたかおられた。手が挙がっていますか。じゃ、これでいきますか。
 もう1件、はい、どうぞ。どなたでしたっけ。もういいですか、それじゃ。
 それじゃ、これで原山先生は終わりにしたいと思います。どうも本当にありがとうございました。(拍手)
 それじゃ、次がゴードン・コンファレンスの報告で、実はゴードン・コンファレンスは、ご存じのようにニューハンプシャーでずっとハードサイエンスをやっていて、若い人が集まって、すごくイノバティブにやっているんですけれども、この科学技術政策については2回目でしたっけ。3回目かな。2回目。私、びっくりしたんですけれども、これを報告しますけれども、これにぜひ、ここに集まっている方は次は必ず出ると。彼しか出ていないんです。非常に寂しい話で、情けないんです。というところで、ぜひちょっと報告をしておきますので、よろしくお願いします。
○小山田 GRIPS及びJST-CRDSの小山田です。私も実はフル参加というわけではなくて、後半2日だけの参加になったんですけれども、簡単に概要を報告させていただきたいと思います。
 ゴードン研究会議、ゴードン・リサーチ・カンファレンスについては、既にご存じの方もおられるかと思いますが、かなりもう長い歴史を持っていまして、科学技術政策は比較的新しい分野で、今までもいろいろな分野で毎年数多く開催されています。参加者は1週間泊まり込みで会議すると。基本的には、ゴードン・リサーチ・カンファレンスのテーマが科学のフロンティアを拡大するということで、発表されていない議論であるとか課題とかをシェアするということもありますので、基本的には、その議論の内容は発表禁止ということ。会議場の外では発表してはならないということになっていますので、今回は余りその中身については触れられません、すみませんが。
 科学技術政策については2000年から隔年で開催していまして、実は今回、すみません、7回目になりますね。これが過去の会議になります。
 ことしは、このScience and Technology Policy in Global Contextということで、グローバル化の中で科学技術政策をどうするかということを議論しました。すみません、このテーマはちょっと違うテーマを書いてしまいましたけれども、会場がニューハンプシャーというところで、今月の前半に開催されています。チェアは、ジョージア工科大のスーザン・コズンズと、イギリスのエクセター大学のジャック・スティルゴーになっています。参加者は約120名で、研究者や博士課程大学院生、ポスドク以外にも、政府機関関係者やシンクタンクの方なんかも来ています。また、アジア、アフリカ、南米等からも参加しています。南米やアフリカ及びポスドクに関しては、参加するための旅費の補助等もありました。
 ことしから始まったのは、実はゴードン・リサーチ・カンファレンスの前に1日半、大学院生・若手を対象としたゴードン・リサーチ・セミナーというものを開催していまして、こちらのほうがことしから始まったところです。
 会場は大体こんな感じで、ボストンから北側にちょっと行ったところの完全なリゾート地になっています。
 会議内容は、基本的には午前と夜に発表して、25分、講演者が発表して、15分質疑というセットです。基本的に、発表者は招待者が中心ですけれども、一部申請者がいます。内容は未発表である。先ほど申しましたように、未発表であることが基本ですけれども、実際は、何か最近出した報告書の紹介みたいなところもありますし、事業紹介みたいなのも若干ありました。基本的に、ディスカッションリーダーの役割が重要で、先ほどもありましたように、なるべく参加者内で意見をシェアするということもありますので、質問もなるべく多様性を確保しようとしますし、時間切れになっても質問だけは全員言ってもらって、そこで終わるという形になっています。
 あと。ポスターセッションもありますけれども、こちらのほうは若手中心で、また、研究助成機関等による事業紹介などもあったということです。
 すみません、このスライドはちょっと入れていないんですけれども、お手元の別添と書いたプログラムを見ていただければと思うんですが、ことしのテーマはこのようになっています。基本的には、グローバル化に対してどういうのをやるかということですね。
 私が入ったのは6からになっています。なので、すみません、1から5の内容は私も聞いていないので具体的なことは言えませんが、基本的には、知識や資金、お金、知識みたいなものがグローバル化に、グローバルでつながっているのに対して、それをどういうふうにマネージするかということのテーマが主になっています。
 もう一つ、この会議の特徴としては、ネットワーク形成に対して非常に時間が多く割かれていまして、自由時間での交流であるとか食事の間、あと、夕方と夜の会議の後には必ず毎日バータイムということで、実はここでいろいろ議論して、飲んだり食べたり、一緒に遊びながら、実は結構違う分野の人と交流しているというのをよく見られました。
 これが参加者ですけれども、真ん中の前のほうにいるのがチェアのスーザン・コズンズ、隣がジェニファー・カズマ、バイスチェアですね。例えばクラーク・ミラーさんなんかは温暖化の人ですし、ゴードン・デイさんはIEEEの今のプレジデントです。後ろのほうには重鎮のアル・タイクさんであるとか、あとほかにもDOS、国務省であるとか、NSFであるとか、あと、トリプルエスのフェローなんかも参加していました。
 次回の会議のテーマであるとかチェアも実は最終日に決まったんですけれども、次回はScience & Technology Policy System(s)ということで、国や地域や課題といった、そういった分野ごとのシステムの違いが政策にどういうふうに影響を与えるか、その効果的な政策をどうするかという話を議論したいということでした。
 もう一つテーマは、これは普通のゴードン・カンファレンスであれば単に知識の拡大であればいいんですけれども、この会議はやっぱり違うだろうというふうな議論があって、実際のプラクティスにつなげるために、そのプラクティショナーをどんどん巻き込んでいくべきじゃないかというような議論がありました。また、欧米だけでなくて、アジア、アフリカ、南米からの参加も引き続き促すということを考えています。
 次回は、ジェニファー・カズマさんがチェアになるということです。
 以上です。
○己斐 ありがとうございました。
 そしたら、もう大分時間も押しておりますが、最後に、NISTEPの桑原所長より閉会のあいさつをちょうだいしたいと思います。
○桑原 すみません、聞いていなかったので、心の準備ができていませんが。
 きょうは原山先生、非常に多面的にお話しいただいて、ありがとうございました。私も何か断片的にはいろいろ知っていることもあったんですけれども、きょうのお話を伺って、いろんなものがつながって、この2年間、何をおやりになったかというのも非常によくわかったという感じがいたします。
 ご議論の中でもありましたけれども、OECDへの対応というのも、日本もいろいろ縦割りなので難しいし、省庁間縦割りだけじゃなくて文科省の中もいろいろ縦割りになっていて、少しでも何とかしようということで、研究を通じてできることということで、そこにいますけれども、伊藤さんというSciSIPの担当室長をヘッドにして連絡会なるものをやっていまして、例えばイジチさんとか、それから日本の代表パーソンの方、ナガノ先生とかも入っていただいて、それから本省とCRDSで、情報を集めると非常によくわかるんですね。そうじゃないときは、何かああいう文書が回ってきてもさっぱりわけわらかなかったのものが、そういうので一応話をこなしていると意味がとらえられて、何かこれはほっとくとまずいんじゃないかというような議論がようやくできるようになるということで、一応そういうグラスルーツのこともいろいろかみ合わせながら、OECDがいろいろどんどん動いているということに対応して、日本側のプロジェクトもぜひ連動して進めていきたいと思っております。キーパーソンの黒田先生なんかもいらっしゃいますので。
 ということで、感謝を申し上げて、あいさつにします。ありがとうございました。(拍手)
○己斐田 それでは、本日の会議は以上になります。
 皆様、本日は本当にお越しくださってありがとうございました。気をつけてお帰りください。
 

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