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2022年06月21日-
【開催報告】第41回SciREXセミナー『ミッション志向で社会変革型イノベーションをどう進めるか?』
SciREX-科学技術イノベーション政策研究センター
開催レポート: 2022年7月11日に開催したSciREXセミナーでは、科学技術振興機構 研究開発戦略センター(JST-CRDS)から発行された戦略プロポーザル『ミッション志向型科学技術イノベーション政策と研究開発ファンディングの推進』を元にした講演と、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局 井上諭一 事務局長補を交えたQ&Aセッションを行いました。 冒頭の講演では、JST-CRDSの小山田和仁フェローより戦略プロポーザルの概要を紹介。ミッション志向型科学技術イノベーション政策を、「持続可能な社会の構築などの社会的課題解決に向け、現在の社会経済システムのあり方そのもの変えていくということを視野に入れた総合的な政策アプローチ」だと説明。また、その特徴を「従来の科学技術イノベーション政策の主たる担い手であった研究開発担当省庁・組織や研究者に加えて、実際の社会問題に直面するステークホルダーや複数の分野担当省庁が主体的に参画する取り組みが必要になってくる」と解説。多くの政策や機関の間を調整する役割の重要性が増すだろうと指摘。 「達成期限を定め、明確な目標を設定する。加えて分野担当省庁の持つ法規制、調達、社会実験、様々な組織とのネットワークを一体的に運用するパッケージを作り、研究開発とイノベーションを牽引していく」ことが必要であると、戦略プロポーザルの趣旨を説明しました。 講演を受け内閣府 井上事務局長補は「日本でもSociety 5.0を目指すという基本計画を掲げ、政策の流れがミッション志向になっていると肌で感じている。一方でこれまでの政策は重点分野ベースで進めてきており、どのように多くの組織や人を巻き込んでいけるのか、とても難しい課題だ」とコメント。加えて、どの省庁もミッション志向のマインドは大事だという共通理解は醸成されてきていると指摘。「理屈ではわかってるけれども、本当にできるのかが課題。全体のミッションを見た上で適材適所の差配するような人がいて、縦割りではないリソース配分ができなければ実行が難しい」と、実施上のハードルを指摘しました。 コメントを受け、小山田フェローは「やっぱり本業としてこういったものにも関わる人がいないと回らないと思います。片手間でやってしまおうとすると誰がやるべき仕事なのか曖昧になってしまう。率直に言ってしまうと、日本では仕事としてミッション志向で政策を進める人の数が足りない。現在の体制を微調整しながら進めるのはなかなか難しいと思います」と回答し、実施の難しさに同意。他国と比べた場合の行政のリソース不足を指摘しました。 その後のQ&Aセッションでは「関係省庁や産官学市民連携を本気で実施していくにあたり、関係者のコーディネートやファシリテートをしていくことができる人材が不可欠と思いました。国内外の先行事例はありますか?」といった質問や「ミッション志向の政策形成から、マネジメント、調整、能力向上などの方法論、指標開発といった点で日本の関連活動を、海外へ発信できると良いと思います」とのコメントなど、参加者から多くのリアクションをいただきました。概要 | 社会課題解決はこれまでも我が国の科学技術イノベーション(STI)政策の重要な柱でしたが、近年では社会変革までも視野に入れたより広範な取組みが求められるようになっています。このような社会変革型のイノベーションを進めるために、現在欧州を中心に取組みが進められているのが、「ミッション志向型STI政策」です。 ミッション志向型STI政策では、カーボンニュートラルの実現や高齢化社会への対応など社会変革を伴う長期戦略の実現に向けて、政府が達成期限を定めた明確な目標(ミッション)を設定し、規制や調達などを含む多様な施策・事業を総動員します。これにより研究開発の成果の活用とイノベーションを牽引していきますが、その実現のためには、社会課題に関係する分野担当省を含む省庁横断的調整が必要であり、また多様なステークホルダーの主体的かつ多様な取組みを巻き込んでいくことが不可欠です。そのため従来のSTI政策の枠組みを超えた取組みが求められます。 今回のウェビナーではJST-CRDSから発表された戦略プロポーザル「ミッション志向型科学技術イノベーション政策と研究開発ファンディングの推進」の執筆者とSTI政策の総合調整を担う内閣府科学技術・イノベーション推進事務局から登壇者をお招きし、今後どのようにしてミッション志向型STI政策を推進していくことができるのかを議論します。
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講演者情報 | 【スピーカー兼モデレータ】 【ディスカッサント】 |
日時 |
2022年7月11日(月)18:30 - 20:00 |
場所 | Zoomウェビナーにて開催 |
言語 | 日本語 |
主催 | SciREXセンター、文部科学省 |
参加申し込み、お問合せ | 下記のリンクからお申し込みください。 お問い合わせ先: scirex-center@grips.ac.jp |