第2回科学技術外交シンポジウム開催
4年間の科学技術顧問活動を振り返り、
今後の在り方を考える
科学技術外交推進会議委員が振り返る顧問制度
STI for SDGs/「日本型」科学技術顧問/人材育成/産学官協力
岸顧問の講演を受け、科学技術外交推進会議委員からは、科学的エビデンスに基づく外交への評価、STI for SDGsに向けた科学技術外交への期待、人材育成の課題などのコメントが寄せられました。
中村道治氏(科学技術振興機構顧問)は、開発途上国がSTI for SDGsでパイロット国に指定されることを機に発展を目指す中、日本はパートナー国として科学技術外交面で好機を迎える一方、社会実装では出遅れていると指摘。STI for SDGsプログラムの活用に前向きな大学と産業界に期待を寄せました。
有本建男氏(政策研究大学院大学客員教授)は、世界から信頼される科学技術顧問制度の「型」の必要性について言及。縦割り行政で中間的な立場にもかかわらず、日本の顧問制度は世界でも信頼されていると評価した上で、これまでの思想と取り組みを継承し、時代に合わせた変革が必要だと述べました。
喜連川優氏(国立情報学研究所長)は、東京大学が手掛けるアフリカからのデータを用いたマラリア発生警報システムを例に、途上国でもデータの重要性が認識されている現状から、データによる新たな支援が主流になるとして、リアルタイムの課題を把握した外交が重要だと訴えました。
竹山春子氏(早稲田大学理工学術院教授)は、「研究教育現場では、科学技術外交の知名度が低い」と問題を提起。科学技術外交における人材育成の重要性を指摘し、サイエンスの専門知識を持って技術政策への貢献を目指す、博士課程などの若者が参画できるコミュニティ形成が重要だと述べました。
松見芳男氏(伊藤忠商事理事)は、顧問制度の発足で日本の科学技術外交のプレゼンスが高まったと評価。「科学技術外交で重要となったSATREPS(地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム5)のように、今後はSDGsやSociety 5.0※ともリンクして途上国におけるイノベーションの社会実装を強化・拡大すべきだ」と今後の課題を挙げました。
※第5期科学技術基本計画の中で使用される日本が提唱する未来社会コンセプト。IoT(Internet of Things)、ロボット、人工知能(AI)、ビッグデータ等の新たな技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れてイノベーションを創出し、一人一人のニーズに合わせる形で社会的課題を解決する新たな社会を指す。
日本の科学技術外交をより発展させるために