お知らせ
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2018年07月02日
【開催報告】シリーズ「具体的事例から考える科学的知見を活用した政策形成のあり方」(第3回) 「行政へ市民をどう巻き込むか~ICTプラットフォームちばレポの事例から~」を開催しました。
SciREX-科学技術イノベーション政策研究センター
千葉市では人口減少や財政難といった課題を踏まえ、ICTを活用して市民に街づくりへ参加してもらう市民協働プラットフォーム
「ちば市民協働レポート(以下、ちばレポ ) 」 を導入しています。
今回のセミナーでは、「ちばレポ」の導入のきっかけやサービス開始までの障壁、「ちばレポ」を活用した現在の取組みをご紹介いただきました。
日時 2018年6月20日 (水) 18:30-20:00
場所 霞ヶ関ナレッジスクエア エキスパート倶楽部
主催 政策研究大学院大学 科学技術イノベーション政策研究センター
話題提供者 吉原 睦(千葉市市民局市民自治推進部広報広聴課 上席)
モデレーター 森川 想(東京大学大学院工学系研究科 助教)
参加者 22名(関係府省、研究機関、大学、民間企業、学生等)
概要 冒頭では、「『ちばレポ』は、ICTの活用を通して地域課題を市民と行政または市民と市民の間で共有し、合理的・効率的に解決することを目指している仕組みです。「ちばレポ」を通して街づくりへの活発な市民参加を促進し、従来はインフラの不具合等を通報してくれた市民と行政の間だけで共有されていた情報を共有することでオープンガバメントへ挑戦しています。」と導入の経緯を話されました。
具体的には、市民が日常生活の中で気づいた道路のひび割れや公園の落書き等を、撮影し市へ送信すると管轄部署へ報告されます。損傷の程度によって、職員が対応すべき案件と市民に協力を呼びかける案件に分類され、効率的に修理ができる仕組みになっています。報告者の約8割が30代~50代のサラリーマンという行政との接点が少なかった層であることも特徴的です。市民と行政との新たなコミュニケーション回路を開くことができたとのことです。一方で、登録者やサポーター、アクティブユーザーを継続的に伸ばしていくことが現在の課題です。
平成28年11月から始まった新たなプロジェクトでは、「ちばレポ」をモデルに全国の自治体で利用可能なプラットフォームの構築を目指し、東京大学との実証実験を開始しました。このプラットフォーム「My City Report」では、「ちばレポ」の仕組みに加え自動車に設置したスマートフォンで道路を撮影し自動送信した画像から路面の損傷状況を自動判定できる機能が加えられています。計画では、来年度からの共同運営を目指し、現在、コンソーシアム設立の為の準備会設置を進めています。今後の展望としては、「将来的には防災・防犯、観光、教育)などといった他分野にも活用を広げていきたい」とのこと。
質疑応答では、「他の市区町村が同様の仕組みを実施する際の経費はいくらか。」「IT慣れしていない高齢者への対応やプライバシーへの配慮について」「導入にあたって内部の反発はなかったか」など多くの質問がされました。また、「レポートの数を増やすだけでなく、レポートの質を高める工夫も大切にして欲しい」といったコメントも寄せられました。
(文責:SciREXセンター事務局)
配布資料
当日の発表資料は以下よりご覧いただけます。(提供:千葉市)
吉原 睦(千葉市市民局市民自治推進部広報広聴課 上席) 資料