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  4. 科学的知見を社会に実装することの難しさ

破壊的・インクルーシブイノベーション SDGs達成のためのヒント

2 社会課題解決を導くモダン・ツール(2019年9月開催)

第2回目のDIIセミナーでは、シミュレーションゲームを活用した予測を社会課題解決に活かす取り組みをされているEDGEofのDaniel Goldmanさん、Todd Porterさん、コラボレーティブ・デザインという手法で途上国の課題解決を目指すDSIL GlobalのTony Laiさんにお越しいただきました。  

「社会課題解決」といっても、日本で生活をする私たちにとってアフリカなどの途上国は遠く、個別地域の課題を的確に把握することは難しい状況です。解決できるソリューションを持っていたとしても、課題にたどり着くことができない、また遠く離れた地域だからこそ、不確定要素が多く進出するリスクが高まってしまいます。こういった課題にチャレンジするのがEDGEofの「Planetary Insight Center」です。

Daniel Goldman(EDGEof)氏(中央)

Daniel Goldman(EDGEof)氏(中央)

Planetary Insight Centerでは、シミュレーションゲームの理論を使って、遠く離れた地域の課題を把握し何度も解決策を試行することに挑戦しています。何度もシミュレーションをすることで、リスクを低減しより不確定要素の多い地域においても簡単にプロジェクトを実施していく方法を考えています。Goldmanさんは「シミュレーションができることで、より複雑な問題を理解することができ、それによって解決策も導きやすくなる」といいます。AIを活用して専門家の知見を大量に解析し、VRを使ってそのシミュレーションを体感できるようにします。日本であれば、気候変動を考慮した災害対応の検討の際に活用できる可能性がるとのことでした。また、ゴールドマンさんは、こういったシミュレーションはその後行動に移すことが重要だといいます。シミュレーションとこれまでの経験を踏まえて、行政、研究者、企業、学生が議論し、ビジョンを共有することが重要だと強調しました。

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

現在、エチオピアの農業の生産性向上に向けたプロジェクトが実施されており、衛星データを活用してタブレット上にサンドテーブルを作成し、エチオピア農業の灌漑、肥料、種、製品輸送の課題を明らかにし、解決策を検討しているとのことでした。また、同じくEDGEofのPorterさんからは「EDGEofはアイディアのある人が自らどんどん発信し、創造力とコラボレーション生み出す、そんなプラットフォームを目指している。新しいものを生み出す本当の信頼関係、関係構築が重要だ」とコメントがありました。

課題が複雑化し、また多様なステークホルダーが絡み合う現代において、バーチャル上でいくつものシミュレーションをし、過去の手法と比較していくことは、新しい技術やビジネスモデルを導入する際の不確実性を下げるという点において、とても重要になってくるでしょう。

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3 社会的インパクト投資の世界的トレンドと可能性
(2019年11月開催)
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