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科学技術イノベーション政策プログラム(Gist) 開講から9年目。
人材育成の総合拠点としての
次なる展開

政策研究大学院大学は、科学技術イノベーション政策に特化した教育・研究プログラムを実施しています。2011年にスタートし、2020年で10周年を迎える中、教育プログラムの改変等に尽力されている林隆之教授にプログラムの目的や特徴、今後のプログラム全体の方向性について聞きました。

「GRIPS科学技術イノベーション政策プログラム
(GRIPS Innovation, Science and Technology Policy Program : GiST)」とは

「GRIPS科学技術イノベーション政策プログラム(GRIPS Innovation, Science and Technology Policy Program : GiST)」とは

政策研究大学院大学(GRIPS)では、文部科学省「科学技術イノベーション政策における『政策のための科学』(SciREX)」事業において、5拠点6大学ある基盤的研究・人材育成拠点の総合拠点としての役割を担っています。総合拠点であるGiSTの主な取り組みの一つが、科学技術イノベーション政策に特化した教育プログラムの提供です。

欧米の科学技術イノベーション政策分野において、より科学的な根拠を用いて政策を形成していくべきだという議論が上がってきたのが2005年ごろです。経済政策が経済学の知識を使って政策立案がなされているのに対し、なぜ科学技術政策は経験や声の大きい人によって政策が作られているのか、という議論がありました。同じように日本においても、客観的なエビデンスに基づく合理的プロセスによる政策形成を行う必要が求められ、この事業が発足しました。2011年度に開始し、2020年度で10周年を迎えます。

GiST全体の活動内容としては、社会人を主な対象とした博士・修士課程プログラムの提供のほか、研究マネジメント人材(リサーチ・アドミニストレーター:URA)のための大学ベンチマーキングセミナーといった短期研修プログラムや、海外の研究者とのネットワークを築くセミナーの実施が挙げられます。また、他拠点と連携し、科学技術イノベーション政策に関心のある学生や教員の横のつながりを築くためのサマーキャンプの実施や、科学技術イノベーション政策を学ぶ際の主要なコンテンツ(コアコンテンツ)の作成、コアコンテンツを基にした現役行政官を対象とする短期研修の実施にも取り組んでいます。

GiSTの「教育プログラム」で育成を目指す人材像

GiSTの主要な取り組みは、人材育成です。教育プログラムとして、修士1・博士課程2、短期研修に加え、2020年度からは履修証明プログラム3を提供します。修士課程では専門的な実務家の育成を、博士課程ではより高度な専門家の育成、および当該分野の教育研究を担う大学教員や研究者の育成を目指していますが、いずれも共通する人材像としては、科学的アプローチを用いた政策の企画・立案、実行、評価、修正を実施できる人材の育成に主眼を置いています。

対象者としては、当初は国の科学技術イノベーション政策に携わる中央省庁の行政官がメインでしたが、研究開発法人や研究資金を配分するようなファンディングエージェンシーの職員、地域において科学技術イノベーション関連の政策に携わる地方自治体職員、大学の中で研究開発のマネジメントに携わる教職員やURA、企業や非営利組織における研究管理やイノベーション創出の担当者、それから当該分野で研究者を目指したい人などにも広がっています 。

みなさん、それぞれの職場では、業務対象に応じて高度に専門的なノウハウをもって業務にあたっていますが、「科学技術イノベーション政策」とはどのようなものであるか、どのような手法を用いた分析を行うかなどを体系的に学ぶ場として、GiSTの教育プログラムを活用いただいています4

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学際性と専門性。
科学技術イノベーション政策を横断的に学べる授業科目
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