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第3回SciREXオープンフォーラム シリーズ第7回 政策と科学の共進化
-その望ましい姿と現実、次のステージに向けて-

2021年2月12日にSciREXオープンフォーラム『科学技術イノベーション政策人材育成の現実と未来』を開催しました。前半ではSciREXの教育プログラムを終了した方へのアンケート調査結果を解説しました。後半では調査結果を踏まえ、基盤的研究・人材育成拠点の5拠点・6大学の修了生と文部科学省の西條正明 文部科学省大臣官房参事官(当時)をお招きし、科学技術イノベーション政策のための科学を推進するために必要な知識や能力、求められる人材像について議論しました。

第3回SciREXオープンフォーラム「科学技術イノベーション政策の新展開」

登壇者

城山 英明

モデレーター

東京大学 STIG拠点長/公共政策大学院 教授

城山 英明(しろやま ひであき)

林 隆之

プレゼンター

政策研究大学院大学GiSTプログラム ディレクター/SciREXセンター長代理/教授

林 隆之(はやし たかゆき)

西條 正明

コメンテーター

文部科学省 大臣官房参事官

西條 正明(にしじょう まさあき)

嶋田 義皓

修了生

国立研究開発法人科学技術振興機構 研究開発戦略センター
フェロー(政策研究大学院大学 GiST 修了生)

嶋田 義皓(しまだ よしあき)

見田 真木子

修了生

NEC デジタルビジネスプラットフォームユニット
デジタルビジネスオファリング本部 エキスパート・コンサルタント(東京大学 STIG 修了生)

見田 真木子(みた まきこ)

六田 充輝

修了生

株式会社ダイセル 事業創出本部 副本部長(一橋大学 IMPP 修了生)

六田 充輝(むつだ みつてる)

吉田 篤

修了生

株式会社三菱総合研究所ヘルスケア & ウェルネス本部 研究員(大阪大学 STiPS 修了生)

吉田 篤(よしだ あつし)

祐野 恵

修了生

京都大学学際融合教育研究推進センター 特定助教(京都大学 STiPS 修了生)

祐野 恵(ゆうの めぐみ)

藤山 泰成

修了生

熊本大学経営企画本部 主任 URA(九州大学・CSTIPS 修了生)

藤山 泰成(とうやま やすなり)

「アンケートから見えてきた成果と課題」

冒頭では、林隆之 政策研究大学院大学教授より、2020年にSciREXセンターが各教育プログラムの修了生や関係する行政官、研究者に対し行ったアンケート調査結果を紹介。プログラムによって在籍時に社会人であったかどうかが拠点によって大きく分かれ、それに伴い何を求め教育プログラムを受講したのか、目的や修了後の進路、もともと持っている専門性も異なっていると説明しました。政策研究大学院大学一橋大学九州大学の拠点は社会人学生が多い一方で、京都大学・大阪大学東京大学の拠点はその割合が少なくなっています。

修了生の属性

修了生の属性

SciREX拠点における教育プログラム受講時の専門分野

SciREX拠点における教育プログラム受講時の専門分野

社会人学生は政策科学、経営学、社会学といったバックグラウンドを持っており、進路も元いた職場や業界へ戻る方が多い一方、社会人以外の学生には物理学、医学といった自然科学も含むバラエティのある構成になっており、進路も多彩です。

こういった学生がSciREXの教育プログラムが目的としている4つの学び、「科学技術やイノベーション自体の知見」、「政策を体系的に理解するための知見」、「分析の手法や方法論」、「研究や政策の遂行に関する実務的能力」をそれぞれどの程度身に着けたか聞いた設問でも、多くの方が「身についた」と感じているとのこと。一方で自由記述では社会人学生とそれ以外の学生とでは違いがでてきているといいます。

例えば、社会人学生の意見としては「行政官との意見交換ができる」、「継続して深く考えることができる」といった文言が目立ちます。一方、それ以外の方では「専門領域と適度に離れた学習ができた」、「違う分野の人たちと議論することができた」、「社会の多様性を知ることができた」、という意見が多く、目的として設定してきた「4つの学び」とは異なるところでも効果が出てきているようです。共通して改善が必要との意見が見られたのは「知識の体系化」です。科学技術イノベーション政策は分野横断的な領域であり、まだ理論として弱い点があると感じる学生も少なくないといいます。

満足度の理由:自由記述例

全体的に満足度も高いものの、どういった知識を学べたかといった点とは直接的に関係はなく、自由記述はそれを裏付けています。

SciREX事業の拠点大学や関係機関のネットワークの活用

このフォーラムのテーマの一つである修了生や関係者同士のネットワークについては、修了生と行政官で多少差があるといいます。修了生はネットワークを積極的に活用し、コミュニケーションの機会やセミナーの開催を望んでいると回答しています。一方で行政官はネットワークを活用したいという回答が少なくなっており、修了生と比べればその重要性を実感として持っていないのではないか、と説明しました。

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「SciREXで教育すべきこととは?」
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