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SciREXサマーキャンプ2022 実行委員会発足。
「多様な価値観と向き合う政策立案」をテーマに開催

表彰にも多様性を 〜結果だけじゃない。プロセスも評価〜

3日目の最終発表会は、サマーキャンプにおける一大イベントです。各グループがこれまで行ってきた議論を、発表時間12分、質疑応答5分の計17分で全体に向けてプレゼンします。議参加者からの質問、行政官と研究者からなる審査員によるコメントで、毎年議論が白熱する一大イベントです。その目玉は、なんといっても最後の表彰。参加者にとっての大きな目標です。今年は選定基準に多様性を持たせた3つの賞を設けました。課題発見・提言立案プロセス・政策提案内容・表現力の4つの観点に基づいて審査員が選ぶ「SciREX賞」(行政官部門・研究者部門)、その場の参加者全員の投票により決まる「ピープル賞」、そして議論のプロセスに焦点をあてて実行委員が選ぶ「共進化賞」です。実行委員は共進化賞の選定のために、サマーキャンプ中に幾度も各グループを訪れました。

ピープル賞は金賞をJ6、銀賞をJ4、銅賞をE1が受賞。SciREX賞は、行政官部門をJ6とE1が、研究者部門をJ4とE1が受賞しました。3つの班に表彰が固まった結果です。SciREX賞の結果発表では、審査員からの全体講評と、受賞グループへの講評をいただきました。行政官からは、「社会的・経済的・国際的状況の分析と課題の繋がりをもっと深く考えるべき」「諸外国の状況を広く分析すべき」「具体的な政策として国の財政に頼らないような政策も考えるべき」といった視点が提示され、研究者からは、「プレゼンの最初に要点をまとめると分かりやすい」「何故このデータを使うのか、何故その事例を使うのかを明示するとよい」といったアドバイスがありました。いずれも、参加者の今後に非常に役立つ的確なコメントです。

審査員を務めた文部科学省の奥篤史氏からの講評

審査員を務めた文部科学省の奥篤史氏からの講評

いよいよ最後は、実行委員からの共進化賞の発表です。私たちが選んだのはJ2、J4、J5グループでした。お互いの考えにすれ違いがないようしっかりと前提を共有しながら議論を進めていた点、アンケートを取って多様な視点からの意見を取り入れていた点、スケジュールやメンバーの個性を活かした役割分担をしていた点、答えが出ない中でも互いの意見を傾聴する姿勢を保ち、方向性を確認しあいながら我慢強く議論を続けた点などを私たちが高く評価した形です。

こうして無事に終了した2022年度のSciREXサマーキャンプ。実行委員は皆、このような大きな会を開催することの難しさを改めて感じました。何から手を付けたらいいのか手探りの状態で始まりましたが、大きなトラブルなく終えられたことは良かったです。一方、後日に開いた反省会では、今回新たに実施した事柄に関する課題も多くみえてきました。事前学習会でいかに政策立案の参考となる知識を参加者に与えられるか、サマーキャンプにおける参加者同士の交流をどのようにして促進するか、中間交流会という形から今後どのように変えていくかなどです。また、サマーキャンプ以前の準備期間をどれだけ設けるかという点や、発表内容に取り入れるべき事柄を指定するかといった点も、検討すべき事項として上がりました。次年度以降の実行委員・参加者の手で、よりブラッシュアップされたサマーキャンプとなることを期待します。

現場での運営に携わった実行委員。左から⻩、三浦、内田、小川、伊倉

現場での運営に携わった実行委員。左から⻩、三浦、内田、小川、伊倉

(SicREXサマーキャンプ2022実行委員: 小川拓馬・伊倉康太・内田祐紀哉・⻩海洪・小林清一・杉浦菜月・三浦彩音(文責))

テーマ設定への関与といった学生が主体的に取り組む工夫、オンデマンド形式による事前学習、中間交流会の設定など、今年度の実行委員ならではの工夫が多く見られたサマーキャンプでした。今後の一層の発展のためには、今回の実行委員の経験や参加者アンケート結果を深く分析し、次代の実行委員のエビデンス・ベーストな議論の糧とすることが肝要でしょう。また、全体集合写真や懇親会など、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から見送った要素もありました。刻々と変わる社会情勢の中、何のために、どのような学び・ネットワーキングの場とするかの模索は続きます。来年度もたくさんのご参加をお待ちしております。

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