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成果・資料

【CRDS】 山形イノベーションセミナー クローズド・ワークショップ 「イノベーション測定」

タイトル

山形イノベーションセミナー クローズド・ワークショップ 「イノベーション測定」

英語タイトル
著者名

黒田昌裕 上席フェロー

岡村麻子 フェロー (政策・システムユニット)

福田佳也乃 フェロー (政策・システムユニット)

三宅隆吾 フェロー (政策・システムユニット)

渡邊康正 フェロー (政策・システムユニット)

キーワード
発行日

2009/3/1

出版者

独立行政法人 科学技術振興機構 研究開発戦略センター 政策システムユニット

シリーズ番号

CRDS-FY2008-WR-16

URL

http://www.jst.go.jp/crds/pdf/2008/WR/CRDS-FY2008-WR-16.pdf

シリーズ名

ワークショップ報告書

概要

エネルギー枯渇、環境問題といった全人類的課題を制約として持続的経済発 展を可能とするため、また同時に、激化する国際競争に勝ち抜くためには、イ ノベーションの効率的達成が不可欠であるという認識のもと、各国でイノベー ション創出のための施策が盛んに行なわれている。



また一方で、エビデンス・ ベースの科学技術・イノベーション政策への要請が高まり、研究開発等のイノ ベーションのインプットがどの程度社会的・経済的価値に結びついているか、 定量的なファクトの提示が要求されるようになっている。このような状況の中、 米国、欧州をはじめとして、イノベーションあるいはイノベーション政策の効 果の測定に向けた政策ニーズがこれまでになく高まり、様々な取り組みが進んでいる。



我が国のイノベーション測定の現状を把握し、課題解決のための方策を考え るため、(独)科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)、内 閣府経済社会総合研究所、東北公益文科大学の主催により、「山形イノベーシ ョンセミナー」クローズド・ワークショップ「イノベーション測定」を平成 20 年 11 月 26 日に開催した。



本報告書は、その議論について、とりまとめたもの である。本ワークショップは以下の 3 つのセッションからなる。

  • セッション 1「イノベーションとその効果をどのような測定手法や指標でとらえるのか」
経済学、計量経済学、計量書誌学による既存のイノベーション測定の試みに ついて、以下 3 本の研究報告により紹介された。 ・イノベーションの成果の経済学的評価としてマクロ、産業別の TFP(全 要素生産性)計測と、市場環境や研究開発も含むより広いイノベーショ ン指標として無形資産の推計 ・企業レベルでのイノベーション過程をとらえるために、イノベーション へのインプットとして研究開発データ、中途成果のアウトプットとして 特許データ、さらにアウトカムとしての企業パフォーマンスの経済デー タを、企業レベルで接合するデータベース開発の取り組み ・イノベーション過程のより上流である科学と技術のリンケージを探るた めに、特許に引用された論文の情報を用いて、特許発明の源泉となった 科学知識の生産構造を明らかにする試み これらの試みでは、イノベーションの何をとらえることができ、何をとらえ ることができないのか、利用可能なデータや方法論を中心に議論された。また、 これらの試みは、研究者や研究者チームに依存している。下記セッション3に つながる、制度的課題も提起された。

 
  • セッション2「イノベーションのダイナミズムは測定し得るか」
イノベーションの本質は、様々なアクターが介在し相互に作用しながら、同 時に不確実性を持ったダイナミックな現象にあるが、これを測定することはで きるのだろうか。セッション2では、セッション1より議論の幅を広げて、経 済学、計量書誌家の専門家だけではなく、技術の専門家、政策担当者との対話 を試みた。CRDS 産業技術ユニット作成の産業技術俯瞰図、経済産業省作成の 技術ロードマップ、さらに CRDS 作成の NIES(ナショナル・イノベーション・ エコシステム)俯瞰図を議論の題材として、イノベーションの測定、指標作成 が、どのようなことを考慮に入れて行なわれるべきか、議論された。

 
  • セッション3「国際比較を視野に入れたイノベーション測定における我が国の望ましい統計制度とは」
諸外国におけるイノベーション測定の戦略的な取り組みと比較すると、我が国 はどのような状況にあるだろうか。まず OECD や欧米諸国における戦略的なイ ノベーション測定の取り組みの現状紹介と我が国の対応状況の整理を行なった。 続いて、政策担当者がイノベーション測定への取り組みと政策ニーズを紹介し、 さらに統計担当部局より科学技術関連統計の紹介を行なった。体系的な統計整 備及びに統計機構のあり方も含め、今後我が国として的確なイノベーション測定 を行うためには、どのような戦略を持つ必要があるのか議論を行なった。

 
今回のワークショップでは、イノベーション測定に関連する研究者、科技政 策関連の政策担当者、統計担当者、イノベーション測定を国際的に推進する立 場の専門家、さらに実際に産業界でイノベーション創出に取り組んだ経験を持 つ技術専門家等が、それぞれのバックボーンは異にしながらも、一同に会し議 論を行なった。より的確なイノベーション測定を進めるためには、日本におい ても政府横断的な戦略的取り組みを始めるべきであり、それを検討する「場」 の設定が不可欠である。



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