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2016年10月05日
2016年ノーベル生理学医学賞大隅良典栄誉教授の論文・特許および資金調達に係る予備的分析を実施しました
SciREX-科学技術イノベーション政策研究センター
2016年10月3日、東京工業大学大隅良典栄誉教授が今年度のノーベル生理学医学賞を受賞しました。SciREX センターでは従来からノーベル賞およびその受賞者に係る研究調査を実施しており, 研究成果の一部は今年度科学技術白書で活用されました。また、「ノーベル賞と科学技術イノベーション政策 : 選考プロセスと受賞者のキャリア分析」と題し SciREX ワーキングペーパーとして公表しています。
本トピックでは、大隅先生がこれまでに公開された論文・特許・および科学技術研究費による資金調達状況についてご紹介します。
(文責: 政策研究大学院大学 科学技術イノベーション政策研究センター (SciREX センター), NISTEP 第一研究グループ客員研究員, 一橋大学マネジメントイノベーション研究センター連携研究員 原泰史)
論文の公刊数および総被引用数 | Scopus データベースを用い、大隅先生が執筆された年毎の論文数および年毎の被引用数を図示しました。1996年以降、論文の年あたりの被引用数が急増していることが確認できます。 年ごとの論文公刊数年ごとの被引用数データの抽出方法: AU-ID ( “Ohsumi, Yoshinori” 7004564486 )について抽出/出所: Scopus データベースに基づき SciREXセンター原作成 |
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オートファジー (autophagy) 分野の論文公刊数推移 | オートファジー (autophagy) 分野の論文数推移について、年ごとおよび国別の論文公刊数を図示しました。2000年初頭以降, 論文の公刊数が急増していることが確認できます。また、当該分野における国別の公刊数ではアメリカおよび中国に続き、日本が公刊数で3位であることがわかります。 オートファジー (autophagy) 分野の年次の論文公刊数オートファジー (autophagy) 分野の国別論文公刊数 |
ノーベル賞受賞に係る論文の被引用数推移 | 大隅先生によるオートファジー (autophagy) のメカニズム解明に係る学術論文を特定し, それらの被引用数推移について調査しました. 調査を行うために, 以下の手順で該当する論文の特定を行いました. 抽出方法1. NobelPrize Web 上に掲載されている Scientific Background Discoveries of Mechanisms for Autophagy を参照する.2. 文中の記載から、以下の文献を特定し, これらの論文の前方引用数について図示しました. 2-1. Takeshige, K., Baba, M., Tsuboi, S., Noda, T., and Ohsumi, Y. (1992) Autophagy in yeast demonstrated with proteinase-deficient mutants and conditions for its induction. J Cell Biol 119, 301–311. 2-2. Tsukada, M., and Ohsumi, Y. (1993) Isolation and characterization of autophagy-defective mutants of Saccharomyces cerevisiae. FEBS Lett 333, 169–174. 主な論文の前方引用数推移双方の論文とも, 公刊直後ではなく年を経るごとに引用数が増加していることが確認できます. |
科学研究費の取得状況 | 科研費の取得状況および年毎の総配分額の推移について, 日本の研究.com および科学研究費助成事業データベース (KAKEN データベース)に基づきプロットしました. 年ごとの科研費取得状況出典: 日本の研究.com 科研費取得額推移1998年以降競争的資金の獲得額が増大していること, また, 前節で示した研究論文は一般研究(C)や重点領域研究などが活用されたことが推測できます. |