SciREXサマーキャンプ2024政策提案プロセスを体験。
参加者たちが議論を深め合った3日間
初対面とは思えない活気。
多様なバックグラウンドを持つメンバーが融合した1日目
オリエンテーションに続いてグループワーク開始
オリエンテーションに続いて午後2時からは早速グループワークがスタートしました。日本語グループ9、英語グループ3、計12のグループが4教室に分かれ議論を進めます。
深刻な地球温暖化、各国の社会における分断の先鋭化など世界が多くの問題に直面する中、日本においても気象災害や迫り来る人口減少など様々な課題を抱えています。今年のサマーキャンプでは、これまで様々なイノベーションを起こしてきた科学技術の成果を享受し、サイエンスの手法を多様性をも考慮して政策に落とし込むべく、以下の9つのテーマが設定されました。
- 『STI政策におけるEBPMとデータ解析』
- 『イノベーションエコシステム(社会実装・産学連携)を推進する人材育成』(日本語、英語話者による2チーム)
- 『アントレプレナーシップとSTEAM教育』(日本語、英語話者による2チーム)
- 『課題解決に向けたスマートシティの社会実装』(2チーム)
- 『エネルギー政策の国際比較と次世代エネルギー』
- 『研究開発・社会実装を強化する大型プロジェクトの立案』
- 『障がい者・高齢者の社会的包摂』
- 『生成AIとクリエイターの共存』
- 『地政学リスクに対応するためのサプライチェーンの多元化』
設定されたテーマに対し、希望等により数名でグループを構成。普段所属している大学や企業での研究に関連したテーマを選んだ人もいれば、初めて取り組む課題に挑む人もいて、各グループともまさに多様性のある顔ぶれで構成されています。グループワーク開始後は、3日間という限られた時間内で政策提言をまとめるために、盛り込みたいテーマや切り口を探す作業が早速進められていきました。
初日から議論白熱、エピソードが披露される場面も
今回のグループワークで活用されていたのが、大判のチャート表です。「メンバーの問題関心」「現在の課題」「議論の流れ」「ほしい情報」といった欄に、手書きのメモを貼り付け可視化できるようになっています。初日の今日はこのチャート表を用いたアイデア出しのほか、事前学習で課題となっていたことを発表し合ったり、ZOOMで識者にヒアリングを行ったり、さまざまなカタチで2日目の中間発表に向けてテーマを出し合うなど絞っていく作業が行われました。
そんな中、初日からひときわ活発な意見が飛び交っていたのが『障がい者・高齢者の社会的包摂』のグループです。ボードに掲示したチャート表はみるみるメモでいっぱいになりました。
「障がい者雇用の受け皿を一次産業まで広げるのはどうか」、「健常者と同じように複数の選択肢を示せる環境を作りたい」、「民間ではできないこと、例えば公的なお墨付きのある高齢者の転職市場を作れないか」などの意見が飛び交います。また留学生のメンバーが日本とは全く違う母国の高齢者労働事情を紹介するなど、途切れることなくアイデアやエピソードが披露され、明るい笑い声とともにディスカッションが続いていました。
一方で、議論が停滞している様子のグループには、メンターとして参加した教員や各教室を巡回する行政官がアドバイスをし、軌道修正を行っていきます。
今回、行政官の立場からアドバイスを行った文部科学省の望月尊暁氏と松浦大樹氏は、「実際に政策を提言するにあたり行政と民間、二つの目線から意思決定のバランスをとるのは本当に難しいところです。各グループの多様なメンバーが、意見をすり合わせ意思決定できるようサポートしていきます」、「初日の今日は、事前準備の効果もあって堅実なスタートを切れたグループが多かった印象です。政策提言が机上の空論とならないために、どのようにまとめていくのかアドバイスできたらと思います。明日も楽しみです」と話してくれました。
行政官の意見に真剣な眼差しで聞き入っていたあるグループのメンバーは、「今日は事前に調べてきたことをもとに、どんな課題があるのか議論しようとしましたが、進め方が難しく苦労していました。行政官の方に、解決策ありきではなくまず何が問題かを根本的に議論するようアドバイスをいただいて方向性が見えてきたので明日が勝負です!」と2日目に向け抱負を語ってくれました。
初日のグループワークを終え、ほっと一息の懇親会