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SciREXサマーキャンプ2024政策提案プロセスを体験。
参加者たちが議論を深め合った3日間

つなぐ力、越境する力を発揮しやり切った最終日

審査員より、全てのグループに5分間のフィードバック

続いて、今年初の試みとして全グループへ各5分間ずつのフィードバックを行いました。グループごとに再び登壇し、審査員の方々からの講評を聞きます。審査員からは政策の具体的な改善点や問題提起、今後さらに議論を進めてほしいポイントなど細部に渡る意見が寄せられました。

「この構想が世界的に見て今後どのくらいのポテンシャルを持つのか。それがわかるエビデンスを補うことができれば、実際の政策として提言できる可能性が高まるかもしれない」「予算面について、公的資金以外に民間資金を活用していく方法もあるのではないか」、「このプロジェクトが本当に持続可能なのか。それをどういう形で担保できるのか、もっと細部をブラッシュアップしてほしい」、「今回の提言では規制やルールに着目していたが、ステークホルダーの利益をどう守るか以外にも、マーケット全体が成長していけるようなビジネスの新しい展開は考えられないか」など、グループ内でのディスカッションでは発見できなかったさまざまな着眼点のフィードバックを受けることができ、大きくうなずきながらメモを取るメンバーたちの姿が印象的でした。

また、完成度の高い政策提言をまとめたグループには、審査員から「この3日間で取り組んだ課題や取りまとめた政策提言に対し、今後どう向き合っていくのか教えてほしい。また将来の進路の希望は民間企業なのか省庁なのか、どう考えていますか?」という直球質問も投げかけられました。このサマーキャンプが、確実に日本の科学技術イノベーション政策に関わる人材育成の場となっている、そんな期待の高さがうかがえる場面でした。

グループごとに登壇。審査員からフィードバックを受ける

全体講評「ロジカルな思考が分かりやすい政策提言につながった」

3日間に亘る『SciREXサマーキャンプ2024』の締めくくりとして、審査員の平川教授より講評がありました。今年の印象として「ロジカルで分かりやすい提言が多かった」と評価します。

「どのグループも明確な政策課題を設定し、それに対してアプローチを行うというロジックの構造がはっきりしており、プレゼンテーションを受け止める側も非常にわかりやすかったです。これは、おそらく準備段階からメンターの先生方や参加者の皆さんが意識してきたことの表れだと思います。そしてこのことは、皆さんがそれぞれの専門分野に戻り、将来仕事をする上でも役立つ糧となるのではないかと思いました」

また、今後科学技術イノベーション分野で活躍する人材について平川教授は、「つながる、つなぐ、つなぎ直す」ことが大切だと続けます。「このサマーキャンプは、いろいろなところから人が集まってきて交わる貴重な機会です。昨日、各拠点の先生方や職員の皆さん、研究機関の皆さんが集まって教職員セッションを行ったのですが、第7期科学技術イノベーション基本計画をどうするかという議論がメインとなりました。その中で特に大きな話題としてあがったのが、離れている人間や物をどうやってつないで新しいことを生み出せるようにするのか、あるいは改めてつなぎ直すのかということでした。今あるさまざまな境界線を越えて新しいつながりを見出す力を持った人たちに、今後どんどん活躍してほしいと思います。そういう意味でこのサマーキャンプは、皆さん自身の中のつながる力、つなぐ力、越境する力、センス、それを発揮してかたちにする良い機会だったのではないかと思います」

3日間の疲れも見せず、やり切ったという晴れやかな表情で聞き入る参加者たち。閉会した後も連絡先を交換したり、名残惜しそうに懇談を続けたり、笑顔で再会を誓う様子があちらこちらで見られました。

全体総括を行う平川秀幸教授

この夏の出会いを糧に、大学や職場、それぞれの場所へ

参加者の一人に感想を聞くと「今、教育学部の3年です。普段学んでいるテーマとは全く違う分野に参加したのですが皆さんのレベルがとても高く、正直なところついていくのがやっとでした。でも、参加して本当に良かったと思います。普段お会いできない学外の方や社会人の方のお話を聞くことができて、自分の将来のイメージがなんとなく湧いてきました」と前向きに述べました。

また、省庁勤務歴二十数年で修士課程1年の参加者は「きっかけは大学院の単位が取れることが魅力で参加したのですが、期待を超えた充実感が残りました。自分の半分くらいの年齢のグループメンバーや、普段会えないような方たちと出会えたことが良い経験になりました。グループワークでは若い人たちが自由に発想できる環境を作りたいと思い、自分は司会進行のような役割を買ってでましたが、逆に刺激をもらいました」と振り返りました。

ここで得た経験や学びをそれぞれの大学や職場に持ち帰り、研究活動、仕事の中で生かしていくことで、科学技術イノベーション政策のコミュニティが広がっていく──。そんな期待感と共にSciREXサマーキャンプ2024が幕を下ろしました。

閉会後の交流を経て笑顔で再会を誓う

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