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第3回SciREXオープンフォーラム「科学技術イノベーション政策の新展開」
シリーズ第九回『政策と科学の共進化 -その望ましい姿と現実、次のステージに向けて- 』
これからのSciREX事業発展に資する
知識と経験を結集

2021年2月17日、第3回SciREXオープンフォーラム「科学技術イノベーション政策の新展開」シリーズ第九回『政策と科学の共進化 – その望ましい姿と現実、次のステージに向けて – 』をオンラインにて開催しました。

第3回SciREXオープンフォーラム「科学技術イノベーション政策の新展開」

登壇者

中澤 恵太

パネリスト文部科学省

文部科学省 科学技術・学術政策局 企画評価課 政策科学推進室 室長
※オープンフォーラム開催当時

中澤 恵太(なかざわ けいた)

有本 建男

モデレーター拠点6大学

政策研究大学院大学SciREX センター 副センター長/客員教授(GiST)

有本 建男(ありもと たてお)

城山 英明

パネリスト拠点6大学

東京大学公共政策大学院・法学政治学研究科 教授(STIG)

城山 英明(しろやま ひであき)

青島 矢一

パネリスト拠点6大学

一橋大学イノベーション研究センター 教授(IMPP)

青島 矢一(やじま やいち)

平川 秀幸

パネリスト拠点6大学

大阪大学COデザインセンター 教授(STiPS)

平川 秀幸(ひらかわ ひでゆき)

川上 浩司

パネリスト拠点6大学

京都大学学際融合教育研究推進センター政策のための科学ユニット ユニット長/大学院医学研究科 教授(STiPS)

川上 浩司(かわかみ こうじ)

永田 晃也

パネリスト拠点6大学

九州大学科学技術イノベーション政策教育研究センター センター長/教授(CSTIPS)

永田 晃也(ながた あきや)

富澤 宏之

パネリスト関係機関

文部科学省科学技術・学術政策研究所第2研究グループ 総括主任研究官)

富澤 宏之(とみざわ ひろゆき)

山縣 然太朗

パネリスト関係機関

科学技術振興機構社会技術研究開発センター「科学技術イノベーション政策のための科学研究開発プログラム」 プログラム総括/山梨大学大学院総合研究部 教授

山縣 然太朗(やまがた ぜんたろう)

倉持 隆雄

パネリスト関係機関

科学技術振興機構研究開発戦略センター副センター長

倉持 隆雄(くらもち たかお)

黒田 昌裕

パネリストSciREXアドバイザリー等

政策研究大学院大学 SciREX センター 顧問/科学技術振興機構 特任フェロー

黒田 昌裕(くろだ まさひろ)

藤原 志保

パネリストSciREXアドバイザリー等

文部科学省 文教施設企画・防災部計画課 企画官(政策リエゾン)

藤原 志保(ふじわら しほ)

藤原 志保

パネリストSciREXアドバイザリー等

三菱UFJリサーチ&コンサルティング 経済政策部 主席研究員(SciREXアドバイザリー委員)

吉本 陽子(よしもと ようこ)

有本 建男 氏

有本 建男 氏

本セッションでは、科学技術イノベーション(STI)政策における「政策のための科学」推進事業(以下、SciREX事業)を共に担ってきた拠点大学・参画機関が活動開始から10年間の変化を共有し、今後のSTI政策のための科学のあり方を検討しました。今回は、モデレーターの政策研究大学院大学SciREX センター 副センター長の有本 建男 氏による進行の下、3つのパネルセッションの中でこれまでの取り組み、明らかになった課題、今後の進むべき方向性について話題提供や意見交換を行いました。

ポイント

以下、議論のポイントを司会者がまとめました。

  • 倫理的・法的・社会的課題(ELSI)やPublic engagementの基礎知識を持たない学生への教育、文系学生を巻き込んだ学際的な教育は、大学院プログラムで“つなぐ”人材の育成を行うための検討課題。
  • 政策実装型研究開発に求められる要件として、中間人材や中間組織による媒介が非常に有効。
  • 研究者側から政策に向けたシーズ・オリエンテッドなアプローチと、政策側からのニーズに答えるニーズ・オリエンテッドなアプローチ、その両方が必要。しかし、前者においては、政策担当者の要望がないことを(研究者に)認知してもらうことが難しい。
  • 社会環境の変化を見据えた長期的な研究としてできることは、エビデンスの創出、政策案の基本的なデザインの検討、その提案まで。制度化まで行うことは現実的に困難。
  • 科学技術とイノベーション振興は車の両輪。STI政策の体系化とともに、その基礎となるSTI政策が、他の政策と何が違うのか、どうつながっているのかを明確にしていくことが必要。
  • 人材育成の体系化や方法論は、現場の事例や行政のプラクティスをベースに抽象化し、また現場に戻すサイクルを回しながら作っていくもの。修士課程レベルのプログラムに加えて、理系出身者向けに博士課程レベルで科学技術政策を学ぶストリームを開始。
  • 共進化実現プロジェクトでは、何をするか、どういうエビデンスが必要かを考えるようなプロセスで行政担当者と連携する。これは、SciREX事業が次のステップに上るきっかけとなる。
  • 参画する拠点大学や共進化実現プロジェクトに関わるメンバーの固定化を懸念。一種の経路依存性にはまり、ロックインされている状況を解除して、新たな進化の過程に乗せていくことが今後の大きな課題。
  • 政策に役立つデータは一部。データを整備すれば、良いエビデンスが得られるわけではない。エビデンスを出すことは容易ではない。その点で、世の中の人々の期待を裏切らないかを危惧。昨今、事業者などの実務者と政策担当者が、自由にやり取りできなくなっている。
  • STI政策のための科学の視野を広く捉え、SciREX事業が地域や民間とどのように関わるべきか、”越境するリエゾン”をどのように捉えるべきかを考え直す節目。その要因は、デジタル化やDX、ブロックチェーンなどの技術の発達と、これに伴うグローバル社会の急激な変化。
  • 行政官は行政の世界しか知らず、研究者は民間や行政の立場に立ったことがないところで一生懸命コミュニケーションを取ろうとしている印象。行政のローテーション人事で担当者が変わることにより、企画立案時の段階からプロジェクトの勢いが落ちてしまい社会実装される政策になっていかない。日本全体で見ると知的資源の無駄になっている。
  • (10年経って)STI政策のための科学の範囲の再検討が必要。SciREX事業でやらなければいけないことや、他の政策のための科学とつながって得られることの先読みも必要。
  • SciREX事業全体の今後の方向性における大きな論点は、価値の多様化、技術の発達、今後の人材育成、エビデンスと政策決定の架橋、科学と政治・行政のコミュニケーション、信頼の形成。
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